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勉強サイド

勉強の夏、ゲームの夏。2017

okuno

4人目の先生は、山邊恵介さん。

2017/08/25 16:00
ときどき、TOBICHIで、
靴磨きのお店を開いてくれている、
山邊恵介さんです。

というか、いつもおなじみ、
等々靴磨店の山邊くんです。

現在、山邊くんは
筑波大学人文科学学群人文学類の
考古学・民俗学専攻文化人類学コース、
というところで学んでいます。
ことしで、2年生。

つまり「身分」だけでいえば、
先生と言うより、まだ学生なんですけど、
ここにいたるまで、
つまり佐世保の高校時代から受験を経て、
今へ至るの道のりが、
聞くだにおもしろいなと思っていたので、
今回、ご登場いただきました。

というのも、
彼は、高校1年で進学校を中退し、
その後18歳までの3年間、
生まれ故郷の佐世保で、
靴磨き職人としてはたらいていたのです。

そのときのことは、
以前に、ほぼ日でインタビューしていて、
そこでまとめて語ってくれているので、
もしよければ、
どこかのタイミングで読んでみて下さい。

こちらです。

21世紀の「仕事!」論。靴磨き職人 篇

今日、高校から現在にかけての話を、
あらためて聞いてみると、
山邊くんのまだまだ短い「半生」には、
佐世保の大人たち、
とくに「4人の先生」の存在が、
くっきりと、浮かび上がってきました。
masahiro.tanaka

江洋先生にとっての「勉強」。

2017/08/25 15:58
だいぶ長くなってきたので、
もうそろそろ終わりにしようかと思いますが、
最後にもうひとつ質問を。

ちょっと漠然としているのですが、
受験勉強のたいへんな中国出身の
江洋先生にとって、
「勉強」ってどんなものですか?

「そうですね‥‥わたしの思う
勉強というのは、ええと(笑)、
『自分が頭がいいと思っている人でも、
努力しなければうまくいかないこと』
です」

なんだかリアルで面白いです(笑)。
頭がいいだけではダメなもの。

「そうですね、いくら頭がよかったとしても、
受験戦争のきびしい中国では、
それだけでは他の人に勝てないんです。
やっぱり努力しないとうまくいきません」

そうですね、やっぱりそういうものですね。

「まあ、とはいえ、何も考えずに
努力し続けることは難しいので、
自分なりにたのしい勉強方法を見つけて、
やっていくのがいいと思います」

たのしみながら。

「ええ。たとえば、わたしはいま
大学院でたくさんの英語の難しい論文を
読まなければならないことがあります。
それは、しんどいと思うこともあるのですが、
実際には
『読めば読むほどたのしくなる』んですね。
理解がすすむので。
そこに気づくと、たのしくやれるんです。
勉強もそれと同じで、
なかにあるたのしい部分を発見するようにすると、
良いんじゃないかと思います」

ちなみに江洋先生は、
『卒業後にこんな仕事をしたい』とか、
そういう思いはありますか?

「これは具体的な目標ではないのですが、
さいわい、3カ国のことばができるので、
どこへ行ってもじぶんの力を
発揮できる人になりたいと思っています」

いやはや、なんだかどの話題になっても
地に足がついている感じで、
江洋先生、かっこよかったです。
今日はありがとうございました。

「こちらこそありがとうございました」
masahiro.tanaka

江洋先生の、ドラマ勉強法。

2017/08/25 15:54
「そういえば、もうひとつ
おすすめの語学勉強法がありました」

お、ぜひ聞きたいです。どういうものでしょう?

「わたしはアメリカのドラマが好きなんですが、
すごく英語の勉強になるんです。
『ゲームオブスローンズ』という
テレビドラマを毎シーズン見ているのですが、
おもしろいし、聞き取りの訓練にもなるし。

まあ、そのドラマはファンタジーなので、
ドラマで話されていることばのぜんぶが
使えるフレーズではないのですが、
もっと実用的なものだと、アメリカのコメディドラマは
生活で使えることばが多くておすすめですよ」

なるほど、ドラマを見る。
それはたのしくて続きそうな勉強法という気がします。

それと、聞いてみたかったんですが、
江洋先生はもともとどういう理由で
大学で日本語を専攻しようと思ったのでしょう?

