愛と言うには  ちょっと足りない。  『モテキ』をめぐる、とても自由な座談会。
糸井重里をはじめ「ほぼ日」乗組員の多くが 夢中になったマンガ、『モテキ』。 テレビドラマ化されるこの作品について、 作者の久保ミツロウさん、 ドラマ主演の森山未來さん、 共演の浜野謙太(ハマケン)さんをお招きし、 なんともにぎやかな座談会が実現しました。 ドラマ化を記念しての座談会だったのですが、 「この作品の見どころは?」 という内容には、ほとんどなりませんでした。 それでもやっぱり、恋や愛の話はたのしくて! 自由に進むおしゃべりを、どうぞおたのしみください。
(C)「モテキ」久保ミツロウ/講談社
座談会に参加したみなさん
久保ミツロウさん
漫画『モテキ』の作者。
もっとくわしく
森山未來さん
俳優。
ドラマ『モテキ』で主人公・藤本幸世を演じる。

もっとくわしく
ハマケン(浜野謙太)さん
ミュージシャン。
ドラマ『モテキ』では、オム先生を演じる。

もっとくわしく
and 糸井重里


第1回 久保さん、城に立てこもる。

糸井 あ、ええと‥‥
もしかして、あなたが久保ミツロウさん?
ハマケン いやいやいや。
一同 (笑)
糸井 ええー?
久保 久保です。
よろしくお願いします。
糸井 いやあー、そうですか。
久保 はじめまして。
糸井 はじめまして、よろしくお願いします。
で、森山未來さん。
舞台でいつも拝見しています。
森山 ありがとうございます。
よろしくお願いします。
糸井 こちらこそ。
‥‥せんせぇー、オム先生ー。
ハマケン はははは、よろしくお願いします。
糸井 いい役もらっちゃってぇ。
ハマケン ははははは。
糸井 オム先生、いいよねー。
久保 ビジュアル最高ですよね。

