- ——
-
ガールズバーって、まさに
「女の子」を求められる場所だよね。
そこでバイトしようと思ったってことは
自分の女の子の部分を生かそうと思ったってこと?
- ユキ
- そう。生かせるなって思った。
- ——
- それは自分に自信が持てたから?
- ユキ
-
そうだね、長谷川くんみたいに
自分自身を女性として魅力的に感じてくれるような
男性がいるってわかったから、かなあ。
- ——
- 露出狂じゃなく、ね(笑)。
- ユキ
- うん(笑)。
- ——
-
じゃあ「女の子」だと思われることが
悪くないなと思ったから、
求められてる「女の子」像を
自発的に提供しようと思ったのか。
- ユキ
-
いや、単にお金がもらえるから(笑)。
大学院だと毎日研究でバイトする時間がないけど
ガールズバーだと時給がいいでしょ。
だから、女の子として求められるのが嬉しいとかは、ない。
- ——
-
あーそうなんだ。
ユキはありのままでお店に出るの?
- ユキ
-
キャピキャピしてなくてすみません〜って出る。
初対面の年上に対する私、みたいな感じかな。
周りの子達は初めっからタメ口とかでさ
何飲む〜?みたいな。
私はそういう感じじゃないから、最初から敬語になる。
- ——
- 穏やか系ね。
- ユキ
-
それが落ち着いてていいねっていう人もいるけど。
まあそう言われたからって、なんとも思わない(笑)。
だから、もし承認欲求をこじらせてる子だったら
そこでちやほやされて嬉しいかもしれないけど
基本お店にはそういう子はいない、かな。

- ——
-
私はいわゆる承認欲求をこじらせた、
「こじらせ女子」なんだろうね。
私が女の子について考えてるのを第三者目線で見てて
はあ?って感じだった?(笑)
- ユキ
-
いや(笑)。
でも女の子とは?って考えたことがなかったからなあ。
- ——
-
こじらせ女子とかの界隈って多分、
そういうことを考えてるんだよね。
女性って年齢が上がるごとに
女性として見られることが多くなる、じゃない?
私は4月から社会人になるけど、
社会人になったら、女性だから気が利くよねとか
女性だから愛想がいいよねとか、
なんか、女ってくくりに無理やり入れられるじゃん。
- ユキ
- うーん。
- ——
-
その考えが違うのかな(笑)。
まあ、入れられるなと思ってて、
なんか結婚とかしなきゃいけない、もちろん私はしたいし。
ってことは結局、男性から見て女として優れていれば
誰かには選ばれるじゃん。
だから、その壁にぶち当たったんだよね。
今まで自由に生きてきたのに
私が社会で求められる役割を果たしたいとか
結婚したいと思った時に、
求められてるのは女性ってものなんじゃないかって。
じゃあ私が今までどうやって生きてきたかっていうと
「女の子」としては生きてきてない。
- ユキ
- うんうん。
- ——
-
もともと女の子になりたいと思っていなかった自分と
女の子に憧れ出した自分の間で
わけわかんなくなっちゃったのかもなあ。
- ユキ
- なるほどねえ。
- ——
-
すごく綺麗にまとめれば、
社会人になる直前っていうのとも重なって
女の子と女性の狭間にいるのかもね。
- ユキ
- まとまった(笑)。
- ——
- ありがとう(笑)。こんな感じにしようかな。
- ユキ
- 大丈夫そう?
- ——
-
うん。頑張ってみる。
長い時間、ありがとうございました。

私自身、「女の子」に対する定義が曖昧ではあるのですが
ユキちゃんが自分を女の子だと思うようになって、
その後女の子らしくなっていく過程は
意外性もあって、すごく面白かったです。
同時に、そもそもなぜ私は
女の子という枠に入ってないことに引け目を
感じ始めたのか?という部分で、
今まで自分ではちゃんと口に出していなかった
「男の子」という存在を
無視できなくなってしまいました。
昔は仲間だったのに、
今は私にとってすごく遠いとこにいる「男の子」。
今度はその「男の子」に話を聞きに行くことにしました。