「じつは、それもドラマなんです(笑)。
わたしは単純に日本のドラマが好きで、
字幕なしでドラマを見たかったんですね」

なるほど、ドラマから入ったんだ。

「そうなんです。
あと、わたしが2、3歳くらいのころに、
中国で『東京ラブストーリー』が
大ヒットしたんですけど、
母が実際に『東京ラブストーリー』で
日本語を勉強していたんです。
わたしもそれを見ていたので、
その影響もあるかもしれません(笑)」

江洋先生はいまも日本のドラマを
見たりしますか?

「はい、見てますよ。
最近だと松本清張の小説をドラマにした
『黒革の手帖』がおもしろかったですよ。
武井咲が銀座の女王になる話です」
masahiro.tanaka

江洋先生、質問に答える(2)

2017/08/25 15:46
では江洋先生、
こちらの質問はいかがでしょうか。
『留学するため語学を勉強しています。
いまは単語帳で勉強しているのですが、
先生は動画を見たり文章を読んだりして
勉強するほうが効果的だと言います。
いま、この両方をやる時間はないのですが、
どちらをやるべきでしょうか』

単語帳で勉強するか、動画を見たりして勉強するか‥‥。
先生、どうでしょう?

「わたしのおすすめは、
動画を見たり文章を読んだりですね。
なぜなら単語帳だと、覚えたあとに
その単語をどういう文脈で使えばいいか、
さらに勉強しなければならないからです。
動画や文章だと、生きてる語学だし、
単語もあわせて覚えられますから」

明快な答えをありがとうございます。
せっかくなので、同時にこちらの質問も。

『おすすめの語学勉強法はありますか?』

ありますか?

「わたしがいいなと思っているのは、
旅行するときに、現地の
タクシードライバーの人と話すことなんです。
ウーバーのドライバーの人とか。
いろいろな雑談もできますし、
地元の情報も手に入るし。
わたしは積極的に話しています」

なるほど。それもまた
生きてる語学の勉強ですね。

「似たような方法ですが、買い物で店員さんと
たくさん話すのもおすすめです。
ただ服を買うだけじゃなく、
そのとき店員さんに意見を聞いてみるとか。
店員さんも接客しなきゃ!と思っているから、
けっこう付き合ってくれます(笑)」

さすが2ヶ国語を習得してきた江洋先生、
アドバイスが現実的です。
語学勉強中のかた、参考にしてみてくださいね。
masahiro.tanaka

江洋先生、質問に答える(1)

2017/08/25 15:36
なんだかこのままでは中国の受験の話について
永遠に聞いてしまいそうなので、
江洋先生、質問コーナーにいきましょうか。

「いきましょう」

まず、高校3年生のかたからの質問です。

『わたしはことし受験生で、
小論文の練習をしているのですが、
いつも自分の文章に自信が持てず、
書いては消してを繰り返すばかりで、
時間内に書き終えることができません。
いい文章を書くにはどうすればよいのでしょうか?』

「この質問は答えられそうです。
というのが、わたしの院での研究テーマが、
まさに小論文なので」

お、それはバッチリですね。聞きたいです。
いい文章はどうやったら書けるのでしょうか。

「中国に、すごく有名な言葉があるんです。
いい文章とは
『頭は虎、胴体は豚、尻尾はヒョウ』
というものなんです」

頭が虎、胴体が豚、尻尾がヒョウ‥‥。
どういうことでしょうか。

「まず、文章の頭──つまり、
冒頭は虎のようにまっすぐに、
じぶんの主張を書きます」

ほう、ほう。まずは主張をまっすぐ書く。

「そして、胴体は豚。
最初に書いた主張についての
理由や証拠を書きます。
そういった理由や証拠はいくつあっても
かまいませんが、
なるべく充実させてください。
そこがないと感想文になりますから」

それ、どうして豚なんですか?

