もくじ
第1回19年ぶりに開いた通知表 2019-03-19-Tue
第2回はじめまして。2年4組 2019-03-19-Tue
第3回生活科・エナジースティックと自由電子!? 2019-03-19-Tue
第4回先生の軸〜授業を通して〜 2019-03-19-Tue
第5回先生の軸〜掲げ続ける目標〜 2019-03-19-Tue
第6回ずっと出せずにいた宿題を 2019-03-19-Tue

編集者1年生。駆け出しだからこそ、ぶつかっても、転んでも、駆け抜けたい。

20年目のつうしんぼ

20年目のつうしんぼ

担当・柴田真帆

第5回 先生の軸〜掲げ続ける目標〜

先生

    真帆ちゃんが「すごい!」て思ってくれている、
    用紙を追加するくらい長く通知表を記しているのは、
    実はすごいんじゃなくて、
    私が短くまとめられないからだよ。

    だらだら書いちゃっているのかもしれないって
    思うこともある。
    あとね、生徒から書く種をもらってもいるの。
    今も続けてる生徒同士の「ステキ探し」。
    生徒の視点って、私が気づけていないことも
    やっぱりあるんだよね。読むと、
    (なるほどなぁ)とか(そうか!)て思えたり。

    それからね、通知表の記入は己の評価でもあるんだ。
    「私はこの子の何を見ていたんだろう」
    って後ろ向きの反省もあるし、
    「こんなところを見れていたぞ」
    って前向きになれるときもある。
    何十年と仕事をやっていても、
    毎年違うこどもたちとの出会いの連続だから
    同じことの繰り返しは一度としてないんだよね。

    これを続けるエネルギーがどこから来るのか……。
    それは教師って仕事が
    「こんなに有り難い仕事はない」て思っているからかな。
    自分が発信すること(授業)に、
    「ありがとう」を言ってもらえるなんて。
    だから、こどもには
    その子が楽しいなと思える場所が見つけられたらいいな、って
    すごく思う。
    先輩の先生が
    「良い教師とは、そっと自分の存在を忘れさせて、
    生徒に生きる力を与える教師」
    って言っていたのは、
    まさにその通りなんだよね。
    だから、先生が書いた通知表をずっと覚えていてほしい、
    なんて全然思ってないんだよ。

    変わらないと言えば、先生が年賀状に書いてくれていた言葉。
    「どちらに転んでもシメタ!」
    これ5、6年生のときの年賀状から定番ですよね。

    いつの間にか刷り込まれてて、
    大なり小なり、悩み事があったとき、
    選択をしないといけないとき、
    この言葉が寄りどころになっています。
    どっちを選んだとしても結果として、
    自分が「シメタ!」「これがよかったんだ」
    と思える未来にしようって覚悟をしたいときにも、
    どっちを選んでも転んでも、きっと得るものはある、
    って張り詰めている自分を緩めてあげるときも、
    思い浮かべるんですよ。
    先生が投げかけてくれていた
    想いってこれで合っていますか?

先生
うん、そうだね。
その言葉、仮説実験授業の板倉先生のものなの。
担任した生徒に伝え続けている言葉だけど、
実はね、先生が自分自身に掲げた目標なんだ。

教室の後ろ、教壇から必ず見える左端に、
もう30何年あの紙が貼ってあるの。
画鋲のあとがたくさんになっちゃった。
真帆ちゃんの担任のときも貼っていたよ。
どんなにことがあっても、
「シメタ!」って思える心でありたい、て
ところと、
大きく書いてある
「いつも笑顔で元気です」これは、
モットーであり、目標なの。
どんなに腹が立っても、悲しくても、
生徒の前では笑顔で元気でいたい。
だから絶対に目に入る場所に貼っているんだよ。

ありがとう、て思ってくれる生徒に対しての
先生の責任でもあるのかな。
元気で笑顔でいることが。

(つづきます。※次で最後です)

第6回 ずっと出せずにいた宿題を