その2
いまほしいのは

こんなシャツなんです、

HITOYOSHIさん。

「ことしの『白いシャツをめぐる旅。』は、
9月ではなく、6月開催にしませんか?」

2016年12月、前回の旅が終わって3か月経ったとき、
伊勢丹新宿店バイヤーの佐熊さんから
そんな提案がありました。

えっ! 3か月前倒し!

しかしながら──。
「秋に向けての白いシャツ、というのもいいけれど、
夏が来る頃にあったら、またべつの嬉しさがあるよね」
じつは「ほぼ日」のチームでも、
そんなふうに話していたところだったのでした。

6月開催はちょっとたいへんかもしれないけれど、
「やってみる価値があるぞ」。

そして、おたがいそう感じているのだったら、
やってみたら、いいんじゃないかな、と。

旅をはじめて2年。

ちょっと個人的な話をいたしますと
(申し遅れました、書き手は「ほぼ日」武井です)、
白いシャツを日常着として着るようになって
思ったことのひとつが、
「夏の白い長袖のシャツってかっこいい」
ということでした。

もちろん、女性たちだけじゃなく、男性たちも。

女性たちはわりと自由で、
「おしゃれ」と「実用」をかねて、
夏にフレンチスリーブや
ノースリーブの服を着るいっぽうで、
長袖のシャツを袖まくりして
さっそうと着ている印象があります。

TPOで考えて、えらんでいるんだろうな。

いっぽう男性は、ビジネスウェアなら
半袖の白いシャツもあれば長袖もありますが、
カジュアルウエアの積極的な「おしゃれ」として、
夏に長袖を着ることって、
あんまり多くないかもしれません。

でもじっさい着てみると、いいのですよ、これ。

夏の長袖の白いシャツって、
日除けになるから暑さ対策にもなるし、
歳を重ねてくると、
若い頃のように「冷房ばんざい!」ではなくなって、
建物やレストランなどで
半袖1枚で寒い思いをするのを、防いでくれたりもする。

夏の休日は「長袖シャツにショートパンツ」なんていうのも
けっこうおしゃれだなあと思うのです。

そして「6月にできるんだったら」、
もうひとつ、やってみたいことがありました。

それはみんなが(女性も男性も)着られる
「麻のシャツ」をつくるということです。

じつは1年目には、女性むけとして
Ready for the Weekendというブランドの
白い麻のシャツを扱い、たいへん好評でした。

けれども2年目は麻素材はナシ。

そもそもメンズのシャツでは
いちども麻を扱ったことがありません。

▲第1回目の「白いシャツをめぐる旅。」で扱ったのは
こんな麻のシャツでした。いま見てもかっこいい!

女性はもちろんのこと、男性もそうですが、
麻のシャツって、どくとくの、
大人っぽいかっこよさがあります。

日本の気候なら春夏秋スリーシーズン着られますし
(さすがに真冬はちょっと「すずしげ」すぎて
着るのをためらいますよね)、
とくに夏は、麻ならではの清涼感とやわらかさ、
熱伝導率の高さゆえ、吸熱し放出することで
肌にふれるひんやりした感じ、
そしてひとにあたえる印象のよさもあって、
いい素材だなあと思うのです。

アイロンをかけてきちんとした麻のシャツを
「イン」して着てもさまになるし、
しわくちゃのままラフに着たっていい。

そんな思いをぶつけながら、
どんなシャツをつくろうか、というミーティングを
幾度も、重ねました。

まずこの旅をずっとご一緒している
伊勢丹新宿店のレディスウェアのバイヤー・佐熊さんたち。

これまでも伝えてきましたが、
「メンズのバイヤー」と「レディスのバイヤー」が
組んで仕事をするというのは、
(しかも、オリジナルのシャツをつくろうという企画は)
百貨店においてはとてもめずらしいことです。