「豚肉って、おいしいじゃないですか。
いい文章では、この部分が
いちばんいい味わいなんです」

へええ、おもしろーい!

「で、最後は、文章のまとめを、
ヒョウの尻尾みたいにエレガントに
書いてしめるんです」

わぁ、すばらしい。そしてかっこいい。
頭が虎、胴体が豚、尻尾がヒョウ。
参考になりましたでしょうか。
ぼくも覚えておこうと思います。
masahiro.tanaka

中国における大学受験の話。

2017/08/25 15:25
中国における受験って、
日本の受験とは違うものでしょうか?

「そうですね、中国の大学って全部国立で、
日本のように各大学ごとの試験はなくて、
全国共通の試験1回だけで
行けるところが決まるんです。
どれだけ勉強した人も1回で人生が決まる。
そういう厳しさはあると思います」

そのときは、浪人する人もいるの?

「超トップクラスの北京大学などに
行きたいような人とかは、
浪人する人もけっこういますね。
そのあたりは日本と一緒かもしれません」

ふむふむ。

「あと中国と日本の違いとしては、
中国の高校では、受験に関係ないことは
まったくやらないんです。
どの高校も、その試験で良い点をとるための
カリキュラムばかりやるんです。
進学校だと特にそうです。
日本ほど部活動とかをやったりしません」

なんだか、日本の環境よりも
ずっと厳しそうですね。

「もしかしたらそうかもしれません。
そういう環境もあってか、中国の大学生たちは、
総じて真面目という気がします。
日本の学生は、とくに学部生などだと
遊びまくる人もいますけど、
中国の学生たちは、みんなけっこう
しっかり勉強している印象があります。
プレゼンテーションをするときに、
中国の人は文字量が多いんです(笑)。
遅刻もあんまりしないですし」

それは、大学の勉強が就職のときに
けっこう影響するということでもある?

「影響しますね。それもあると思います」

ほーーー、面白いです。
masahiro.tanaka

江洋先生と受験勉強。

2017/08/25 15:15
あの、こんなことを聞くのもなんですが、
江洋先生の通っていた江南大学というのは、
やっぱりいい大学なのでしょうか。

「そうですね‥‥中国国内の大学ランキングだと
40番以内には入っています。
なかなかいい大学だとは思います。

政府が1995年に100の大学に
重点的に投資をしていくことを決めた
『211工程』というのがあるのですが、
その100の大学の中には入っています。

まあ、さらに厳選された
トップ中のトップの大学だけが
選ばれた『985工程』というものもあって、
そこには入っていないのですが」

ちなみに中国の大学受験者数って
毎年どのくらいなんでしょう?

「900万人以上です」

きゅ、900万人‥‥。
ほーー、知らないことばかりで
おもしろいです。

「ただ、わたしはとにかく
勉強ばかりしてきたタイプではなくて、
けっこうのんびりしていて」

はい、のんびりしてて(笑)。

「高校1、2年のときには
学生委員会をやったり、合唱団に入ったり、
勉強以外のことばかりやっていました。
ちゃんと受験勉強をしたのは
高校3年生になってからです」

そうなんだ、じゃあ高校2年生までは
そんなに勉強してなかった?

「そうですね、先生とかからよく
勉強しろと言われてましたけど、
合唱団をすごくやっていたから
『別にいいじゃん』と思ってて。

ただ当時は反抗期で、先生から
勉強しろと言われるのがいやで、
あるとき、徹夜とかをして、
ものすごく勉強したことがありますね。
そうしたら、実際に成績があがって
何も言われなくなりました。
そういうことはありました」

反抗期で、先生をだまらせるために
猛勉強‥‥かっこいいです。
そして高校3年生からは?

