もくじ
第1回手ぬぐいを贈ってみる 2019-03-19-Tue
第2回手ぬぐいとは「縁」 2019-03-19-Tue
第3回手ぬぐいとは「お手本」 2019-03-19-Tue
第4回手ぬぐいとは「相棒」 2019-03-19-Tue
第5回贈りものをして気づいたこと 2019-03-19-Tue

愛媛から、
はるばる上京、
4カ月。

岡山出身の91年生まれ。
好きな食べ物は「数の子」です。

「贈りもの」が 嬉しい理由を考えてみた

担当・本郷結花

第4回 手ぬぐいとは「相棒」

真っ赤なしましま。
この模様は、縦線が湾曲してよろけているように
見えることから「よろけ縞」と呼ばれている。

この手ぬぐいは広島に住む【友人R】へ。
私に手ぬぐいの魅力を教えてくれて、
初めての手ぬぐいをプレゼントしてくれた人だ。

【手紙:私→友人R @広島】
Rへ
突然ですが、手ぬぐいを贈ります。

いつも、もらってばかりの私が、
Rに手ぬぐいを贈るのは初めてだね〜!
手ぬぐいマスターのあなたに贈るのは、
なんだかちょっとドキドキします。

そんな1枚は真っ赤な「よろけ縞」。
迷わずこの柄に決めました。

Rは柔らかい黄色やオレンジ色のイメージだったけど、
元気をくれる人だから、その存在感は赤だと思った。

正義感が強くて、まっすぐなあなた。
私が自信のない時には、ビシッと決め手になる言葉を
くれて、とても頼りにしている存在です。

でも、ちょっとだけ不器用な一面もあるから、
直線ではない、「よろけ縞」がいいなと思った。

そしてこの「よろけ縞」、いつかRが私にくれた柄だよね。
あのときもらったオレンジ色、お気に入りでさぁ
面接の日にバックに入れて行ったのを覚えてる。

なんか、そこにあるだけですごく頼もしかった。
Rが言ってた手ぬぐいの良さって、こういうことか〜って。
そんな思い出の柄というもの選んだ理由の一つでした。

今回、手ぬぐいについてのエッセイを書いてみて思った。
たかが、手ぬぐい、されど手ぬぐいなんだけど、
不思議なもので、1枚ずつそれぞれ
色んなエピソードがあるもんだなって。

それってきっと私だけじゃないと思うんだけど、
Rにとって手ぬぐいってどんな存在??
身近なものすぎて、考えたことなんてないかもしれんけど、
よかったら教えてほしいなー。

Rは大学時代の友人で、卒業後も年に1〜2回会っていた。
彼女はその度に、新しい手ぬぐいを贈ってくれたのだ。

補足として、
Rは卒業後、神戸にあるアパレルとカフェが
併設されたお店に就職した。とても素敵なお店で、
そこでは手ぬぐいの販売もしている。

カフェでは、スタッフがカラフルな手ぬぐいを頭に巻いて
接客をしている。その姿はお洒落で可愛い。
Rは入社してから数年はカフェの配属だった。

そんな友人Rからの届いた、
長い長い、手ぬぐいエピソード。

【手紙:友人R→私】
本ちゃん(と呼ばれている)、突然の手ぬぐいをありがとう!
さっそく使うよ、クッタクタになるまで。
よろけ縞、大好きな柄だから嬉しいな。

新しい手ぬぐいって、こんなにパリッとしてたっけ。
プレゼントすることが多かったから、新品を広げて、
触れることが久しぶりで、初々しい気持ちです。
カフェ時代の初出勤を思い出すわ〜。

入社したてのとき、「頭に手ぬぐいを巻いてほしい」って
言われたのが最初はちょっとだけ嫌だった(笑)
新品の手ぬぐいを持ち帰って、どうやったら変じゃないか
鏡の前で何度も巻く練習をしましたよ。
新品って生地がかたいから巻きづらくてね。

そのとき、10年くらい勤めていた店長の手ぬぐい姿は、
なんでそんなに可愛くて、馴染んで見えるのかなって。
同じ手ぬぐいなのに、こうも違うものかと不思議だった。

でもそれがさぁ、仕事に慣れてくる頃には、手ぬぐいも
柔らかくて優しい手触りになっていくんですよ。
それが自分の中でめちゃくちゃ嬉しかった。

年数はもちろんかなわないけど、先輩たちに近づけた
気がして。自分も少しずつ、日々変化してんだなぁって
振り返ったりしたなぁ。

それから、私が先輩になったときは、新しく入ってきた子の
馴染んでいない手ぬぐい姿を見て、可愛いなって
心の中で微笑んでた。昔の自分を見ているようでね。

“あなたもいずれは必ず1人前になれるよ”って、
心の中で、肩をポンポンと叩いていたよ。

手ぬぐいはね、
たくさん汗をかく仕事で毎日活躍してくれて、
急な雨のときには雨よけ、朝から陽が照るジリジリと
暑い日には首に巻いて日避けにもした。

旅先に持って行ったり、大好きな先輩たちを見送るときには
涙を拭って、自分が旅立つ日にも涙を拭って。

いつも自分の生活や成長をそばで見守ってくれていた
「相棒」というのが一番しっくりくるなぁ。

今でも毎日使うんだけど、自分がしんどいときとか、
つまづいてるときって、不思議と新しい手てぬぐいは
手に取らないんだよね。使いまくったクタクタのやつとか、
一番最初に買ったやつとか。そっちの方が安心するんよね。

あとね、こうして手ぬぐいを贈られる、贈ることって
「手紙」のやりとりみたいだなって思う。

今回、本ちゃんは手紙付きで贈ってくれたけど、
もし、手ぬぐいだけを封筒に入れて贈ってくれたとしても、
モノではなくてメッセージとして受け取ったと思うなぁ。

赤か、ふむふむ。私のイメージなんかな?それとも私が
元気ないように見えて、頑張れ!って意味なのかな?とかね。
あれ、実は本ちゃんに良いことでもあった?とか(笑)

その人が自分のことを思い浮かべて選んでくれた時間が
まず嬉しいし、あったかいよねぇ、なんか。
たとえ言葉がなくても、手ぬぐいからその人の喋り言葉が
とび出てきそうな感じがして。

あ…、気づけばめちゃめちゃ長くなってしまった(笑)
手ぬぐいについてこんなに語ったのは初めてだわ。
でも必要な時間だった。ありがとな、本ちゃん!

Rらしい、長い長い返事を読んで、涙が出た。

自分の大切な人の、大切なエピソードに触れるって、
こんなにも胸が熱くなるものか。

「モノではなく手紙みたい」という感覚は、
私の中にもぼんやりとあったので、
答え合わせができたみたいで嬉しかった。
そして、また手ぬぐいが好きになった。

手ぬぐいとは「相棒」

(つづきます)

第5回 贈りものをして気づいたこと