かごバッグをもってパリに行ってきたばかりの
伊藤まさこさんと、
モロッコのマラケシュ出張を終え帰国した
Fatima Moroccoの大原真樹さんが、
東京で会いました。
話題は「weeksdays」が別注をした、
かごバッグ「2WAYレザーベルトバスケット」のこと。
パリでの使い方、モロッコでの使われ方、
そしてわたしたちへの使い方のアドバイスなど、
2回にわけて、お届けします。
商品・モデル写真=有賀 傑
取材写真=南萌(weeksdays編集部)
大原真樹さんのプロフィール
大原真樹
モロッコ雑貨店「Fatima Morocco」
(ファティマ モロッコ)ディレクター。
バイヤー、スタイリストとして世界中を飛び回り、
様々な国と出会うなか、モロッコに魅了され、
2006年に独立、店舗経営をはじめる。
今も年間100日以上をモロッコで過ごす。
著書に『女は好きなことを仕事にする』
(大和書房)がある。
「weeksdays」には
「miiThaaiiのバッグとHonneteのストール、
あのひとの使いかた」
「バブーシュを暮らしに Fatima Moroccoの20年」
に登場。
02丈夫さ、かっこよさ、丁寧さ
- 伊藤
- 今回、「weeksdays」のために
別注を受けてくださって。
わたし、今日は黒っぽい格好をしているんですが、
そんな日は黒い革のバッグだと重いんです。
けれど、このかごなら大丈夫なんですよ。

- 大原
- ちょっと抜け感が出ますからね。
とっても素敵だと思います。
原型となったFatima Moroccoのかごバッグは、
革でデザイン(意匠)が施されていたんです。
「weeksdays」は、それを無くしましたね。
そして、留め金も変えました。
- 伊藤
- そう、平たいタイプにしていただいたんです。
- 大原
- そして、ステッチを、革と同色に。
そして茶色を作りましたね。
もともと、黒はありましたが、茶色が無かったので。

- 伊藤
- 最初の印象は「かわいい」ですけれど、
革を使っていることで、高級感もあって。
- 大原
- そうですね。
革が多い分、印象が変わって、
いろんなシーンで使えますよね。
かごって、一年中、どんなシーンにも
合わせることができるから便利ですよね。
いま、ラグジュアリーブランドも
いろいろなかごバッグを発表していますけれど、
多くが、このバッグと、同じ工場製なんです。
同じ工場で、同じ職人さんが担当しています。
- 伊藤
- 今回も、パリで、ウィンドウにかごバッグがあるのを
いろいろ見てきましたが、遜色がないですよね。
- 大原
- はい、品質には自信があります。
ただ、ハイブランドが使う革は、
ヨーロッパのそれぞれの国から
持ってきたものが多いんです。
私たちが使う革はモロッコ国内で仕入れています。
そこが違うけれど、手は同じ。
見てのとおり、編む人の力加減などで、
ちょっとだけ個体差がありますけれど、
それが味だと思っていただければと思います。
- 伊藤
- なにより丈夫ですよね。
- 大原
- ほんとうに、丈夫。
ナチュラル&オーガニックコスメを扱う
全国展開のセレクトショップで使う、
小さな店内お買い物かご、うちが作ってるんですが、
いろんな人が毎日ヘビロテして使って、
壊れたという報告を受けていないんです。
うちのかごバッグは、それぐらいヘビーに使っても
大丈夫なくらい、強いんですよ。
- 伊藤
- こまごました物を入れても中が一目瞭然。
それがいいですよね。
マチがあって、口が広くて。