オム先生の衣装合わせをするハマケンさん。
(C)TV TOKYO Corporation
ハマケン でも、ぼくまだなんにもやってないんですよね。
撮影もしてないんです。
(座談会収録時、ハマケンさんは
 まだ撮影に入っていませんでした)
糸井 そうなんだ。
ハマケン なんか、役づくりの期間が長くて、
もんもんとしてます。
一同 (笑)
糸井 その、もんもんとした感じがもう‥‥。
森山 オム先生っぽい。
糸井 そうそう(笑)。
‥‥いやぁ、おもしろいねぇ、
おもしろいことになりました。
久保 読んでくださって、
ほんとにありがとうございます。
糸井 おもしろかったぁ、
おもしろかったです。
久保 まさか、でした。
なぜ糸井さんが読んでるのか、
さっぱりわからなかったんですけど。
糸井 テレビ東京の人のおかげです。
メールで教えてくださったんですよ。
「今度ドラマ化するマンガがおもしろいです」と。
久保 あ、そうだったんですか。
なんか‥‥こう言うとあれですけど、
私のマンガと糸井さんに、
接点があるのかな? って思って(笑)。
糸井 そうですね、連載では読んでないですから、
教えてもらわなかったら
知らないままでしたよね、きっと。
久保 知ってくださってありがとうございます。
このたび運良くドラマ化になりました。
糸井 たのしみです、はやく観たい。
久保 監督が大根仁さんで、
わたしはまずそれがうれしくて。
糸井 ファンだったんですね。
久保 大ファンで、
ものすごく影響を受けた人です。
糸井 なるほど、ますますたのしみです。
──じゃあ、さっそくなんですけど、
久保さん。
久保 あ、はい‥‥。
糸井 久保さんご本人が4巻で終わりにすると
はっきりとおっしゃっているのに、
読者は「もっと読みたい」と
言ってるらしいんですよ、あちこちで。
久保 ああー。
糸井 ぼくも「これで終わりかぁ、さみしい」って
どこかに書きました。
そしたら出版社の人から、
「わたしたちもそう思うんですけど
 作者の意向を尊重して終了になりました」
というメールが来ました。
久保 はい。
糸井 「そうですよね」って、ぼくは返事をしました。
久保 うーーん‥‥。
糸井 「もっと読みたいけど、仕方ないですね」と。
久保 ‥‥‥‥いや、あの、でも‥‥。
糸井 はい。
久保 ‥‥わたしの気持ちなんか、
どうせみんなにはわかりませんよ。
一同 (しばし間があって、爆笑)
久保 わかってたまるもんですか。
一同 (笑)
糸井 そうですよね(笑)。
そりゃぁそうだ。いや、最高ですよ。
久保 ‥‥いきなり厚い壁をつくってしまった。
一同 (笑)
ハマケン 久保さんが城に立てこもった(笑)。
久保 ‥‥あの、なんで4巻で終わったかというと、
このマンガは、簡単に言えば、
「ひとりのモテない男が、
 かつて声をかけられなかった女性に
 自分から声をかけられるようになるまでの話」
なんです。
糸井 はい、はい。
久保 ストーリーとしては、そこまで。
その先を描く気持ちはなかったというか‥‥。
これは恋愛漫画ですけど、職業に置き換えれば、
ニートだった人がやっと会社に行って
「ぼくを雇ってください」
って言うまでの話なんです。
糸井 ええ、そうでした。
久保 だから、サラリーマン金太郎とか
島耕作になるまでの話を期待されると、
「すいません、ちょっとそういうのは
 別な漫画で読んでください」
っていう気持ちになってしまって。
糸井 なるほど。
久保 なんていうか、その‥‥
まぁ、みなさんの感想はひととおり把握していて、
どんな言われ方をしているのかは
わかってるんです‥‥‥‥はい。
糸井 あー。
久保 バーンって、閉める(扉を閉める仕草)。
一同 (笑)
森山 心の扉を(笑)。
ハマケン また城にたてこもった(笑)。
糸井 いまの閉め方は、
新聞の勧誘を断るようだったね。
「うちはもう新聞とってますから!」
森山 ははははは。
久保 今日はずっとこんな態度でいきます。
一同 (笑)
糸井 すごいですねぇ(笑)。
これは裏口からまわるしかないね。
──いや、あの、久保さん、
どうして4巻で終わったのか、
いまの説明はとてもわかりやすかったですよ。

(つづきます!)

2010-07-15-THU



コミックスのご案内

『モテキ』のコミックスは全4巻で発売中です。
その4冊を読み終えた糸井重里が、
「今日のダーリン」に、こんな文章を書いていました。

 全4巻読み終えて1週間くらい経つのですが、
 いまごろになって、「もっと読みたかったなぁ」と、
 しみじみ思っています。
 それは、やっぱりすぐれたマンガだったってことだなぁ。
 ちょっとややこしい言い方になっちゃうのですが、
 現代を生きている人間が、
 いちばん脳のエネルギーを使うのは、
 人間関係だっていうんですよね。
 いかにもむつかしそうな問題以上に、
 人間と人間の複雑で期待と不安に満ちた関係が、
 いちばん頭を使わせる‥‥ましてや、男女の関係は?
 そう思うとわかるでしょう。
 『源氏物語』の昔から、愛と性を描く恋愛物語は、
 なによりおもしろくせつない娯楽だった、とね。
 『モテキ』ってマンガは、そういうものだったんだと、
 読み終えてあらためて、ぼくは思っているわけです。

                  ─── 糸井重里

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ドラマ『モテキ』のご案内

テレビ東京の深夜ドラマ枠"ドラマ24"、
第20弾を記念して、
コミック『モテキ』がドラマ化されます!


(C)TV TOKYO Corporation

テレビ東京系列
7月16日(金)スタート!
毎週金曜 深夜0時12分放送
※テレビ大阪は19日(月)放映開始

脚本・演出/大根仁

キャスト/
森山未來、野波麻帆、満島ひかり、松本莉緒、
新井浩文、浜野謙太(ハマケン)、リリー・フランキー
菊地凛子ほか

テレビ東京ドラマ24 第20弾 特別企画「モテキ」公式HPは、こちら

「モテキ」twitter公式アカウントは、こちらから。



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