愛と言うには  ちょっと足りない。  『モテキ』をめぐる、とても自由な座談会。

第6回 わたしはハマケンになりたい。

久保 あの、わたしの話なんですけど‥‥。
糸井 それはもう、どうぞ。
久保 わたしが男の人を好きになった場合、
その人に好かれる女性であろうという努力より、
その人と同化しようというほうの努力を
がんばっちゃうんです。
それで、いろいろこじらせちゃってるんですね。
森山 同化、ですか。
糸井 まあ、くわしくは訊きませんが、
こじらせちゃうんですね。
久保 はい。
自分が女性的ではないという自覚はあるんです。
でも、もっと女性的にして、
男に好かれるような格好をして、
そういう努力をすればいいじゃんって言われても、
なんか、ちがう。
わたしの中での男の人への愛情表現っていうのは
同化なんだよな、というところがあって。
糸井 なるほど。
久保 だから、ふたりっきりでいるよりも、
星野源が誰かといっしょに仲良くしてるところを
すごく近くで
ニヤニヤして見ていたいなっていうのが‥‥。
ハマケン やっぱり星野源ですか!
一同 (笑)
久保 そういうのが、
わたしにとっての理想なんですよ。
ハマケン あっはっはっはっはーーー。
糸井 複雑な笑いだねえ(笑)。
でも、久保さん、構図としてはわかりますよ。
久保 だからハマケンのことが、
超うらやましいわけです。
ハマケン あっはっはっはっはーーー。
糸井 わたしはハマケンになりたい。
久保 そう。
ハマケン ‥‥なんかね、そうなんですよ。
「源ちゃん源ちゃん」って言ってる
ファンの女の子にね、
おれが嫉妬されるんです。
久保 わかる、わかる!
糸井 ぷっ(笑)。
ハマケン みんなでSAKEROCKじゃん。
おれもいっしょにファン‥‥
でいてくれたんじゃないんだ。
一同 (笑)
森山 ふたりの信頼関係に嫉妬するんです、きっと。
ステージ上での。
糸井 そうだね、友情に。
ハマケン うーーーん‥‥。
糸井 ちんことかさ、
あんなに悪く言っててもね、友情が。
久保 そういう立場に憧れるわけですよ。
糸井 それはだけどさ、
そこをつくるのにやっぱり何年ってね。
ケンカしたり、仲良くしたりの
歴史があるわけじゃないですか。
ハマケン そうっすね。
高校のときから知ってるんで。
‥‥でも、ぼくは源くんのことを一度も
ハンサムだと思ったことがなかったのに、
ここ何年かで
「星野源みたいな恋人がいい」
みたいなのを
インターネットでよく見るようになったんですよ。
森山 見るよね。
ハマケン ええー! と思って。
ずっと「かわいそうな人」だと思ってたのが。
一同 (笑)
ハマケン いつの間に、そんな!
糸井 だからそれも、お客をつくったんだよ。
ハマケン そっかー、そうですねえ‥‥。
うーーーーん‥‥。
森山 星野源からハマケンに対して、
ちょっと「S」を感じるんですよ、きっと。
糸井 おおー。
久保 そうそう!
森山 星野源はしお顔で、サラッとしてて、
そんなガッツリいくような感じに見えないのに、
ハマケンとの関係を見ると
なんかちょっとSっ気があるんじゃないかと。
糸井 そうか。
森山 それにグッとくるんですよ。
久保 星野源を性的に見るには、
ハマケンが必要なんだ。
糸井 そういうことだよ。
つまり、ハマケン越しの‥‥。
久保 ハマケン越しの、星野源(笑)。

ハマケン越しの、星野源さん
『はらよわ男の座談会。(ジュエリー仕様)』より

糸井 ハマケンなめの、星野源。

ハマケンなめの、星野源さん
『はらよわ男の座談会。(ジュエリー仕様)』より

ハマケン なんだぁー、
おれにピント合ってねぇんだぁ。
一同 (爆笑)
森山 ちょっと邪魔だけど、いなくなったらダメ(笑)。
糸井 そこまで演劇なんだ。
ドキュメンタリー演劇。
すごいことしてるなぁ。
ハマケン うーん、うーん。
糸井 SAKEROCKっていうのは、すごいね。
トロンボーンがメインだし。
森山 たしかに、
トロンボーンがメインにいるバンドっていうのが、
まずめずらしいですよね。
ハマケン ちょっと待ってよ、
ここまでの流れで言ったら
おれはぜんぜんメインじゃないじゃないですか。
一同 (笑)
ハマケン オレが見切れてるんですよ?
添え物じゃないですか。
一同 (笑)
久保 ‥‥あー、よかった。
この話をハマケンに言えてほんとによかった。
ハマケン ‥‥なんか久保さん、
源くんの話になってから
すっごい「女の顔」になってる。
一同 (爆笑)
糸井 それ、おれもちょっと思ってた(笑)。
ハマケン ね、ね、そうですよね?
糸井 一市民みたいだった。
久保 なんか、急に扉が‥‥(笑)。
ハマケン あははは、城の扉が開いてきた!
糸井 まだ閉じてるんだけど、
ちょっと開いたね(笑)。

(つづきます!)

2010-07-22-THU


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(C)「モテキ」久保ミツロウ/講談社