おいしい店とのつきあい方。

076 お店の情報とのつきあい方。その225席ということは‥‥?!

25席という情報。
考えはじめると、何時間でも
それがどんなお店なんだろうと、
思いを巡らすコトができます。
だってとてもミステリアスな席数だから。

まず奇数です。
普通、レストランのテーブルには
偶数分の椅子が置かれる。
2人がけ。
4人がけ。
そのどちらかが基本で客席は構成される。
これは、レストランという場所は基本的に、
1人でお越しになるお客様は稀だという考えが
前提にあるのでしょうね。
恋人、家族、そして友達。
みんな2人以上で、なのに25席という奇数の席数。
いろんな妄想が湧いてきます。

普通に考えられるのは、カウンター席があるお店。
カウンター席なら長さに応じて、
偶数であれ奇数であれ自由に客席を作ることができるモノ。
しかも、カウンターにギッシリ座ると窮屈で、
2人客と2人客の間に1席、
空席ができるように配慮するのはやさしいお店。
だからカウンターの席は5人席でワンセットというのが
ステキなお店のひとつの条件。
もしそのカウンターが厨房の目の前にあったりしたら、
なおステキ。
厨房の中で料理が次々、出来上がる場面を見つめながら
食事ができるとしたら、こんなにうれしいコトはない。

そう思いながら予約の電話をかけてみます。
お店が忙しい時間だと、ただ行く時間と人数と名前、
連絡先を伝えておしまい。
だからお店の中がほっと一息ついた時間を狙ってかける。
夜の営業が始まるちょっと前の時間。
4時半だとか、あるいは5時が
お店の人とコミュニケーションをやさしくとれるよき時間。

予約をいつものようにテキパキ、簡潔にまず行います。
運良く空席があって予約がひと段落。
そこで一言。
「もしかしてそちらにはカウンター席があるのですか?」
こういうサイトを見ながら
お電話をかけているのですけれど、
25席という客席数が
ちょっと気になったものですから‥‥、と。

あら、このお客様。
飲食店を使い慣れてらっしゃるのかなぁ‥‥、
と、お店の人との距離がちょっと近づきます。

厨房の前にカウンターがございまして、
5席分のご用意がございます。
ちょうどその日はおふたり様の予約が
すでに入っておりまして、もしご興味があるようであれば、
そちらのお席のご用意もできますが、いかがしましょう。
おひとり様の予約が
直前に入るようなコトがございましたら、
ちょっと窮屈になることもあろうかと存じますが‥‥、と。

シェフとお近づきになれる絶好のチャンス到来。
断る手はおそらくないに違いない。

もしかしたらその情報サイトには
誰かが撮った写真が掲載されているかもしれません。
お店の写真の中にカウンターが写り込んでいる
写真もあったかもしれません。

「カウンターが写っている写真を見たのですが、
 カウンターの席はその日、空いていますか?」。

そう聞いたとしましょう。
あぁ、この人はその写真だけでなく、
料理の写真やうちに対する
様々なレビューも見ているに違いない。
他の人の意見を鵜呑みにする人じゃなければいいなぁ‥‥、
ってもしお店の人に思われたとしたら、
あまり得するコトじゃない。
電話番号や住所程度の基本的な情報をたよりに、
イマジネーションを膨らますことができる人。
他の人たちの意見に左右されることなく
自分ならではの評価を下してくれる人。
そういう人のために、とっておきのカウンター前の5席を
お店の人は使いたいと、
お店の人が思ってもしょうがないこと。

だからボクは思う存分、妄想します。
その妄想がピタッとハマるときの
たのしさったら格別ですし、
ときにその妄想が見事に外れてしまうコトがある。
ボクの想像力を遥かにこえたお店に出会えたという、
その瞬間もまたたのしい。
例えば、25席全部がカウンターのお店なんていうのが
実際あったりするのですネ。
来週、その驚きのお店の話をいたしましょう。

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2016-09-08-THU