おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson933
自分を出す

「自分を変えなきゃ」、と思ってる人が多い。
悪いとこ直そうとか、
自己分析とか、自己改革とか、成長とか。
でも、その前に、

「自分を出す」

でいいのにな、と私は思う。
生の声をあげる、自分が想うようにやってみる。
分析もしなければ、変えもしない、
「素の自分を表現する」。
けっこう解放される、これ。

新米の頃は、私の未熟さもあって、
文章表現教育現場で、

「いちばん伝えたいひとつを、
ただ自分の中から出せばいいだけ、なのに、
いったい何をなさっているのだろう?」

と思うような、
かなり迷走する生徒さんもおられた。
いまはそうならないよう事前にナビゲートするので、
ほぼ全員、表現できるようになったのだが。

私がやっているのは、「表現」であって、

テーマが自分についてのときは、「自己表現」であって、

これは、自分探しとは違うし、
自己分析とも、自己PRとも違う。
カウンセリングとも全然ちがうし、
ましてや自己啓発とは別物だ。

誤解を恐れずに言えば、
「ただ出すだけ」なのだ、表現は。

もともと自分の中にある想いを、
「考える」ことで引き出し、ピタッ!とくる言葉にし、

スポーン!と外に出す。

ただそれだけで、超気持ちいい。
ただささやかな本心が出せた、それだけで、
心底解放され、しばらくイキイキできるほど嬉しい。

これが、「書く歓び」だ。

「ただ出すだけ?」

そう、表現の原点は、
表現したいものを外に表せた、という純粋な解放感。
基礎教育では、ここがとっても大切だ。

「自分は何が向いてるか、どうあるべきか」、
と探さない、分析もしない。
医療ではないのでカウンセリングのように治療もしない。

にもかかわらず、いざ文章を書く段になって、
自分と向き合ったとたん、無自覚に、

「内省する人」、
自分の悪い所にフォーカスしては、反省してしまう。

「自己改革しようとする人」、
書き上げる制限時間内にできるわけもないのに、
自分の悪いところを直そうとしていたり、
時間内に成長を遂げて、良い人間になろうとしていたり。

「改竄する人」、
こんなダメな自分を書くわけにいかないからと、
良い人に見えるような内容にすりかえ、虚勢をはる。
悪い所も表現では御宝なのにもったいない。

「忖度する人」、
自分の本心そっちのけで、
この場ではどんなことを書けば喜ばれるのかと、
まわりの顔色をうかがい、そこに奉仕しようとする。

そんな風に、書くシーンで気苦労をして
疲れてしまっている人も少なくないんじゃないだろうか。

そうじゃなく、伝えたいものを見つける! 出す!

自分を出すことを、
試したり、鍛えたり、たのしんだり、しないうちに、

いきなり就活で自己分析とか、自己PRとか、

かなりハードルの高い、ひねりのある書くことを求められ、
これが書くことかと辛くなってる人もいるんじゃないか。

ぜひ、それまでに「素の自分を出す」よろこびを。

自己満足でできる、人を傷つけない範囲の、
ちいさなよろこびからでいい。
1ミリずつ、コツコツ試して、味わって楽しんでほしい。

「ただ出すだけ」、それでどうこうしようとしない。

なのに人は、「書いた、出せた。」ことで、
わだかまりが昇華されて人間関係が改善したり、
考えが進化したり、自立心が芽生えたり、
自然に前に進んでいる。

成長しようと画策してもできなかった人が、
ただ表現する、それだけで無自覚に成長していく。

「自分を表現する」

これは、初歩的なようでいて、
いまを生きるおとなたちに、実は足りてない、
必要なことだと、私は思う。

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。

 


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。


●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=491

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


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「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
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さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
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 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
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やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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