- 古賀
- ミリオンセラーというものを初めて出して
分かったことは、みんな全然知らないんですよ。
「嫌われる勇気」っていう本のこととか･･･ - 糸井
- （笑）とかね。
- 古賀
- ミリオンセラー本って、
みんなが知ってくれてる本のことだと思っていたんです。 - 糸井
- 大騒ぎしているからね。
- 古賀
- でも、みんな全然知らないし。
「誰にも届いてないんじゃないか」って
弱気になったりしました。
もちろん１００万人という数はありがたいことです。
糸井さんは、ヒットするということを、
自分の中で、どう考えていますか。
- 糸井
- 『ほぼ日』始めてからは、ヒット多様性になったね。
- 古賀
- ヒット多様性？
- 糸井
- これもヒット、あれもヒット。
ひとつの物差しじゃなく、
いっぱいあるゲームボードの上で、
これは、このくらいでヒット。
これは、黒字ならヒット。
こっちでは、結構売れたけどヒットまではいかない。
なんてルールをたくさん持つようになりましたね。 - 古賀
- それは、コンテンツごとに、
ヒットの基準があるということですか。 - 糸井
- 「すべてがコンテンツです」ということを言い始めて、
そう思うようになりましたね。
例えば、うちの事務所が引っ越ししたでしょ。 - 古賀
- はい。
- 糸井
-
古賀さんが、前の事務所も今の事務所も両方知ってて、
「引っ越しはヒットでしたね」って言うのなら
金銭的にはマイナスでも、それはヒットなんですよ。
なぜヒットかも、説明できます。そんな感じで、
世の中にすでにある価値観じゃないところに
自分の価値観を足していくというのが、
『ほぼ日』でやってることだと思います。１００万部に対して、５万部はヒットじゃないかと言えば、
５万部だって立派なヒットですよ。
だけど、１００万部を出すことで、
信用度が増したり、発言権などを持つようになるから、
次の本では、掛け算としてヒットを打ちやすくなる。
それは、大事なことなんです。 - 古賀
- なるほど。
- 糸井
- 「僕は黒子なんです」って言ってた
古賀さんという人×（かける）１００万部だから、
２冊目は「１００万部の古賀が」
って言われるのが、面白いところでもあるでしょ。 - 古賀
- それは、面白いですね。
- 糸井
- 立て続け感って面白いですよ。
一発屋に続く、二発屋がでないかな。 - 古賀
- 二発屋ですか（笑）
- 糸井
- 三発屋はないのか。それじゃ、床屋だ（笑）
- 古賀
- （笑）。糸井さんの中では、「ひと山当てたい」
みたいな気持ちはないんですか。 - 糸井
- 小さく（笑）
だから、今のヒット論みたいに言えば、
いつもひと山当てたいです。
楽になりたくて、仕事してるわけだからね。 - 古賀
- それ、言われますよね。
- 糸井
- 働くのが苦しくてしょうがないわけですよ。
めんどくさいし。 - 古賀
- 『ほぼ日』を始められた頃に、
働くのが流行ってるというのを
書いていらしたじゃないですか。
あの時期と今では、
仕事に対する感覚は違いますか。 - 糸井
-
あの時期も我慢していましたよ（笑）
一所懸命釣りをするのと、
働くことが流行ってるのは、
同じレベルでしたね。前の日に友達の分まで釣り道具をセッティングして、
糸を巻き直して、用意して、
車を運転して迎えに行って、
「じゃ、行こう」ってのは、苦労ですよね。 - 古賀
- ものすごい苦労です。
- 糸井
-
でも、やりたくてやっているからいいんです。
それと同じで、
こういうことって面白いぞ、と思っていたことは、
『ほぼ日』という名前もない頃から
釣りと同じくらい面白かったわけです。それこそ、千葉なんかに住んでいたやつを
車で最終に間に合うように送って行って、
そこから帰って、また仕事してとか、
そういうバカらしいことが楽しかったのです。その時の気持ちと似てるかな。
ひとつずつの仕事については、
今でも、ああ嫌だ嫌だ。 - 古賀
- （笑）まあ、そうですよね。
僕も本書くの嫌です（笑）
- 糸井
- ええっ！（笑）
- 古賀
- 楽しくないです。
- 糸井
- 楽しくないですよね。
- 古賀
- うん、楽しくないです。
本当は辛いです（笑） - 糸井
- 仕事から逃げるために、Twitterをやる田中泰延とか。
- 古賀
- 田中泰延を筆頭に（笑）。
- 糸井
- 筆頭にね。あれだけ書けてる人が、逃げで書いているってことでしょ。
- 古賀
- ですよ（笑）