- ほぼ日
- そうした詐欺的な「ファンド型投資商品」に代金を支払ってしまうと、取り戻すのはむずかしいのでしょうか?
- 飯田さん
- 難しいですね。払ってしまうと救済が難しくなります。
先ほど言いましたように、まず、電話をしても連絡がつかなくなります。
実体がない業者なので。住所をたどっても、そんな会社はない。郵送で書面を送ることもできません。
- ほぼ日
- ああ‥‥逃げてしまうんですね。
- 飯田さん
- ですから、基本的には「信じない」ことです。電話でも郵送でパンフレットでも、金融商品の不審な勧誘は信じない。
もしそういうことがあったら、すぐに相談していただきたいです。わたしたち「国民生活センター」でも、お近くの「消費生活センター」でも、どちらでも構いませんので早く、相談のお電話をしていただきたい、と。 - ほぼ日
- 早く。
- 飯田さん
- とにかく早く、相談の電話をすることが大事です。
払ってしまった場合でも、早くご相談いただけば救済できる可能性がありますので。 - ほぼ日
- 早期発見がたいせつ‥‥。お医者さんとお話をしているようです。
次々に手口が更新されていく詐欺的商法は、ウィルスのようでもありますし。 - 飯田さん
- なるほど、そうですね。
- ほぼ日
- 詐欺的な金融商品には、ほかにどんなものがあるのでしょう?
- 飯田さん
- それはもう、ほんとうにいろいろなパターンがあります。
たとえばこういう‥‥(紙幣を並べる)外国の紙幣なんですけど。
- ほぼ日
- ‥‥これは、本物ですか。
- 飯田さん
- 本物です。スーダンのお金ですね。実際に劇場型で勧誘されて購入してしまった方に送られてきた紙幣です。
- ほぼ日
- スーダンのお金って‥‥たぶん換金しにくいですよね。
- 飯田さん
- おっしゃる通りです。国内での換金はひじょうに難しいです。
- 生方さん
- ほかにも、コンゴ、シリア、イエメン、ウズベキスタン、イラクなどの通貨購入を持ちかけるパターンもありました。
いずれも換金困難な紙幣です。 - ほぼ日
- うーーーん‥‥。
- 生方さん
- 通貨取引のトラブル以外でも、
「カンボジアの土地使用権」
「有料老人ホーム利用権」
「永代供養の権利」
「ダイヤモンドの採掘権」
「被災地支援」
に便乗したセールスも目立ちます。 - ほぼ日
- ‥‥悪質ですね。
- 飯田さん
- ことしの5月には「シェールガスの施設運用権」というのが流行りました。
- ほぼ日
- シェールガス?
- 生方さん
- 震災後の新たなエネルギー事業をうたった「買え買え詐欺」の一種です。シェールガスとか、メタンハイドレートとか、目新しい話題を悪用したケースですね。テレビや新聞でそうした新エネルギーが報道されると、すぐに新たな手口がうまれます。
- ほぼ日
- 早いですね。
- 生方さん
- 早いです。で、「あ、その話、テレビでやっていた」という人が、つい話を聞いてしまう。
- ほぼ日
- お年寄りは、ニュースや新聞をよく見てますからね。
- 生方さん
- そう。ご覧になっていらっしゃるので‥‥。
- ほぼ日
- うーーーーん‥‥。
- 飯田さん
- たいていの人は不審だと思うんですけれども、やはり数打てば当たるというか‥‥。
たとえば過去に被害に遭った高齢者を狙えば、業者にとっては効率が良くなります。 - ほぼ日
- ‥‥そ、そんなことができるんですか?
- 飯田さん
- そうですね。それに関連する話なのですが、最近の特徴としてわれわれが「2次被害」と呼ぶケースがあります。
つまり、過去に投資被害に遭われた方をさらに狙って「あなたの1回目の被害金が戻るので、手続きをしてください。手続きにはこれだけの手数料がかかります」というやり口です。 - ほぼ日
- ‥‥だまされやすい人を狙うということですか。
- 飯田さん
- そうです。「経済再生機構」というような、それらしく見える精巧な書類が送られてきます。
- ほぼ日
- だまされた人が、また被害に‥‥。ひどい‥‥泣きっ面にハチです。
- 飯田さん
- ほんとうにそうなんです。ですから、なんと言いますか‥‥「お金のある高齢者が私利私欲でダマされた」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではないんです。なけなしのお金が奪われているんです。
- ほぼ日
- そうですよね。被害にあって、「もう戻りません」とあきらめていたところに、「被害金は戻りますよ」って言われたら‥‥。
- 飯田さん
- 食いついてしまいます。
- ほぼ日
- ううーーん‥‥。
- 飯田さん
- 2次被害が増えている。このことも最近の特徴ですので、ぜひ知っていただきたいと思います。
- ほぼ日
- わかりました。
- 生方さん
- ちなみにこれは(資料を出す)、
「国民生活センター」のニセモノです。
- ほぼ日
- え?「国民生活センターからの大切なお知らせ」とありますが‥‥ニセモノなんですか。じゃあ、この住所は?
- 生方さん
- 住所までは合ってます。でも「国民生活センター」には、0120のフリーダイヤルは一切ないんです。
- ほぼ日
- はああーー。
ということは、この番号にかけちゃうと、なにか危険なことが? - 飯田さん
- 「過去の投資被害を返金します」とか、「被害救済を行っています」というパターンです。
- ほぼ日
- ああ‥‥。
- 飯田さん
- この番号はすでにつながりませんでしたが、「国民生活センター」を名乗ってパンフレットが届いたり、電話がかかってくることが増えています。
- ほぼ日
- すごいなぁ‥‥このパンフレットは、信じてしまいますね。
でも、「国民生活センター」さんから、こういう案内が届くことはない? - 飯田さん
- ありません。
相談をしていただいた方以外に、こちらからいきなり連絡をすることはないです。
相談を受けたことのない方にこちらから電話をすることも、一切ありません。
- ほぼ日
- なるほど‥‥公の機関をよそおう手口も増えている。
- 飯田さん
- はい。
- ほぼ日
- だましやすいと思われた人が何度も狙われてしまうという話は‥‥そういう事実があるだけに、つらいですね。
(つづきます)
「相談したいことがあるときは」
ひとりで悩まず、相談しましょう。相談は基本的に「電話」で行います。消費者からの相談を受け付ける国の機関、
「国民生活センター」のサイトはこちら。一方、「消費生活センター」とは、
消費者保護を目的とした都道府県・市町村の行政機関で、
日本全国にたくさん設けられています。
「国民生活センター」と「消費生活センター」は
互いに協力し合い、消費者対応を行っています。
相談をしたい場合はどちらでも大丈夫。お住まいに近い機関へ連絡をしてみましょう。「消費生活センター」への相談方法は、
こちらのページでくわしく説明されています。
「国民生活センター」の相談窓口は、
こちらからどうぞ。