「あるていど、努力しました」

江洋先生、言い方は控えめながら、
真剣に勉強した感じが伝わってきます。
masahiro.tanaka

江洋先生の経歴と、いまやっていること。

2017/08/25 15:10
ではまずはかんたんに、
江洋先生の経歴を教えてください。

「わたしは上海よりすこし南にある
浙江省の出身で、高校まではそこにいました。
それから中国の江南大学に大学し、
日本語を専攻したんです。
日本語は大学に入ってからはじめました」

江洋先生は完全に日本語がぺらぺらですが、
勉強をはじめたのは大学入ってからなんですね。

「そうですね、まだまだ勉強中ですけれども。
あと、わたしは大学3年生のときに1年間、
岐阜大学に留学したんです。
そのおかげもあると思います」

そして、大学院から日本在住?

「はい、早稲田大学の大学院に進学が決まり、
日本に引っ越してきました。
東京に暮らして1年半ですね」

大学院ではどんなことを
専攻しているんでしょう? 日本語?

「専攻は言語学と教育学で、
日本語と中国語の作文の違いについて
研究しています。
ただ、その論文は英語で書いています」

日本語と中国語の違いについての研究をし、
英語で論文を書いている。

「はい、大学4年間で
まったく英語をやらなかったので、
英語を忘れないようにと思って
そういう環境に身をおくことにしました」

ほーーーー。
江洋先生は語学が
けっこう好き、ということでしょうか。

「好きですね。おもしろいです。
高校のときの得意科目は、英語と歴史でした。
語学と文化が好きなんです」

なるほど。
masahiro.tanaka

江洋先生とほぼ日、
そもそものきっかけ。

2017/08/25 15:05
勉強の質問のまえにひとつ教えてください。

江洋先生は、そもそもどういう経緯で
ほぼ日手帳の仕事を
手伝うようになったんでしょう?

「本当にたまたまなんです。
実はほぼ日手帳って、
すでに中国の人たちの間でも有名で、
わたしもすこし前にほぼ日手帳を
使ってみたくなったんですね。
それで、そのときはもう日本で暮らしていたので
『ほぼ日手帳の直営店があるらしい』と聞いて、
TOBICHIにお邪魔したんです。
そうしたら、中国語ができる人を探していた
ほぼ日のさんに声をかけられて、
いろいろ話をしたんです。
その流れで働くことになりました」

うわ、完全に偶然だったんだ。

「そうです。奇跡みたいな感じ(笑)」

いまこんなに全面的に手伝ってもらってるのにね。

「そうなんですよ。
あと、もうひとつびっくりしたのが、
わたしはもともと日本語の勉強として
糸井さんの『ボールのようなことば。』
買って読んでいたんです。
糸井さんが誰なのかは知らなかったのですが、
短い文章なのに、おもしろいから、
語学の勉強にぴったりで。
で、TOBICHIで買ったほぼ日手帳を
パラパラと見ていたら、
巻末に『糸井重里』と入っていて、
『わ、この本の人が作ってたんだ!』って。
そういうことがいろいろあって、
働かせてもらってます(笑)」

なんだか、ほぼ日のことをすごく理解して
ほぼ日手帳の中国語版の仕事をしてくれているから、
とても助かっているんですが、
それが、偶然の出会いからはじまっているとは‥‥。

「なんだかふしぎな偶然ばっかりなんです」

おもしろいですね。
‥‥では、本題の勉強について、
いろいろと質問させていただきますね。
masahiro.tanaka

3人目は、江洋先生です!

2017/08/25 15:00
さて勉強の夏、つづいての先生は
中国の浙江省出身で、
現在、早稲田大学大学院の修士2年生の
江洋(こうよう)先生です。
先生、おねがいします!

「よろしくおねがいします」

江洋先生は、
まさにもうすぐ発売スタートの
「ほぼ日手帳2018」
中国で販売するためのあれこれを
手伝ってくれているひとです。

中国語、日本語、英語の3ヶ国語が話せて、
中国でもいい大学をでているらしい、
という噂を聞きつけて、今回「勉強の夏」に
登場していただくことになりました。

そうなんですよね?
「はい。語学は3ヶ国語ができますね」
(にこにこ)

すごく物腰のやわらかい、
そして仕事の早い、江洋先生です。

それでは江洋先生に聞いたお話を
ご紹介していきますね。

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