おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson932
「本当はこっちを伝えたかった」

表現教育現場、4年ほど前、
24名の受講生が、書き上げた文章を朗読していたときだ。

Aさんが読み始めたとき、違和感があった。

決してわるい文章ではない。
条件も満たして、よくまとまっている。
好感をもたれこそすれ、嫌がられる内容などない。
なのに何なんだろう? 一瞬で場の空気がもやっとした。

「Aさんなら、もっと書けるはずだ。」

私は、彼の実力は高い、こんなもんじゃない、と思う。
でも、なぜかその実力が発揮しきれていない。
他の受講生の発表は皆、スッキリ!納得感がある。

授業後、Aさんが駆け寄って来て、私に言った。

「僕がいちばんやりたいことは他にあったんです。
それを書けばよかった‥‥」

彼は、はっきりと後悔していた。

その後も、別の現場で、同様の違和感を覚えると、
決まって、その方が授業後、
私を待ち構えていてくださって、
「本当はこっちを伝えたかった」と強い後悔を
伝えてくださる。何回もそういうことがあった。

「自分がいちばん伝えたい1つを書く。」

これは文章の基礎教育で「書く歓び」の原点。
主題を選定するときに、

「一番伝えたい1つを選ぶ。
勇気が出なくて、あるいはつい、無難なものに
すり替えてはいけない。」

と、そこを丁寧にサポートすると、
全員、違和感ない文章が書ける。
いま、そうしているのだが、

とくに社会人の生徒さんの場合、
あらかじめ過保護にサポートしすぎるのもどうか、

「生徒さんに自発的に主題を選んでほしい。」

Aさんをはじめ、いちど、自分の意志で
1番じゃない方を選んで、表現してみて、
実感として、「やっぱり1番伝えたいことを書こう」、
と身に刻んだ人は、以降、強い。

その尊い失敗をする教育的機会を奪ってないか。
私はこれから、現場でようすを見ながら、その点、
注意深く進めていかなければならない。

「自分がいちばん伝えたい1つを書く。」

その1つが見つからないから難しいんじゃん、
と思う人もいるだろう、ただし、

表現には必ず〆切=制限時間がある。

書くまえに、考える時間は15分間しかない時、
「自分がいちばん伝えたい1つ」とは、
あくまで15分考えた中での「1番」だ。ここ重要!

白い紙を出して、
伝えたいことの候補を次々洗い出し、

ひとつ基準で丸をつける。

あとは、それと1つずつ比べながら、
より切実なほう、よりときめくほう、
「本当はどっちが伝えたいの?」
と自分の胸や腹に聞いて、よりカラダに響くほう、
を残しそうでないものを消していく。

そうして自分に忠実に選んだ主題はまちがいなく、
「制限時間内の自己ベスト=1番」だ。

「そうやって選んでみたけれど、
これが本当に伝えたいことかどうか自信がない」

という場合もあるけれど、それは、

「本当に伝えたい1つがあるのに、別のことを書く」、

とは別ものだ。
「好きな人など全くいないので、
婚活で選び抜いた1人と交際中だが、
一生の伴侶になれるか自信がない」というのと、
「本当は好きな人がいるのに、別の人と結婚できるか
自信がない」が別もののように。

たとえ15分間でも、制限時間内の自己ベストで、
洗い出し、選んだ、「自分がいちばん伝えたい1つ」
なら、表現してみる価値はあると、私は思う。

「本当はこっちを伝えたかった」

と後悔を伝えに来てくださった方の表情、
読んでいる時のご本人や、まわりに漂う空気、
あらためて思い出し、これは人生も同じだ、と私は思う。

「本当はこうしたい、がありながら、別のことをやる」

のは、つくづく、人間にとって骨が折れる行為だ。
するそばから違和感、まわりも違和感。
やり終えたとき、本人には後悔がある。

「本当はこっちを伝えたかった」

あなたの中に眠っていませんか?

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。

 


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。


●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=491

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


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「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



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 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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