・昨日、ここで、
　「お酌して、なんかいいことあったか？」ということを、
　じゃっかん遠慮がちに言った。
　酒の出る席で、お酌をして、あるいはお酌をされて、
　なにかいいことがあった人は‥‥いないのではないか。
　「お酌などという慣習はやめよう」という御意見でもなく、
　お酌に問いかけるというような気持ちの内容だった。
　言ったけど、だれに責められることもなく昨日が終わった。
　だからといって、明日から、世の中のお酌のある現場で、
　だれかが「お酌に問いかける」というようなことが、
　起こるような気は、まったくしない。
　あちこちの忘年会でお酌はされているであろう。
　ぼくも、絶対にやめてほしいと思ってるわけじゃないので、
　お酌が自然に減っていくのを、ゆるやかに見ていよう。

　しかし、エスカレーターで歩く人間の問題については、
　こころに蟠り（わだかまり）を抱えたままである。
　遠慮がちにではなく、ちょっと強めに言いたいことだ。
　「エスカレーターで歩いて、なんかいいことあったか？」
　「わざわざ片側空けて、なんかいいことあったか？」
　そうか、歩いて、あるいは駆け抜けて、
　ちょっと早めに改札口に着いたのか、よかったな。
　あんたが歩いている間、ただ運ばれてただけのおれも、
　３秒後には改札口に着いていたけどな。
　というようなことを、ほんとは言いたくてしょうがない。
　ときどき体調のいい日には、意識的に右の列に立って、
　歩こうとする人間の「壁」になるようなこともしている
　（調子のよくない日にはもめごとがいやなので、しない）。
　駅の張り紙にも、二列でご利用くださいと書いてあるし、
　歩行禁止とかも記されていることも、みんな知っている。
　なのに、多くの人が一列空けているままである。
　長い長いエスカレーターでも息を切らせて歩くやつがいる。
　もういちど言うよ「駅で急いでなんかいいことあったか？」
　遅刻しないで済んだのか、仕事が５秒多くできたのか？　
　「こちとら江戸っ子でぇ気が短ぇんでぇい」と、
　粋でいなせなお兄さんぶりがほめられたか？　
　ま、いつかは、エスカレーターも自然に二列になって、
　いまのようすが昔ばなしになるんだとは思うけどねー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
二列立ちのほうが輸送量も増え、安全でもある。のになぁ。