おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson915
すぐれた作家には事件の方から寄ってくる、か?

表現体質の人は、ネタを探さなくても
面白い事件の方から寄ってくる、とよく聞く。

「そんなはずはない」と思う。でも、待てよ!

「観察力と考察力の錬磨」によるものではないか。

表現するため日頃からアンテナを張り、
研ぎ澄まされ、人の機微に敏感に、
洞察が鋭くなっていった結果、
人が見過ごす所に「発見」があるのでは。

私は文章を正直に書く。

話を面白くするために盛ることもしない。

そんなバカ正直に書いた私のコラム「人の花」が、
SNSで拡散されたときに、1人だけ、
「つくり話だ」という人がいた。

やましいところが全くない私は、全く腹が立たなかったが、
不思議でしょうがなかった。この人は、

「こんなありふれた出来事をなぜつくったと言うのか?」

飲食店で店員を怒った客がいた。
別の日は、注文を忘れられても寛容な客がいた
‥‥つくり話をする人なら、もっとドラマを入れるはずだ。

あ、そうか!

「事件は見えるところに転がってない。」

虐待の報道が相次ぐいま、
虐待が行われている親子が身近にいても、

隣家で毎日顔をあわせているというのに気づかない人がいる。
キャンプで1泊その親子と寝泊まりしても
何も感じない人もいる。

そうかと思えば、

スーパーのレジでのほんの些細な親子のやりとりを見て、
「何かある!」と直感する人もいる。

この差は、「経験と訓練。」

自身が虐待された経験があったり、
仕事柄いろいろな人間の機微を読み取る訓練をしていたり、
その果てに、

人間への洞察が鋭く、繊細に人の機微を読み取れる。

「作家が表現体質と言ってるのは、
もしかして職業的錬磨なのかも!」

先日、会食したときこの話をし、

「今、この店で、それぞれ何を見ているか?」となった。

同じ店に居合わせた4人見ているモノはゼンゼン違った。

ある人は、照明の当て方が変わってる、独創的だと。
ある人は、中国人の店員さんの言動が興味深いと。
ある人は、バリアフリーに関心あり、段差に目がいくと。
ある人は、建築に興味があり、構造が気になると。

みな、私が見えないものを見ていた。

「表現者は、見えないものを見ている。」

表面的な言動の奥にある人間の本性を。
人が複数いる時、その人たちの関係性を。
まるでレントゲンのように、その組織の構造や問題点を。

面白いことは大抵人の心の地下2階で起きている。

「ネタが枯れる」、と心配する人がいる。

私も、この連載の最初のころは血まなこだった。

でも、毎回必死にアンテナを張るうち、
まえより感覚が研ぎ澄まされていった。
何も見えてなかった私が、人の機微に敏感になり、
洞察力が深くなっていった。すると、

人が見過ごすようなところに発見ができるようになる。

「私は正直に書くし、話を盛りもしない。」

あ、だからこそ!

限られた小さな発見を、それでも伝えきろうと、
なぜなぜなぜと考察する力が増していった。
伝える筋肉も鍛えられていった。

そうして鍛えられて、

より深いところが書いて「出せる」ようになると、
まわりのより深い部分が「入ってくる」ようになる。

優れた作家さんたちはきっと職業的錬磨の果てに、
この、「出す」と「入る」のいい循環ができている。
書けば書くほど力が錬磨され、レベルアップいく。

すると「ゾーンにはいる」。

面白い出来事の方から寄ってくる、
面白いから書ける、書いて出せばもっと入ってくる。

だから、作家は枯れない。

ごまかしなく自分の頭で考え、自分のペースで出し続け、
観察力・考察力が磨かれていく限り、表現者は枯れない、

と私は思う。

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表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。


●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=491

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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