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ほぼ日手帳

糸井重里

・知らない人は知らないが、知ってる人は知っている
 「みてね」という大人気のアプリがある。
 家族や近しい人、「うちうちだけ」でたのしむもので、
 主にというか、ほぼすべてが子どもの成長アルバムだ。
 これに、ぼくも、うちの上司も参加しているおかげで、
 「娘の娘の日常」のだいたいのところを共有している。
 赤ん坊のころは、離乳食をこぼしながら食べていたりとか。
 歩くようになったり、なにかしゃべるようになったり、
 どこやらに旅に行ったり、ともだちと公園で遊んだり、
 いつもそういう写真や動画を見ているものだから、
 それほど頻繁に会ってなくても、いろいろわかっている。

 いまは、インフルエンザが流行ってて、
 手洗いが大事だということを、ぼくもよく言っているが、
 最近のぼくの手洗いの丁寧さはすごいことになっている。
 これ、よく考えたら、「みてね」の動画で、
 彼女のバカっ丁寧な「手の洗い方講座」を学んだせいだ。
 このごろ、娘の娘は、「疑似ユーチューバー」なのだ。
 世界に向かって発信しているわけではないが、
 家族たちに向かって「わたしちゃんねる」をやっている。
 ぼくが、それの影響を受けているというわけだ。

 かつて、「二世帯住宅」というのがあったらしいが、
 この「家族アルバム」のアプリによって、
 「二世帯、三世帯の思い出」が共有されている。
 そういう前提で、現実の場面で会ったときにも、
 好きなことやら興味のあることについての話題が、
 すっと親しいものとしてつながっていく。
 ネットとかSNSとか「よろしくない側面」も多いけれど、
 やっぱり、「おかげでよかったこと」も多いんだよなぁ。
 おそらく、こどもたちが大きくなったとき、
 じぶんがどれほど親たちに大事にされていたか、
 何人もの人に守られてきたか、知ることにもなるだろう。
 なんなら、その配偶者にも、それが伝わることになる。
 いいものつくってくれたなぁ笠原さん、とか思っちゃう。

 「ほぼ日」も、そんなふうに思ってもらえるよう、
 がんばりたいっす、手洗いもちゃんとやります、師走です。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いまの時代を貶してばかりいるより、いいとこも見つけたい。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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