担当・トミカ
第5回 本当は傷ついてた?
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私が女の子について考え出したきっかけは
小学校の時からずっと女じゃないって言う枠にいて
でも、そのポジションを気に入ってる自分もいて、
だから今までそのまま生きてきたってことなのね。
だけど最近になって、
「女の子」を目指さなきゃいけなかったんじゃないかって
思うようになったの。
女の子らしい女の子への憧れなのかな。
- 樋口
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へえ。
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でもこうやって記事にしてるうちに
女の子について考えたい根拠はそこじゃなくて、
もっと単純なことだったんじゃないかって。
例えば、バイトの飲み会とかあるじゃん。
私の隣に可愛い女の子が2人並んでてさ、
男の子が「彼氏いるの?」って聞くの。
で、はじの可愛い子が「え、いないです。」って。
それに男の子が「え?可愛いのに〜!!」って返すのを
順番にするわけ。
そう言うの、ない?(笑)
- 樋口
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飲み会だと、そういうのが盛り上がるんだろうね。
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で、順番が迫ってくるの。
「え?彼氏いないんだ。可愛いのにもったいないね〜」の
形式的な会話をする順番が(笑)。
- 樋口
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すぐそばに(笑)。
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で、私は「あ、待って待って!」みたいな。
「私に聞かないで。聞いても面白くないし、
思ってもないお世辞とか言われたくない!
そもそも私に興味ないでしょう!!」って。
- 樋口
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あはは(笑)。
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結局その順番が回ってきて
その人は律儀に私に彼氏いないか聞いたけど、
本当に興味なさそうに終わったの。
で、そういう小さいことが何回か起こってるんだけど
それに実は私は結構傷ついていて、そういうのが蓄積して
今になって、私は私なんだ!っていう風に
生きてこれなくなっちゃったのかなって。
まあでも、女の子に分類されなくていいやって気持ちも
もちろん持ってるんだけどね。
- 樋口
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そうなんだ。

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だから、樋口くんが女の子を苦手っていう根拠として
めんどくさいからじゃなくて、なんか、
女の子を好きだけど傷ついたみたいな経験が蓄積されて
嫌になって、じゃあもう排除しようってなったとか、
そういうわけじゃ、ないの?
- 樋口
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……ない。
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ないのか(笑)。
- 樋口
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傷つかなくない?女の子に何か言われて?
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うーん、女の子にっていうか。
男として評価されずに……?
- 樋口
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でも、彼女いるのが偉いみたいな男はマジで嫌い。
そういうのをぶっ飛ばす為には
同じ土俵に立ってけちょんけちょんにしてやりたいって
思う時もあるけど、労力がもったいないよなあ。
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それはなんでめんどくさいの?
彼女が欲しいわけじゃなくて?
- 樋口
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上からこられるのが嫌だ。
人間としてマウントを取ってくるやつは
分け隔てなく全員嫌いだけど、
お金とか学歴とかいろんなマウントの取り方がある中で
「なんで彼女作らないの」「なんで女の子と遊ばないの」って
話をしてくる男は一回けっちょんけっちょんにしてやりたい。
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はっはっは(笑)。
- 樋口
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だから、その価値観を根底からぶっ壊したいと思うんだけど
その為には同じフィールドに立たなきゃいけないじゃん。
でも、なんでそんなやつのために
自分が彼女を作る労力を割かなきゃいけないんだっていう。
だったらお家でゲームしてたほうがよっぽどいいなって思うと
面倒くさいからやっぱりいいやってなる。
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うーん。そうなのか。
面倒ってだけか。
- 樋口
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えー……?
傷つけられたとか…あるかな……。
うーん……ない、な。
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いっぱい考えてもやっぱりないか(笑)。
- 樋口
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うーん、忘れちゃった、かもしれないな。
結構忘れちゃうんだよね。
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いいね、忘れられて。
- 樋口
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忘れるってことは大したことじゃなかったんだよね。
その当時は傷ついてて、もしかしたら今の人生観を
変える何かになっていたかもしれないけど。
もう忘れちゃったから、まあ、いいかってなった。
だから、傷つけられたことないの?って質問の正確な答えは、
あったかもしれないけど、忘れちゃった。
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忘れちゃったかあ。
- 樋口
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でもたぶん、傷ついたことはあると思うよ。
中2か中3の時までは真っ当な人間だったからなあ。
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今真っ当じゃないってこと?
- 樋口
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いや俺は真っ当だと思ってるよ。
けど、まあ世間一般じゃ真っ当じゃないんじゃないかな。
でも、不自由してることないし。
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私もそう。最初樋口くんに浮いてるって言われたけど、
自分は真っ当だと思ってる(笑)。
でも樋口くんみたいに考えてる男の子って多いのかなあ。
インタビューする人、間違えたかなあ(笑)。
- 樋口
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ふふふふ。残念だったな。