升ノ内朝子さんはギリシャ・アテネに暮らす
イラストレーターです。
2016年版「やさしいタオル」の
デザインも手がけてくださったんですよ。
そんな升ノ内さん、ギリシャのすてきなところを
みなさんに知ってもらいたいと、
現地で心を掴まれた風景やできごとを
イラストに描いてくれることになりました。
遠い国から届く絵ハガキをながめるように、
いろいろ想像して楽しんでくださいね。
不定期連載。担当はほぼ日のギリシャ好き、フジタです。
今回の絵は、以前にご紹介したギリシャの架空の島、
アノニモ島にあるアポロンカフェを描いたものです。
ギリシャ人はこよなくコーヒーを愛しており、
街の至るところにカフェがあります。
ギリシャの伝統的なカフェは「カフェニオン」といい、
基本的に男性のみが集まる、
かつては街や島の社交の中心となる存在でした。
今もそういったカフェニオンはあって、
いい感じにさびれた渋~い雰囲気を醸し出しています。
私も興味はあるのですが、いまだに「一見さんお断り」的な
ローカル臭がえげつないので
残念ながら遠巻きに覗くことしかできません。
アテネでの今の主流は、
モダンなオープンカフェ、とでもいうべきもので、
国内外のフランチャイズ店も多数展開されています。
テラス席のある開放的な雰囲気のところが多く、
老若男女問わずに、気軽に入ることができます。
島や田舎では、外見的にはカフェニオンを踏襲しつつ、
カフェのサービスを提供しているところが一般的で、
アポロンカフェもそういうイメージで描きました。
カフェでよく見かけるのが、
ボードゲームをしている人達。
大抵が「バックギャモン」というゲームで、
カフェに常備してあるところも少なくありません。
カフェでバックギャモンをするという行為は
時間がたっぷりあるということの象徴だそうで、
なるほどプレイしているのは大抵がご老人、
そして学生らしい若者です。
もう何十年も繰り返されてるであろう、
こののんびりした風景を見ると、
なんだかすごく平和で、ギリシャの時間が
ゆっくり流れているような気がしてきます。
趣のあるカフェニオン同様、
この風景はこれからも変わらないでいてほしいです。
升ノ内朝子
2018-01-27