岸惠子さん+糸井重里 対談 かわいい人の、 ふたつの共通点。
岸さんのプロフィール
テレビ番組「あの人に逢いたい」の収録で、 岸惠子さんとお会いすることができました。 糸井重里は、岸さんをはじめとする年上の女性について 思っていたことがありました。 「いつまでも、かわいくいられる人がいるのは いったいなぜだろう?」 そして、ある仮説を立てました。 2時間におよぶ話の中で 糸井はその謎を岸さんに投げかけます。 * この対談は、2013年9月28日に放送された BS朝日★「世界 人間 旅行 あの人に逢いたい」★http://www.bs-asahi.co.jp/aitai02/index.html★の 収録のために行われました。
     2013-11-05
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第1回 どうして女優になったのか?

糸井 岸さんとは、まったくの「はじめまして」で、
いま、すごくプレッシャーを感じています。
これまでぼくは
「ユニフォームを着た野球選手」以外には
あがらないって決めてたんですよ(笑)。
なのに、今日は緊張しています。
野球選手には緊張なさるんですか?
糸井 ぼくら野球好きにとって、どうしても
彼らは「神様」なので。
野球はあんまりわからないんですけど、
昨日は、ちょっと観てました。
何観てたんだっけなぁ? 巨人? かなぁ。
糸井 え、そうですか、巨人。
なんだか、新人って人が、ものすごく‥‥。
糸井 あ、そうです、昨日、よかったです。
いい肩をしてるとか、キレがいいとか、言ってた。
つねづね、スポーツ選手が
あんなにモテるのはなぜかしらと思っていたんだけど、
みんないい顔をしているのね。
打つとき、投げるとき、
やっぱり「勝負」という顔をしています。
糸井 うん、してますね。
いま、そういう顔をする人って
ほかの世界にはあまりいません。
あぁ、そういうことかな、と思いました。
糸井 スポーツ観戦は、なさるほうですか?
国際試合だと、なんとなく観ます。
観ていて美しい人やものに魅かれます。
糸井 ぼくは、スポーツ選手に対して
「からだの知性がある」という言い方を
することがあるんです。
あぁ、なるほど。
糸井 いま、頭を使うタイプの人が
「言いたい放題」になっていることが
よくあるでしょう。
うん。しかもあまり頷けないような
「言いたい放題」が横行していますね。
糸井 ですね。
それに対して、自分の行為を
「解説される」側にばかり立ってる人というのは、
結局、もの言えぬ人になっちゃいます。
そうね。
糸井 しかし、「解説する」人に比べて、
いまそこで動いている「解説される」人のほうが、
何百倍も知的なことをやっているのが
ほんとうで。
そのとおりですね。
糸井 岸さんも、女優でいらっしゃるし、
「解説される」側に
ずっとおられたわけです。
それ以前からバレエもなさっていたわけで、
「からだの知性」については、
充分感じていらっしゃったのではないでしょうか。
「からだの知性」という言葉は新鮮ね。
私はバレエを中学、高校とやってました。
子どもの頃から、小説家になりたかったんです。
川端康成さんの『花のワルツ』を読んで、
「あ、これは踊りをやらなきゃ」と思って、
バレエ学校に通いだしました。

『花のワルツ』は、
バレエダンサーが足をいためて、挫折します。
松葉杖を投げ出して踊るシーンが新鮮で
惹かれました。

それで通い出したバレエ学校の帰りに
『美女と野獣』
(1946年 ジャン・コクトー監督脚本)
を観たんです。
「わ、映画ってどうやって撮るんだろう?」
と思って、撮影所に見学に行ったのが
女優の道に進むきっかけになってしまいました。

バレエ帰りの高校生が映画を観て
「あぁ、すごい!」
「キャメラ(カメラ)って、どこにあるの?」
と思ったんです。
だって、古いお城の中を
美女がスーッと流れるように歩くんですよ。
あんなふうに流れるように歩くためには
いったいどうするんだろう?
画面がいきなりアップになるから、
キャメラって、どこに隠れているんだろう?
そういった興味でした。
糸井 「女優になりたい」じゃなくて、
そっちだったんですね。
ええ。
何年か後に、ジャン・コクトーにお会いしたとき
「あのシーンで、女優さんは、
 どうやって歩いたんですか?」
と、訊いてみました。
「簡単ですよ。板の上に乗ってもらって、
 その板に車をつけて引っ張っただけ」
って(笑)。
「でもね、あなたが聞くのはわかるけど、
 同じことをチャップリンがぼくに聞いたんですよ」
と、ジャン・コクトーが言いました。
糸井 岸さんとチャップリンが同じことを思ったんですね。
女優さんの動きの、その素敵な不自然さ。
そう。映像というものに、
すごく魅せられました。
糸井 岸恵子さん、いったい
どういう子どもだったんだろう(笑)?
変な子どもでしたよ。
糸井 変な子ども(笑)。

(つづきます)
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2013-11-05-TUE


岸惠子 著
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「世界 人間 旅行 あの人に逢いたい」