- 大原
- そうなんですよね。
夏の軽い格好に、こういう大きめのかごって、
いいですよね。
- 伊藤
- ちょっと買い物したのに
エコバックを持ってなかったときも、
これさえ持っていれば大丈夫ですし。
- 大原
- そうですね、確かに。
ぜひ、ヘビロテしてください。
私、玄関のスリッパ入れ、これですよ。
バブーシュを入れているんです。
- 伊藤
- そうだ、バブーシュもありがとうございます。
再入荷させていただいて。
とっても好評ですよ。
みんな、待ってたんだと思います。
- 大原
- 嬉しいです。
- 伊藤
- このかごバッグも、夏に限らず、
またぜひにって思います。
- 大原
- そうですね、ぜひ。
冬もいけますからね。
コートにかごとか、可愛いじゃないですか。
- 伊藤
- そう、かごって夏だけのものじゃないですね。
ざっくりしたタートルにもいいと思います。
- 大原
- 私、一年中、かごなんですよ、
もう重たいカバンを持てなくて。
- 伊藤
- ほんと、それですね(笑)。
ところで、最近のモロッコはいかがですか。
わたし、パリで、
急に「今日、この駅は使えません」とか、
バスも「はい、次の駅で止まります。降りてください」
みたいなことがあったんですが、それに馴れてきて、
「もう、どうにでもなれ」みたいな気分になって。
日本にいるときの「ちゃんとしなくちゃ」の感覚と
ずいぶん違うなあって感じたんです。
モロッコの人たちもそうですか?

- 大原
- それの×10(かける10倍)ぐらいです。
- 伊藤
- じゃ、逆に、かご職人の方は、
特別に勤勉なタイプなんですね。
- 大原
- そうですね。こういう伝統工芸の人たちっていうのは、
子どもの時からものを作っているので勤勉です。
イスラム教徒の真面目な人たちが多いから、
1日5回のお祈りの時間になると
手を休めてお祈りに行って、
あとはもう、真面目に仕事をして。
- 伊藤
- この前のバブーシュの時もお聞きしましたね。
少年の頃からずっと、って。
- 大原
- そうです、そうです。
この職人さんは、20年ぐらいのお付き合いです。
- 伊藤
- そういう職人さんって、減ってたりはしないですか?
- 大原
- してますね。結局、世代交代ができないでしょ。
今の時代の若い子たちは、
そういうのはやりたくなくて、継承できていない。
かごを編む内職として女性たちができるんですが、
この縁を付けるとか、ハンドルを付けるとか、
ちょっと難しい技になると、人が減っていく。
昔はできてたけど、今、できないことが増えました。
- 伊藤
- ほんと、どこもそうですね。
- 大原
- バブーシュの刺繍もそうなんです。
もう世の中の流れがそうなっているのか、
あんまり継承できてない。
どこの国もそうですよね、
若者はみんな、都会に出たがる。
スマホでいろんな情報が入ってくるから、なおさら。
- 伊藤
- やっぱりスマホを。
- 大原
- すごく見てます。
砂漠のノマド(遊牧民)たちも見てますよ。
砂漠の真ん中でも携帯の電波はつながりますから。
- 伊藤
- パリは、前よりは増えたけど、日本ほどじゃないなと。
まだ、本を読んでいる人もいて。
- 大原
- 素敵! モロッコ人は、もう、みんな携帯です。
ラクダに乗ってるラクダ引きも。
- 伊藤
- そうなんですねえ。
- 大原
- 町も変化しています。
旧市街の中のロバしか通らない道とかも、
昔はガタガタで屋根も無かったのが、
最近、屋根が付いたり、道が舗装されたり。
今度、ワールドカップをモロッコで開催するので
(2030年、モロッコ・ポルトガル・スペインの共催)、
それに向けて、国を挙げての大工事をしてるんです。
サッカー、強いんですよ、ベスト4に入ったのかな。
なので、国を挙げてやってます。
時代は変わっていくんですね。
- 伊藤
- もう、しょうがないと言えば、
しょうがないですよね。
- 大原
- そうですね、職人のおじいさんたちも、
まだ頑張ってくれていますけれど、
年を取っていくので‥‥。
けっこうな年じゃないですか。
- 伊藤
- そうですよね。
でも、こうして、いいものをつくってくださって、
ほんとうによかったです。
大原さん、ありがとうございました。
またぜひ、ご一緒に。
- 大原
- こちらこそ、ありがとうございました。

(おわります)
2025-06-10-TUE