もくじ
第1回詐欺的商法って増えてるんですか?───国民生活センター取材編(1) 2013-11-27-Wed
第2回だまされた人がまた被害に‥‥───国民生活センター取材編(2) 2013-11-28-Thu
第3回いまどきの送りつけ商法───国民生活センター取材編(3) 2013-11-29-Fri
第4回その速さは高齢者に向けられます───小豆島の平林有里子さんと対談編(1) 2013-12-02-Mon
第5回「知らない」を「笑う」───小豆島の平林有里子さんと対談編(2) 2013-12-03-Tue
第6回消費生活センターとタッグを組む───小豆島の平林有里子さんと対談編(3) 2013-12-04-Wed
第7回小豆島の人たちは‥‥───小豆島の平林有里子さんと対談編(4) 2013-12-05-Thu
第8回私たちに頼ってください───小豆島の平林有里子さんと対談編(5) 2013-12-06-Fri

第4回 その速さは高齢者に向けられます───小豆島の平林有里子さんと対談編(1)

「国民生活センター」さんにお話をうかがう前編が終わり、
今回から小豆島の平林有里子さんと
糸井重里による対談編がスタートいたします。

平林有里子さんは、
香川県小豆島の県民センターに勤め、
消費者からの様々な相談を受けている女性です。
ツイッターでのお名前は、yuriさん。
ph_yuri yuriさんのTwitter

糸井との対談のために、
わざわざ小豆島から「ほぼ日」まで来てくださいました。

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糸井
遠いところを、ありがとうございます。
yuriさん
はじめまして。
平林有里子です。よろしくお願いします。
糸井
糸井です。よろしくお願いします。
「yuriさん」とお呼びしていいですよね。
ツイッターでいつもそうですから。
yuriさん
はい。
‥‥‥‥(乗組員に)写真、撮るんですね。
ほぼ日
はい。お話している様子を。
yuriさん
‥‥そうですか。
糸井
もしかするとyuriさん、あまり写りたくない?
yuriさん
あの‥‥はい‥‥ごめんなさい、ちょっと恥ずかしくて。
糸井
わかりました。じゃあyuriさんを撮るのはなしにしましょう。ぼくだけ撮って、この場の雰囲気をお伝えできれば、それで大丈夫ですよね(乗組員に)。
ほぼ日
大丈夫です。
yuriさん
すみません、わがままを言って。
糸井
いえいえ。ま、記念写真のように撮ってますけど「ほぼ日」に載せるときには、首から下だけにするとか、そういうふうにさせていただきますので。なんにも気にせず、おしゃべりしましょう。
yuriさん
ありがとうございます。だいぶ気がらくになりました(笑)。

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糸井
よかった(笑)。
ほぼ日
おふたりは、ツイッターで知り合われた?
糸井
そうです、震災後ですよね。
yuriさん
はい。
ある日、気がついたら自分のツイートがたくさん読まれていました。リツイートの数がものすごいんです。フォローの数も増えてる。
よく見たら、「糸井さんがわたしのことフォローしてる!」びっくりしました。
糸井
ぼくはフォローをしょっちゅう変えるんですよ。そうしないと入ってくる景色が一色になっちゃうんで。
ですから、そうですね、yuriさんのことも、ある日フォローしました。お花のアイコンで女性らしいんですけど、ときどき強く感情が出ますよね。
yuriさん
ええ。よく怒ってます(笑)。
糸井
そりゃあ、怒ることもあります。ぼくも怒ります(笑)。「感情なしに書く」っていうのは無理ですから。

