HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
台湾のまど 青木由香の台湾一人観光局 ほぼ日支所
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映画監督たちと会津へ。

先日、台湾のメディア招致のような仕事で
台湾の人たちと福島県の会津へ行ってきました。
会津は、盆地で原発の被害はなく安全なのに、
農作物の売り上げも観光客数も
未だ元には戻っていません。
景色もいいし、温泉もあるし、
食べ物はうまいし、歴史もある。
台湾人が好きなものがウジャウジャあるのに勿体ない!
ということで、どう台湾に広げるか?
頭を使って色々考えつつ行って来ました。


勿体ない例、五色沼。陽の入り方で色が変わるところで、
沼の色は、赤、緑、青に変わるらしいです。
タイミングよく紅葉も見れました。

今回は、旅行系のメディアで
この会津の旅を紹介するのではなく、
映画監督と米を作っている人と一緒です。

映画監督の方は、一昨年、台湾で話題になった
「太陽的孩子」という映画をとった2人。


鄭有傑監督とLekal Sumi監督の共同監督作品。
Lekal監督の母親のドキュメンタリー。
実際のモデルになった村で撮影され、
キャスティングのほとんどは素人の村人。
この村は、期せずして有名に。

台湾先住民の物語で、先祖からの土地を開発から守り
お米作りを復活させる実話を撮った映画で
「生まれた育ったこの地を愛しているよ!」
という人たちの物語。
そんな監督たちの担当は、会津で暮らす人たちを通して
台湾に会津を紹介する映像制作。
どちらかというと、人情・シリアス担当。

米を作っている人というのは、
最近台湾に増えている小農(シャオノン)の二人。


お米を注文してくれた人にお米と一緒に送っている、田文社の冊子。
全部手書きで間違ったところは、ぐじゅぐじゅと黒丸で潰し、
隣に書く方式。台湾での無農薬の田んぼにつきものの、
タニシの卵が大好きな30歳が社長
(会社でもなんでもない、ただの活動名)。

肥料や薬を使わない、
人と地球に優しい農業を子供の泥遊びのように営見つつ、
田文社と名付けてFacebookで農民生活を書いていたら
「いいね」の数がやたらと多くなってしまった30歳女子。
こちらはフリーペーパーで、
取材した側のみんなの体験から会津を綴ってもらいます。
どちらかと言わなくても、お笑い担当。

この両方ともメディアでもブロガーでもありません。
赤絵の具に、赤いものを投入しても目立たないの原理。
旅行の紹介ばかりしているところに
会津の旅を提案しても埋もれるじゃないですか。


埋もれちゃもったいない例その2。
大塩裏磐梯温泉の秘湯の湯「米澤屋」のご飯。
太古の海水が高温の地下水に溶け出して湧き出しているので
しょっぱい温泉。
そのまじりっけないものがジャバジャバ浴びられるお宿。
施設は古い温泉宿で安いのにこの豪華さ!

旅行業界の枠の外から、
「シリアス」と「お笑い」という
二極からアプローチする方法です。
テレビや雑誌より、違う角度から見せられると
見る人の心にキッチリ会津が刻まれます。
実際の誘客につながる率がこの方が高いのではない?
と考えました。

取材先は、代々受け継いでいる人を主に観光系と
そうじゃないものを織り交ぜました。


映像チームの撮影風景。
どの場所でも出会った人のポートレイトを最後に撮りました。

日本でも台湾でもインバウンドの依頼主のオススメは、
ニーズと合っていないことが多々あります。
今回は、行く場所も私たちで選ばせてもらいました。
さらに図に乗った我らは、
台湾がどんなところか知ってもらわないと
誘客なんて成立しないだろうと、
日台交流の時間も設けました。

こうゆう仕事をお受けするとき、
「受け入れは十分ですか?」
と依頼主に聞いて回ります。
うちのようなゴマのように小さい会社が
ちょっと生意気ですが、
台湾人と中国人、はたまた韓国人との見分けもつかない
なんてことはよくあって、
刷り物、案内看板の中国語表記はあっても
中国で使われる簡体字だけで、
台湾・香港で使う繁体字がなかったり、
それがダメだとは思ってもいない自治体が多いからです。

だから、交流の時間。

映像チームと冊子チーム、会津の共通項はお米です。


米を入れる紙の袋が台湾にはないと、買い漁っていた田文社。
写真は最初に見つけた時の喜びの図。
会津はどこに行っても、お米作りが身近でした。
お米がすごく美味しかった。
みんな、どこのうちも自分たちで作った米か
身近な人の作ったお米を食べていました。

喜多方ラーメンの「赤れんが」で米を売ってたので聞くと、
旦那さんがお米を作っているとのこと。
綾瀬はるかちゃんのコスプレ写真の隣には、
綾瀬はるかちゃんの全く同じポーズのポスターが。
「震災でみんな暗かったから、みんなが明るくなるように
わざわざ取りに行ったのよ、バカでしょ?」
とケラケラ笑っていました。

「太陽的孩子」の映画上映会とそのあと、
一緒に宴会をしました。
この映画、泣けるんです。
会津のおじさんたちも泣いたり、泣きかけたりして
先祖代々、
何があってもそこで暮らすことを噛み締めていました。

田文社は、行った先々で自分たちの小冊子を配り
台湾の米作りをしている人たちの話をし、
台湾人の見分け方は、オバちゃんがショッキングピンクを
身につけていること!と言って回りました。


ピンクの件は、知り合いも言っていたので、
三年前観察していますが、
本当に基本、誰もがピンクの服。
服にピンクがなくても、携帯ケースがピンクとか。
手元にピンクおばちゃんの写真がなかったので、
田文社の冊子を。
おばちゃんのピンク好きを笑いながらも、
本人もピンク好き。
つぶつぶがタニシの卵。

自分のところに来てもらいたかったら、一方通行じゃダメ。
打ち上げ花火みたいに、大きなメディアで宣伝するより
交流がうまく行ったら、仕掛けた後も行き来が残って
長続きが自動的に始まります。

実際、大内宿のおじさんたちは
来年雪まつりの打ち上げに「台湾に行くぞ!」と言って
日程と奥さんの許可調整を始めていました。


この茅葺き屋根の中で囲炉裏を囲みながらの上映会。
「これから映画上映が始まります〜」の村のアナウンスは
「みなさん、ちょっと遅れてもいいので奮ってご参加ください。」
鄭監督は日本語はわかるので吹き出していました。

映像と冊子の成果物が出来たらまたお知らせします!
こんな、やり方を受け入れてくれた発注主に感謝です。


今回の映像担当である鄭有傑監督と
Lekal Sumi監督の映画。
映画の音楽はsumingが担当し、
主題歌が2015年に
台湾の音楽アワード・金曲獎で
原住民として初めて一番大きな賞をとりました。


宜蘭という水が豊かな、
海も山も温泉もあるところでお米作りをしている。
厳密にはover一人の活動だけど、
彼氏を社員と称して手下に使っている。
撮影、文章、デザインを一人でこなす、
一人メディア?

2017-11-14-WED