昨年、一昨年とたいへん好評いただいたので、
ことしもやります、年末年始の恒例企画、
「私のほぼ日プレイリスト」。
ほぼ日刊イトイ新聞の膨大なアーカイブの中から、
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
おすすめコンテンツを選んでしまうこの企画、
今回の選者は、ほぼ日刊イトイ新聞の読みものを
編集している、10人の書き手の乗組員です。
ということで、3年目のテーマは「自薦」!!
24年のほぼ日ヒストリーの中から、自ら担当した、
とっておきのコンテンツをたっぷりご紹介します。
12/26(月)から1/5(木)まで11日間の毎日更新。
この年末年始に、どうぞおたのしみください。

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3 羽佐田瑤子(ハサウェイ)のプレイリスト 2022-12-28-WED

来年の抱負を決める、そのヒントに。

こんにちは、ほぼ日編集部のハサダです。
ふだんはハサウェイとよばれています。
クリスマスも終わり、そろそろ仕事納め、
もう仕事を納めたハッピー!
という方も多いのではないでしょうか。

新年に向けて「来年はどんなことをやろうか」と、
仕事や将来のことを考えたくなる時期ですよね。
わたしはほぼ日手帳の「My 100」に
やりたいことを書き出して、
来年にワクワクする時間が大好きです。
人に、新年の抱負を聞くのも大好きです。
あと、ほぼ日の人って手帳をつけているせいか、
やりたいことをよく聞いてくるんですよね。
ふだんのその人から想像できない抱負を
聞けたりしてすっごく楽しい。
ちなみに去年の私は「ダンスをはじめる」を目標に、
夢中になっているK-POPを躍る日々です。
来年は何をやろうかな。

と、思いながら
過去の担当したものを振り返ってみると、
仕事、暮らす場所、恋愛、勉強‥‥
あらゆる分野を「おもろく生きている人」たちの
人生の転機や哲学を伺ってきたんだなと思いました。
それは、新年に限らず、彼ら・彼女らの抱負であって、
その言葉には未来のヒントがつまっています。
来年の抱負を決める、その前に!
読んでいただけたらうれしいです。

 

USBメモリやマイナスイオンドライヤーなど
数々の商品を企画された、
ビジネスデザイナーの濱口秀司さんと
糸井さんによる6時間におよぶ対談。

正直「これ、わたしが編集するんだ‥‥」と
真っ青になった記憶があります。
ですが、それよりも感動したのが、
終わってからも興奮が冷めやらず、
みんなで輪になって喋り続けたこと。
大人が目をキラキラさせて、
あれこれ語っている時間はなんて素敵なんだろう。
頭が混乱している状況よりも、
この素敵な対談を、私の編集能力の最大限を発揮して、
ぜったいに伝えたいという使命感に
駆られたことをいまも思い出します。
編集部の先輩である永田さんからも、
「じぶんの代名詞にする気持ちでやってみよう」と
アドバイスをもらったことで決心がつきました。
濱口さんの言葉を理解しようと集中して、
ときには頭がパンクしそうになりながら、
編集するのにものすごく時間がかかった全14回。

どの回もパンチラインだらけですが、
とくに第2回と第8回は必読です。
実は、どうしてもわからないことがあり、
お忙しいことは重々承知で
濱口さんに質問を送ったんです。
そうすると、
世界を飛び回っているとは思えないスピードで、
的確な返事をくださった濱口さん。
そうした、プロフェッショナルの仕事を
間近で見られたことも刺激になりました。

 

笑福亭鶴瓶師匠プロフェッショナルの極み。
「会ったら泣いてしまう」、
わたしにとってそんな存在です。
鶴瓶師匠といえば『家族に乾杯!』のような、
気さくで、ユニークな人というイメージでした。
師匠への取材が決まり、
ある時の落語会を見させていただいたのですが、
じぶんでもびっくりするくらい
涙が止まりませんでした。