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yuriさん
そうですね、感情は入ります。
糸井
で、さっそくですが、高齢者を狙う詐欺的商法のお話。
yuriさん
はい。
糸井
いろいろな伝え方があると思うんですけど、なるべくやわらかくしたいな、と思うんです。興味を持ってくれることが大事なので。
yuriさん
ええ、ええ。
糸井
いちばん最初に、yuriさんから詐欺の手口を聞いたときは、「たいへんだ!」「早く伝えなきゃ!」って思いました。
でも、なんていうんだろう‥‥伝える相手に胸騒ぎをさせすぎると、他人ごとのようになっちゃう。「怖いことがあるねぇ」で終わってしまう。
そうじゃなくて、「あなたのとなりのお話ですよ」と思ってもらうには、やっぱりこう、やわらかくやったほうがいいんじゃないかと。
yuriさん
なるほど。
糸井
まずは、小豆島のことを聞かせてください。瀬戸内の島ですよね。
yuriさん
ええ。人口30,000人くらいの島です。山があって渓谷もある。もちろん海があるし、棚田も見える。そういう景色が、すべてこう、車で数十分のところにおさまってるんです。

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糸井
ああ、いいですねぇ。風光明媚なその場所に、yuriさんは外からやってきたんですか。
yuriさん
はい。2006年に。
糸井
島に来たときには、「島だぞ」っていう決意はありました?
yuriさん
ありました、最初は。
でも、生活必需品はなんでもそろいますし、コンビニもあるし、ホームセンターもある。とくに不自由はないんです。
糸井
その「フルセットある」っていうのは、東北もそうなんです。地方都市はぜんぶそうですよね、いま。
yuriさん
ええ。
糸井
そういう街を歩いたときに感じるのが、「あれ? お年寄りばっかりだ」。
yuriさん
ああー。
糸井
ぼくはものぐさだったんで、あんまり外に出なかったんですけど、震災以後、地方へ行くことが多くなったら、いやぁ、お年寄りですね。どこもかしこも。
yuriさん
はい。
糸井
自分も年寄りなので、あれですが、「これだけお年寄りがいれば、だまされるなぁ」と。
yuriさん
ほんとうにそう思います。
糸井
小豆島もそうですか。
yuriさん
そうですね。
わたしが担当している香川県は、貯蓄率が高い場所なんです。
糸井
貯蓄が多いから狙われる‥‥。敵はそこを調べてあるんですね。
yuriさん
ええ、もちろん。よーく調べていると思います。そして、それを調べて貯金を狙うのは、「そういうお商売の方々」なんです。
糸井
なるほど‥‥。
つまり、「仕事」としてやっている。

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yuriさん
はい。
よからぬ人たちが集まってというより、そういう業界があって、そういう仕事をする会社があるのではないかと。そして、社員がはたらいている。
糸井
‥‥切ないですね。
yuriさん
ただ、そういう会社は、会社という体裁を保とうとするので連絡はつきます。ですから返金の交渉ができるんです。
糸井
そうか。
yuriさん
実際、取り戻したこともありました。でも、返金するお金があるということは、その会社は商売が成り立っているわけで‥‥。
糸井
逃げはしないけど、ある意味、筋金入りの会社ですね。
yuriさん
ええ。それと、その一方で‥‥。最近、相談員の先輩方と、こんなことをよく話しています。
「わたしたちがこれまで相手をしてきたのは、悪質なところもあったけど業者さんだった。でも今は犯罪者の相手をしてるよね」
糸井
プロが相手になった。
yuriさん
プロですね。詐欺師です。筋金入りの会社でも、「潰れたら困る」と考えますから行政のいうことをききます。
糸井
ええ。
yuriさん
プロは、会社を維持しようとは思いません。簡単に株式会社をつくれる今は「儲けるだけ儲けたら畳んで逃げればいい」という、犯罪者にとってすごくやりやすい状態になってしまっているんだと思います。
糸井
うーーん‥‥。
儲ける速度も、きっと速くなってますよね。
yuriさん
速いです。その速さは高齢者に向けられます。
糸井
‥‥やわらかく伝えたいんですが、やはりこれは、厳しい話ですね。

(つづきます)

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第5回 「知らない」を「笑う」───小豆島の平林有里子さんと対談編(2)