でも、どちらの知識も経験も
シェアしないでいるのはもったいないですよね。

こと「ユニセックス」のシャツをつくるなら、
どちらの力も、必要です。

そのパイプ役となり、みんなの意見をまとめて、
「かたち」にしていったのが、
熊本に拠点をおくHITOYOSHIシャツの松岡さんたち。

HITOYOSHIのみなさんには、
ほんとうにご迷惑を‥‥というか、
たいへんなことばかり言ってしまってすみません。

対立するかに思えるAの意見とBの意見があるとして、
さらに「Cっていう考えもあるよね」となったとき、
「だったら、こうしたらどうでしょう?」と
即座に、具体的な提案Dで返してくれるのが
HITOYOSHIチームでした。

しかも、次のミーティングのときには
「さらによくなった」サンプルが上がってくる。

ことしのシャツは、松岡さんたちHITOYOSHIチームが
いなければ、できないものでした。

「素材は、徹底的に追求したい。いい素材を使いたい」
という提案も、「こういうものがありますよ」と
教えてくださったのはHITOYOSHIチームでした。

‥‥いけない。その「いきさつ」を書いていると
ものすごく長くなってしまいそうです。

結論から行きます。

ことしの「白いシャツをめぐる旅。」は6月開催。

そして「上質な麻」「上質な綿」「ユニセックス」を
キーワードにして、こんなシャツをつくります。

企画は「ほぼ日」と、伊勢丹新宿店。

制作は、HITOYOSHIシャツさん。

その生地は浜松のフジボウテキスタイル(コットン)と、
イタリアのアルビニ社(麻)が手がけます。

▲2015年のテーマ「ふたりで。」を引き継いで、
メンズシャツのパターンやディテールを生かしてつくる
ユニセックスのシャツです。生地はイタリア製リネン。

XSからLまでの4サイズ、XSとSがおもに女性むけ、
MとLが男性向けの仕様になっています。

▲なめらかでつややかなエジプト綿を使い、
国内で紡績・織布をおこなって生地に。

レディースの丸襟シャツをつくりました。

HITOYOSHIシャツがつちかってきたメンズシャツの
縫製技術がいかされた、かわいいシャツです。

レディースのMとL、2サイズです。

▲メンズ専用のシャツをつくるのは2年ぶりです。
この「ラウンドカラー」は、ネクタイをしても、
しなくてもサマになるスタイル。

レディースの丸襟シャツと同じコットンを使っています。

サイズは首周りで39と41のふたつです。

▲イタリア・アルビニ社のリネンを使って、
熊本のHITOYOSHIシャツで縫製しました。

バンドカラーというのは、襟のないかたち。

女性が「うんと大きく」着てもいいですよ。

サイズは首周りで39と41の2種類です。

ことしは男性の着られるシャツが多い!

でも、バンドカラーなどはとくに、
女性にも着ていただきたい仕上がりになっています。

さて、このほかにも、
毎年大好評をいただいているSTAMP & DIARYさんの
シャツやカーディガン、
Ataraxia(アタラクシア)という
あたらしいブランドのシャツとパンツを入荷します。

販売スタートの6/21(水)まで毎日更新で、
よりくわしい情報をお伝えしていきますね。

どうぞおたのしみに!

2017-06-12-MON

<いままでの更新>

▶︎その1 ことしの旅がはじまります。

(2017-06-09-FRI)

▶︎その2 いまほしいのはこんなシャツなんです、HITOYOSHIさん。

(2017-06-12-MON)

▶︎その3 シャツ工場のひみつ[1]

(2017-06-13-TUE)

▶︎その4 シャツ工場のひみつ[2]

(2017-06-14-WED)

▶︎その5 イタリア・アルビニ社のリネンをつかおう。

(2017-06-15-THU)

▶︎その6 Ataraxiaという、あたらしいブランドと成田加世子さんのこと。

(2017-06-16-FRI)

▶︎その7 吉川修一さんのSTAMP AND DIARYは、ことし。

(2017-06-17-SAT)

▶︎その8 シャツにあわせるカーディガンのこと。

(2017-06-18-SUN)

▶︎その9 あのすごい肌着を、ふたたび。ma.to.wa.の恵谷太香子さん。

(2017-06-19-MON)

▶︎その10 旅とシャツ。HITOYOSHIシャツ吉國武さん。

(2017-06-20-TUE)