師匠は自分なりの解釈を加えて、
古典落語を鶴瓶落語に変えてしまう。
そのうわさは聞いていたけれど、
古典を尊重しながら自分らしさを味つけする、
その絶妙な塩梅と師匠らしい温かさを感じる
物語の進めかた。お客さんとのやさしいやりとり。
プロであり人間として魅力的である、
それが舞台から伝わってきて
一瞬で大ファンになりました。

会えば会うほどメロメロになり、
毎回たっぷりパワーをいただきます。
七福神みたいな人って、いるんですね。
個人的にはこの取材後、急に産気づいてしまい、
ほぼ同期の稲崎さんが編集してくれましたことが
すごくありがたくて、うれしくて、
師匠の言う「丁寧に生きる」の人だなあと、
そのやさしさも思い出します。

 

じぶんのやりたいことを見つけるには、
学ぶことをいとわないこと。
未知の世界にやりたいことがあるかもしれなくて、
「本」は最強の味方になること。
そんなことを河野通和さんから教えてもらいました。
その一つの企画が『19歳の本棚』です。

河野さんは選書するときにおっしゃっていました。
19歳は孤独とか、生きることとかを、
目的もなく、そのことをそのために
考えることができる、ほかにはない年代です。
本はひとりになって、
じぶんの頭で考えることができるツール。
そのヒントになる本を選びました」
編集者として、ぜいたくにも、
ぜんぶの本を読みました。
視界がどんどん開けていくような、
あたらしい出会いがたくさん待っていました。
年末年始の読書タイムにもおすすめです。

 

初心に帰ることで、
やりたいことが見つかることもあります。
ほぼ日に入社して初めて担当したのが
オードリー若林さんへのインタビューでした。
「企画は動機が大事だ」と言われて
大ファンの若林さんを人選した素直さと勇気。
ビッシリ書き込まれた取材メモを見られてしまい、
「取り調べでも始まるんですか?笑」と
のっけからいじられたことを思い出します。
若林さんの幼少期の話から、自分の過去を振り返って、
すごく衝動的な「やりたいこと」を
思い出したりしました。
エッセイがとにかく素晴らしいので、読んでほしい。
乗組員になるきっかけとなった「ほぼ日の塾」
ときどき読み返しては、
動機って大事だなと思い返しています。

 

乗組員になって数週間後に、
大先輩方にまざって東北に行く機会がありました。
東北はじぶんにとって大事な場所なので、
勝手にご縁を感じていて、
いつかやりたいと思っていた企画でした。

読みものにも書きましたが、
東北を訪れたことで「やりたいこと」を
真剣に考える時間を持つことができました。
将来を決めることはそんなに簡単じゃないし、
できるならやりたいことを仕事にしたい。
地元を離れるのは勇気がいったはずだし、
戻りたくても仕事を見つけるのは難しいはず。
気仙沼という土地を選んだ若者たちには
それぞれにとって大事な理由があるはずで、
どういう思いでこの場所に暮らし、仕事を決めたのか、
そんな個人的な話を聞きたくて、取材に行きました。

気仙沼のサユミちゃんにも協力してもらって、
素晴らしい3人に会うことができました。
これからも何度も会いたいし、
わたしが気仙沼に行く理由になっている3人です。
初対面のわたしに、ここまで正直に、
進路や仕事、震災の話をしてくださって
「ぜったい素敵なページにするんだ」と
デザインと写真を撮ってくれたデザチー志田さんと
思いを共有できたことも思いで深いです。
悩んだり、迷ったりするけれど、
「絶対に譲れないもの」を見つけたい。
自信を持って読んでもらいたいと言える、
新年に向かっていく読みものです。

 

作家の水野敬也さんと岸田奈美さんによる
恋愛にまつわるお悩みに答える番組。
「永遠にこの時間が続いてほしい」
と願いたくなるほど、
個人的にも収録を楽しみにしています。
大笑いしたり、ときにホロっとしたり‥‥
おふたりの視野の広さというか、
考えの深さというか、
言葉では言い表せないものに
何度もハッとさせられて、
脱線してしまう時間もとても愛しいです。
恋愛相談ではありますが、
人生や生き方の哲学がたっぷりつまっています。

(つづきます)

2022-12-28-WED

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