おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson930
伝えるほうが、ずっといい。

口はわざわいのもと、といわれ
「言わない」ことがいいような先入観がはびこっている。
でも、表現教育を通して、たくさんの人の人生を
かいまみさせていただいて思う。

「伝えない」ことのほうが問題だ。

人間同士の対立・憎悪・悲劇は、
「伝えたいことを伝えなかった」ことから、
より多く起きている。

表現教育を通して、たくさんの人々の人生に触れ、
ふりかえって、私は、

「いちばん伝えたいことを、
伝えたい人に、伝えて、伝わって、
それで後悔している人を見たことがあるだろうか?」

と問うてみた。驚くことに、記憶にない。

伝わって、恋愛や就職が成就した人、
「想いが叶って人生を切り拓いた」、
「大切な人の支えになれた」人が浮かぶ。

「それはうまくいったからだろう。
伝えたって叶わなかったら、恥かくだけ、
言わなきゃよかった、になってるはずだ」
と思う人も多いと思う。でも、

うまくいかなかった場合も、人は後悔しない。

恋愛の告白で、フラれても、
「心底好きという気持ちを伝えられたことが、
思いのほか気持ちよかった」、
「相手がちゃんと聴いてくれた。嬉しかった!」
「のちのち想いを伝えて生きる自信がついた」
という人もいる。

起業した人、リーダーとして人を束ねる人、
信頼関係を築くには、お互い本当のことを伝え合う
ことが不可欠だったと言う。

逆に「伝えなかったこと」には多くの人が後悔している。

「あの時、本当のことを伝えていたら‥‥」
「もっと早くに伝えていれば‥‥」
「ひと言でも、どうして本心を
伝えなかったんだろう‥‥」と。

悲劇は、見えないところで静かに起こっている。

人と人が言い争っているのは、目に見えるので、
「ほら言わんこっちゃない、口はわざわいのもと」、
「何も言わなければ波風立たなかったのに」と思い易い。

でも、言い争ってできる擦り傷・切り傷より、
もっと深いのは「溝」。人と人の溝は、
目には見えない心の中に、沈黙のうちに、できていく。

本当は好きだった友だち、
まわりの人たちの悪ノリで、つい一緒に
からかって傷つけてしまった、
そこをさかいに溝ができ、後悔している人がいる。

「なぜ、あのあとすぐ、大事に思ってることを
伝えなかったんだろう?」

チームのほとんどの人が、
「この人の、ここが問題だ」と苦しんでいる。
でもだれも、その人に伝えない。
だからその人は、自分で自分の問題に気づけない。
その人とみんなの溝は、どんどん深まっていく。

「もっと、事が小さいうちから、みんなでコツコツ、
こういうことはやめてほしいと、伝え続けていれば‥‥」

忙しいから、つい結果だけを部下に突きつける上司。
「この赤入れのところを直せ」「持ち場を変われ」
何の理由も伝えられない。
部下は、自分のどこが悪いのか不安に沈んでいく。
上司は部下を信頼しているからこそ、
コイツは何も言わなくても大丈夫、と伝えない。
そのうち溝ができ、後悔する、

「せめて、日ごろ信頼していると
一言そえて指示すれば‥‥」

伝えないのか、伝えられないのか。

伝えたいことや伝える手段が見つからなかったり、
相手の反応を恐れたり。
でも、そんな努力や模索のまえに、「なんとなく」で、
伝えることをあきらめてしまっている人も多い。

「自分は伝えないことを、好んで選んでいる。
だから波風も立たないし、後悔もない。」

という人も、もちろん尊重する。
でも、一つだけお聞きしたい。

「遠ざかって、いないだろうか?」

伝えたいことを伝えないのは、自分に蓋をする行為、
抱えきれなくなれば、相手と顔を合わすのもツラい。
さらに、伝えなければ、本当のところ、
相手がどう思っているのか、わからない。
その「空白」に、互いの憶測が入り込んで溝になる。

疎遠とか、自然消滅とか、離れていってしまってないか。

伝えることを怠るうちに、
本来お互い好きだった親友どうしは、口もきかなくなり、
チーム内の溝は、埋めようもなく深まり、
信頼している部下は、尊敬する上司のもとを去っていく。

「その人は本当に遠ざかっていい人なのか?」

本来好きな人との間に、溝ができていくくらいなら、
「伝えるほうが、ずっといい。」と、私は思う。

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高校生対象、山田ズーニー小論文講演会のおしらせ
いちからわかる! 志望大の夢をつかみとる!
「小論文合格対策講座」

7月14日(日) 金城学院大学にて
09:45〜10:45 12:50〜13:50

(2講演、同じ内容です。愛知県名古屋市。)

入試に小論文がある高校生が、
小論文とは何か、いちからわかり、好きになり、
本番でどう考え、どう書くかまでつかめる講座です。

金城学院大学の志望者でなくとも、
高校生ならどなたでも無料で聞くことができます。
ただし資料に限りがあり、大人の見学はご遠慮ください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。

 


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。


●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=491

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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