もくじ
第1回趣味の延長線に。(ひとりめ・でんさん) 2017-05-16-Tue
第2回どっちの立場も体験しないと。(ひとりめ・でんさん) 2017-05-16-Tue
第3回ないとできないけど、あるとできる。(ひとりめ・でんさん) 2017-05-16-Tue
第4回実はあんまり、意識していないかも?(ふたりめ・ぶんちゃん) 2017-05-16-Tue
第5回自分が食いしん坊だから、共有したい。(ふたりめ・ぶんちゃん) 2017-05-16-Tue
第6回おもてなしは、コミュニケーション。 2017-05-16-Tue

三重県生まれ。新卒で大手電気メーカーに入社するが、編集の仕事に挑戦したいと上京。出版社にて編集、Web制作会社にて編集・Web制作ディレクターを経て、2016年からフリーランス。
Web制作半分・メディア半分。カメラと旅行とお酒が好き。

おもてなしって</br>どういうことだろう?

おもてなしって
どういうことだろう?

担当・八木あゆみ

第5回 自分が食いしん坊だから、共有したい。(ふたりめ・ぶんちゃん)

——
ちょっと話を変えて、この前、
西荻窪のビストロ organ のレシピでご飯をつくる会とかも
してたよね。あのご飯をつくるってすごくない?
ぶんちゃん
あれこそ気合を入れて、パーティするときにしかつくれない‥‥。
「これ美味しそう」って思っても、まず3日寝かせるとかで
前日にレシピブック開いても間に合わないの(笑)
ソースも2種それぞれ作ってとかで、結構難しいかもだけど
そのぶん、出来上がりはすっごく美味しいからおすすめ!
——
この前ピクニックで持ってきてくれたリエット、
このorganのレシピって言ってたよね?
ぶんちゃん
そうそう、あれはストウブで3時間半煮込んだ。
コトコトコトコトと‥‥。あ、おもちがこっちきた。

——
リエット、本当に美味しかったなあ‥‥。
普段なら手を出すのを躊躇するかもしれないレシピに
パーティのときにチャレンジするのって、
前から作ってみたかったレシピ、せっかくの機会に便乗しよう!
って想いとかあったりする?
ぶんちゃん
それむっちゃある!むしろそれ!
基本的に、自己満なんやと思う(笑)
食べる人がいてくれて、喜んでくれるならなおさらいいし、
食べきれないのも嫌やし。
ちょっと気合入れて手間かけた分、盛り上がったら嬉しいなと。
——
これからはより一層噛み締めて食べるね‥‥。
ぶんちゃんはいつもわたしが自分で作ったことない料理を
さらっと出してくれるからすごい勉強になる。
普段から、食器にも季節感があってすごく素敵だよね。
もしかして食器の衣替えとかもしてる?
ぶんちゃん
さすがに衣替えはしてないけど、
夏はガラスや青の器が多くなるから、手前に来るかも。
——
インスタとかでもいつもご飯写真が素敵って思うけど、
器とかマットとか花とか、テーブルを彩るアイテムが豊富。


