おいしい店とのつきあい方。

075 お店の情報とのつきあい方。 その1
はじめてのお店に行くときは。

はじめてのお店に行こうと決めたとき。
どんなお店なんだろう‥‥、とワクワクします。
それと同時に、もし思ったようなお店じゃなかったとしたら
どうしよう‥‥、とドキドキもする。
そのワクワクとドキドキが入り混じった気持ちと一緒に、
はじめてのドアを開ける。
はじめてのお店にはいるときにだけ感じることができる
高揚感にクラクラする最高の瞬間‥‥、なのですネ。

よりワクワクするために、どんなお店か調べてみたい。
ドキドキが過ぎてしまって
ビクビクになってしまわないように、
どんなお店か調べておきたい。
昔は雑誌を見たり、
実際にお店にいった人の話を聞いたりするくらいしか、
お店の状態を調べることは出来なかった。
今は簡単。
インターネットの世界の中には、
出来たばかりのお店の情報ですらもう存在してる。
基本的な情報だけじゃなく、
画像や行った人たちの感想までもが気軽に沢山手に入る。
便利です。
便利だけれど、お店に行く前に
そういう情報を見すぎてしまうと
お店に行く前にもう行った気になってしまって、
ドキドキもワクワクもなくしてしまう。
オキニイリのお店を「発見」しに行くのでなくて、
誰かの経験を「なぞる」ようなことになっちゃう。
とはいえ、これから行こうとしているお店が
どんなお店かは気になるし‥‥。

なやましいところではあるワケです。

そうした「世の中にあふれるお店の情報」と
どう付き合うかをしばらくお話してみたいと思います。

そういうボクも、お店の情報はよく見ます。
ひとつには飲食店のコンサルタントを
生業にしているということもあり、
仕事の一環、勉強として。
ただ、ほとんどが今度のお休みに
新しいお店に行ってみようか‥‥、
と思ってお店探しをしたりすることがほとんど。
お店を利用した人たちが自由に感想を投稿し、
点数評価でランキングをつける有名サイトが
やはり生々しくて、便利ではある。
ただ、点数というのは曲者で、
誰がどういう基準で点数をつけたかわからない以上、
その点数自体はたよりにならないと、
それは信用しないというのが、
そのサイトと付き合うボクの基本スタンス。

見るけど、信じない‥‥、というコトですネ。

住所や電話番号。
お店の屋号と
出店しているビルの名前が同じだったりしたら、
もしかしたらこのビル、お店の自社ビルなのかなぁ‥‥、
であるとか。
電話番号が0120ではじまる
フリーダイアルだったりすると、
純粋な顧客サービスのあらわれかしら‥‥、
それともかなりの大手企業がやってる
お店なんだろうかとか。
サイトに書かれてる様々なコトが、
ボクの創造力をかきたてる。

利用者のレビューがとてもにぎわっている店があったり、
ほとんどレビューが載っていないお店があったり。
それって単純に、人気が高いか
人気がないかのバロメーターなんだろうか?
話題のお店のレビューに必ず顔を出す、
批評家気取りのブロガーさんたちのつけた点数と
評価を果たして信用すべきかどうかなんて、
その裏側にあるさまざまを考えながらみるのもたのしい。
ちょっとしたサスペンスドラマを読んでるような
気持ちにすらなれる。

お店の情報をまとめたサイトを見るときに、
最も大切なのは「想像力」だと思うのです。
情報をみる。
見たら自分の想像力を働かせながら、
自分なりのお店に対するイメージを
頭のなかで組み立ててみる。
すると、どんどんワクワクしてくる。
どんなドキドキがボクを待っているんだろう‥‥、と、
きたるべき日に備えて
いろんなココロの準備ができたりもする。
情報サイトを冒険の旅の地図のように使いこなす。
便利な情報が書き加えられた「ガイドブック」ではなく、
あくまで「地図」。

例えばあなたが行こうとしているお店の情報に、
こんな記述を発見します。

「客席数25席」という記述。

これは一体、何を意味しているのでしょう。
あなたはどんなイメージを、
客席25席に対して想像するのか。
来週、一緒に考えましょう。

サカキシンイチロウさん
書き下ろしの書籍が刊行されました

『博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか
半径1時間30分のビジネスモデル』

発行年月:2015.12
出版社:ぴあ
サイズ:19cm/205p
ISBN:978-4-8356-2869-1
著者:サカキシンイチロウ
価格:1,296円(税込)
Amazon

「世界中のうまいものが東京には集まっているのに、
 どうして博多うどんのお店が東京にはないんだろう?
 いや、あることにはあるけど、少し違うのだ、
 私は博多で食べた、あのままの味が食べたいのだ。」

福岡一のソウルフードでありながら、
なぜか全国的には無名であり、
東京進出もしない博多うどん。
その魅力に取りつかれたサカキシンイチロウさんが、
理由を探るべく福岡に飛び、
「牧のうどん」「ウエスト」「かろのうろん」
「うどん平」「因幡うどん」などを食べ歩き、
なおかつ「牧のうどん」の工場に密着。
博多うどんの素晴らしさ、
東京出店をせずに福岡にとどまる理由、
そして、これまでの1000店以上の新規開店を
手がけてきた知識を総動員して
博多うどん東京進出シミュレーションを敢行!
その結末とは?
グルメ本でもあり、ビジネス本でもある
一冊となりました。

2016-09-01-THU