hobonichi

Greetings from Greece ギリシャからのおたより。Greetings from Greece ギリシャからのおたより。

「ヘラの海」

ギリシャで海水浴を楽しめるのは、
ぎりぎり10月まで、というところでしょうか。
さすがに海から出ると肌寒く感じますが、
夏の間太陽の光をいっぱいにためこんでいるからか、
海水の温度は初夏のそれよりもずっと温かかったりします。

今回は私達家族が
近場で海水浴に行きたいという時によく訪れていた、
アテネからスニオン岬へ向かって30kmほど南にある、
アギア・マリーナビーチを描きました。

この海には私達夫婦にとって
忘れられない思い出があります。
それは結婚したての頃、
主人が結婚指輪を海の中で落としたこと。
落とした瞬間に気づいたものの、
絶えずやってくる波にのまれ、
あっという間に行方不明になりました。
ここのビーチは基本的には砂浜ですが、海の中には
ごろごろと大きな岩があって死角が多く、
捜索は非常に困難でした。
一緒にいた友人がたまたま持っていた水中マスクを借りて
執念深く探すこと小一時間、私も諦めかけて新しい指輪を
用意するかどうかで悩んでいたその時、
奇跡的に主人が岩の合間から指輪を見つけ出し、
私達は大いに喜びました。

…ということがあった数ヶ月後の10月、
私達はまた同じ海にいました。
新婚旅行でギリシャを訪れた友人を連れてきていたからです。
するとまさかまさか、今度は友人のご主人も
同じように結婚指輪を落としてしまったのでした。
私達の指輪紛失事件を事前に話していたのにもかかわらず、
なぜ指輪を外すよう強く促さなかったのか、
またなぜ今度は私達が水中マスクを持っていなかったのか‥‥
後悔してもしきれませんが、
結局この時は指輪を見つけることはできませんでした。

短期間の間に2つも結婚指輪を飲み込んだということで、
嫉妬で有名な女神、ヘラが新婚への嫌がらせをする
「ヘラの海」と私は勝手に名付けています。
よくよく調べるとヘラは結婚の神でもあったんですけどね。
もしかすると「雨降って地固まる」的に
ヘラが二人の仲を取り持ってくれたのかもしれません。
とにもかくにもみなさま、海水浴でのアクセサリーの装着には
くれぐれもお気をつけください。

升ノ内朝子

2017-11-08

乗組員フジタのひとことギリシャメモ

升ノ内さんも書かれているとおり、女神ヘラは
全知全能の神ゼウスの正妻として
ギリシャ神話のさまざまな箇所で登場します。
ヘラは英語名を「ジュノー」といい、
June(6月)の語源にもなりました。
6月に結婚すると幸せになると言われている
「ジューンブライド」も、
(由来に多説ありますが)
結婚の女神ヘラの加護によるもの、
という説があります。