ぶんちゃんのお花見弁当

ぶんちゃん
それが、そこあんまり意識なくて(笑)
割と実用性で選んでるとは思う。
適当なものとか結局使わないから、気に入っていたものの方が
結局コスパがよくなるなと。
おばあちゃんが丁寧な人で、箱含め綺麗に全部残してあるから、
実家からどんどん食器や古本を発掘してる。
——
「暮しの手帖」にでてきそうな!
ぶんちゃん
ほんまにそんな感じやった。
季節ごとにいろいろやってて、梅干し漬けたり
筍炊いたりとかそういうのもしてはったから、
そのイメージが強いのかも。
——
季節感といえば、ぶんちゃんの食卓って
飾り物の葉っぱとかをきちんと添えてるのもすごい。
今日も豆腐にいくらと出汁のジュレがかかってる時点で
既に家庭料理を逸した特別感を感じるけど、
その上に山椒の葉っぱが載ってるんだよね。
こういう葉物って、買うと高くない?
ぶんちゃん
それ、ベランダで旦那が育ててるだけやから。
——
え!?
あ、本当だ、ベランダに小さい山椒の木がある!
ぶんちゃん
いまローズマリーと、バジルとシソと、山椒がいる。
匂いが強いから虫がつきにくくて育てやすいと思う。
まあ、わたしは植物育てるの苦手やから、
旦那に任せてるけど。
——
わたしもむっちゃ枯らす。結婚式とかでもらった切り花は
家に帰ったらすぐにひっくり返してドライフラワーにしちゃう。
ぶんちゃん
だから、枝ものだけは自分で買っていいことにしてる。
いま玄関に置いてあるのは珊瑚ミズキなんだけど、
2〜3ヶ月楽しめるよ。
——
なるほど、自分が気持ちよく暮らすための
経験値だね‥‥。
盛り付けだったり、部屋の飾り付けだったりは、
自分が育った家のルーツが大きいの?
ぶんちゃん
そうだねえ‥‥。お母さん、おばあちゃんの影響は大きいかな。
お父さんが社交的な人で、毎日のように我が家に友人が来て
ホームパーティしてるような環境やったから、人とくつろいで
ワイワイすることがそもそも好きなのかも。
 
お店に食べに行くのも大好きだし、
「こういう風にしたら素敵やな」って真似することもある。
あとは雑誌とかインスタも参考にしたり、日常的なメニューも
ちょっとしたひねりを加えたら見栄えが良くなって
おもてなし料理になるなぁとか考えたり。
——
そのテクニックで、
旦那が食べれるようになったものはあるの?
ぶんちゃん
これまでは進んで食べなかったものも、
今はちょこちょこチャレンジしてくれるように
なったかな。ナスとか、ピーマンとか、お魚も。
少しでも食べてくれると「やったー!」って思う。
——
優しさが溢れてる‥‥。
でもぶんちゃんって10〜20人でわいわい、みたいな
企画とかはあんまりしないよね。
ぶんちゃん
そうだね、大人数になると気負ってしまうから、
その規模でしっかりもてなしができる人は本当に尊敬する‥‥。
そういうのにお呼ばれするのは嬉しいけどね。
自分の場合は日常の延長でふわっとぐらいで、
どうせやるなら美味しいものを食べよう、って意識かな。
あとは、ピクニックは好きでよくやるかなあ。
外で食べるの気持ちいいし。
——
この前一緒に女4人でピクニックしたのもすごかったよね。
真昼間から4人でワイン4本飲んで‥‥。
ぶんちゃんが持ってきてくれたおつまみ、美味しかったなあ。
ビジュアル映えもするよね。

ぶんちゃん
彩りも割と考えるかな。
今日だったらほうれん草のおひたしは、
海苔と玉子で巻いた方が食べやすいし
玉子の黄色とほうれん草の緑できれいやな、とか。
ベランダ栽培の葉物を添えるのも、風味が加わるのはもちろん、
彩りのためでもある。
 
わたし考え方がおばあちゃんっぽいというか、アナログやねん。
この辺がすごく好きな本なんだけど、
こういう、暮らしのメモみたいな感じが好きなのよね‥‥。
おばあちゃんの知恵袋というか。


左:料理歳時記(中公文庫)辰巳浜子、中:エプロンメモ よりぬき集(暮しの手帖社)暮しの手帖編集部、右:パテ屋の店先からーかつおは皮がおいしい(アノニマスタジオ)林のり子

——
やっぱり暮しの手帖に戻ってきた。裏切らないね。
このエプロンメモって、ご飯のあれこれっていうより、
知恵袋集だね。
ぶんちゃん
言い方がかわいいの。
「こうしてみると、いいものです」「ちょっと嬉しくなります」
みたいな。
——
なるほど、じゃあ
「美味しいご飯を食べながらの団欒は、いいものです」
とエプロンメモ風に締めて‥‥。今日はありがとうございました!
自分が大好きな「食べること」を、誰かと一緒に共有することが
自分の楽しみだったり、幸せだったりするんだね。

(さいごに、つづきます)

第6回 おもてなしは、コミュニケーション。