真っ赤なしましま。
この模様は、縦線が湾曲してよろけているように
見えることから「よろけ縞」と呼ばれている。
この手ぬぐいは広島に住む【友人R】へ。
私に手ぬぐいの魅力を教えてくれて、
初めての手ぬぐいをプレゼントしてくれた人だ。
【手紙:私→友人R @広島】
Rへ
突然ですが、手ぬぐいを贈ります。いつも、もらってばかりの私が、
Rに手ぬぐいを贈るのは初めてだね〜!
手ぬぐいマスターのあなたに贈るのは、
なんだかちょっとドキドキします。そんな1枚は真っ赤な「よろけ縞」。
迷わずこの柄に決めました。Rは柔らかい黄色やオレンジ色のイメージだったけど、
元気をくれる人だから、その存在感は赤だと思った。正義感が強くて、まっすぐなあなた。
私が自信のない時には、ビシッと決め手になる言葉を
くれて、とても頼りにしている存在です。でも、ちょっとだけ不器用な一面もあるから、
直線ではない、「よろけ縞」がいいなと思った。そしてこの「よろけ縞」、いつかRが私にくれた柄だよね。
あのときもらったオレンジ色、お気に入りでさぁ
面接の日にバックに入れて行ったのを覚えてる。なんか、そこにあるだけですごく頼もしかった。
Rが言ってた手ぬぐいの良さって、こういうことか〜って。
そんな思い出の柄というもの選んだ理由の一つでした。今回、手ぬぐいについてのエッセイを書いてみて思った。
たかが、手ぬぐい、されど手ぬぐいなんだけど、
不思議なもので、1枚ずつそれぞれ
色んなエピソードがあるもんだなって。それってきっと私だけじゃないと思うんだけど、
Rにとって手ぬぐいってどんな存在??
身近なものすぎて、考えたことなんてないかもしれんけど、
よかったら教えてほしいなー。
Rは大学時代の友人で、卒業後も年に1〜2回会っていた。
彼女はその度に、新しい手ぬぐいを贈ってくれたのだ。
補足として、
Rは卒業後、神戸にあるアパレルとカフェが
併設されたお店に就職した。とても素敵なお店で、
そこでは手ぬぐいの販売もしている。
カフェでは、スタッフがカラフルな手ぬぐいを頭に巻いて
接客をしている。その姿はお洒落で可愛い。
Rは入社してから数年はカフェの配属だった。
そんな友人Rからの届いた、
長い長い、手ぬぐいエピソード。
【手紙:友人R→私】
本ちゃん(と呼ばれている)、突然の手ぬぐいをありがとう!
さっそく使うよ、クッタクタになるまで。
よろけ縞、大好きな柄だから嬉しいな。新しい手ぬぐいって、こんなにパリッとしてたっけ。
プレゼントすることが多かったから、新品を広げて、
触れることが久しぶりで、初々しい気持ちです。
カフェ時代の初出勤を思い出すわ〜。入社したてのとき、「頭に手ぬぐいを巻いてほしい」って
言われたのが最初はちょっとだけ嫌だった(笑)
新品の手ぬぐいを持ち帰って、どうやったら変じゃないか
鏡の前で何度も巻く練習をしましたよ。
新品って生地がかたいから巻きづらくてね。そのとき、10年くらい勤めていた店長の手ぬぐい姿は、
なんでそんなに可愛くて、馴染んで見えるのかなって。
同じ手ぬぐいなのに、こうも違うものかと不思議だった。でもそれがさぁ、仕事に慣れてくる頃には、手ぬぐいも
柔らかくて優しい手触りになっていくんですよ。
それが自分の中でめちゃくちゃ嬉しかった。年数はもちろんかなわないけど、先輩たちに近づけた
気がして。自分も少しずつ、日々変化してんだなぁって
振り返ったりしたなぁ。それから、私が先輩になったときは、新しく入ってきた子の
馴染んでいない手ぬぐい姿を見て、可愛いなって
心の中で微笑んでた。昔の自分を見ているようでね。“あなたもいずれは必ず1人前になれるよ”って、
心の中で、肩をポンポンと叩いていたよ。手ぬぐいはね、
たくさん汗をかく仕事で毎日活躍してくれて、
急な雨のときには雨よけ、朝から陽が照るジリジリと
暑い日には首に巻いて日避けにもした。旅先に持って行ったり、大好きな先輩たちを見送るときには
涙を拭って、自分が旅立つ日にも涙を拭って。いつも自分の生活や成長をそばで見守ってくれていた
「相棒」というのが一番しっくりくるなぁ。今でも毎日使うんだけど、自分がしんどいときとか、
つまづいてるときって、不思議と新しい手てぬぐいは
手に取らないんだよね。使いまくったクタクタのやつとか、
一番最初に買ったやつとか。そっちの方が安心するんよね。あとね、こうして手ぬぐいを贈られる、贈ることって
「手紙」のやりとりみたいだなって思う。今回、本ちゃんは手紙付きで贈ってくれたけど、
もし、手ぬぐいだけを封筒に入れて贈ってくれたとしても、
モノではなくてメッセージとして受け取ったと思うなぁ。赤か、ふむふむ。私のイメージなんかな?それとも私が
元気ないように見えて、頑張れ!って意味なのかな?とかね。
あれ、実は本ちゃんに良いことでもあった?とか(笑)その人が自分のことを思い浮かべて選んでくれた時間が
まず嬉しいし、あったかいよねぇ、なんか。
たとえ言葉がなくても、手ぬぐいからその人の喋り言葉が
とび出てきそうな感じがして。あ…、気づけばめちゃめちゃ長くなってしまった(笑)
手ぬぐいについてこんなに語ったのは初めてだわ。
でも必要な時間だった。ありがとな、本ちゃん!
Rらしい、長い長い返事を読んで、涙が出た。
自分の大切な人の、大切なエピソードに触れるって、
こんなにも胸が熱くなるものか。
「モノではなく手紙みたい」という感覚は、
私の中にもぼんやりとあったので、
答え合わせができたみたいで嬉しかった。
そして、また手ぬぐいが好きになった。
手ぬぐいとは「相棒」
(つづきます)
