
ほぼ日刊イトイ新聞の膨大なアーカイブから、
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
ぜひ読んでほしいコンテンツを選んで紹介する、
冬休みのほぼ日恒例企画!
いつもがアーティスト別のアルバムなら、
今回はコンピレーション・アルバム風。
毎日、さまざまなテーマに合わせて
ミックスした読みもの集をお届けします。
セレクト&解説は、ほぼ日編集部の面々が担当。
冬休みのおともに、ポチポチ読んでみてください。
こんにちは、ほぼ日編集部のハサダです。
本日はほぼ日のデザインチーム、
通称デザチーによるプレイリストです。
デザチーはほぼ日のよみものや商品の
デザインを手がけたり、写真を撮ったり、
ときに文章も書いたり出演したり‥‥
引っ張りだこの人気者集団。
「人の数だけ答えがある」といったように、
それぞれデザインに個性があって魅力的です。
個性があるぶん、好みもきっと違うはず。
ハラマキで新人たちにアドバイスをしていた
先輩デザイナーたちに、
「このデザインが好き!見てほしい!」という
よみものコンテンツを自薦他薦問わず、
2つずつ選んでもらいました。
デザイナー視点で見るコンテンツ解説、
とてもおもしろいです。全2回でおとどけします。
仕事の早さ、丁寧さには抜群の定評がある、
ベテラン
が選ぶプレイリスト。
ときどき垣間見える関西人魂のルーツは、
ここにあったのかもしれないと思いました。
「公開が2005年。
まだまだインターネットの速度は速くなくて、
まだ写真よりテキストよりな
ほぼ日だった頃のものですが、
下にイトイさんと岩田さんがいて、
二人が話している様子がありありと伝わってくる。
制約があってもその中で
最善をひねり出すのがデザインなんだ、と
思い出させてくれるページです。
さらっと、岩田さんが社長になったのが
32歳と書いてあって
幾重にもおどろきがあります」(山川)
「なんだこりゃ、と出会い頭に思ったコンテンツでした。
関西出身の先輩乗組員ふたりから、
『みっちゃん大阪出身なんやろ、やってみいや』
と仕事が舞い込み、しょっぱな打ち合わせで
息を吹きかけたら飛びそうなほど小さな原画を渡され、
(小さいのはほんとに親指の爪くらいしかなかった)
ドキドキしながらデザインしました。
最初は面食らいましたが、
噛めば噛むほど味がでるというか、
バナー(ほぼ日のホームのいい場所に入る画像のこと)
を出すたびに、「よっしゃ、またやったる!」と
腕まくりして先輩乗組員が書いてくれたコピーを
どうやって大げさに入れるか挑戦しつづけていました。
かおりさんの切れ味するどい相談の答えは
いま読んでも色褪せません」(山川)
つづいても、社歴の長い大将
のプレイリスト。
田口は社内の楽チンシステムにとらわれず、
つくりたいデザインをつくるために妥協しない、
そんな姿勢から敬愛を込めて「大将」とよばれています。
大将が手がけてきたデザインの裏話がポロリ。
「平野レミさんと糸井さんが、
亡くなられた和田誠さんのことを
話すというコンテンツ。
いつもは対談風景の写真をつかって
デザインするんですが、
レミさんに見せてもらった
和田さんとのツーショットがとてもよくて、
それをそのまま使いました。
デザインなんてしなくても、
この写真があるだけでいいなと思ったんです。
ピンクをレミさん、ブルーは和田さん
ということにして、
その色がちょっとだけよりそってます」(田口)
「前川清さん、矢野顕子さん、糸井さんによる
歌や音楽についての鼎談。
気心の知れた感じでおしゃべりしてる
3人の雰囲気がとてもよくて、
その風景がいつもページの下にあるような
デザインにしました。
リラックスして話す3人の感じが
なんだか野原で遊んでるように見えたので、
背景はそんなイメージのイラストにしました。
ただ油断して読んでると、
腹をなぐられるような
プロフェッショナルなことばが
急に飛び出してきてびっくりします」(田口)
テキスト中継や怪談といった
名物よみものコンテンツのデザインを
担当していることが多い
。
その真髄が見えてくるようなプレイリストです。
「イトイが旅行に行ってしまう
2002年の年末(と翌年始)の9日間。
旅先はインターネット環境が不安な国。
それならば、9人の身代わりを立て、
それぞれが編集長として
担当日のほぼ日をあらかじめつくっておいて、
みんなで休みましょうという、
インターネット黎明期ならではの企画です。
特にその初日がすごくいいです。
スガノの担当するこの回は
いつものほぼ日ホームが手書きになっていて、
えも言われぬ情熱を感じられます。
画像だけでできたページは
当時のインターネット環境では
読み込みが遅くて大変だったはずです。
それを押し切ったであろうことにも
情熱を感じずにはいられません。
しかし、もう20年も前なんですね。
この日のほぼ日をジャックしている4歳児童は
もう社会人になって
立派に働いているようですよ」(岡村)
「宮本茂さんと糸井の対談です。
『スーパーマリオメーカー』についての対談で、
当初、ページはそのゲームの雰囲気を活かして、
遊びのある楽しいデザインにしようと思っていました。
しかし、原稿を受け取り、初回の内容を読んだ印象から、
遊びの要素はおさえて、
ある程度の節度があって洗練されたデザインにしようと、
このようなページになりました。
ただ、「このゲームの魅力をそのまま伝えたい」
という個人的な欲求から、遊べる楽しい隠し要素を
ページに加えることにしました。
誰にも秘密で‥‥。
しかし、この記事が掲載された頃には
SNSが勢いを増してきており、
その隠した秘密の要素はあっというまに明るみに出て、
社内で「なんだこれは?」と
ちょっとした騒ぎになってしまいました。
隠し事はできないものです」(岡村)
野球、MOTHERなど「
といえば」という
コンテンツがはっきりとあり、
対象に対する熱量の高さがデザインから
こぼれ落ちてくるような杉本。
プレイリストにも愛があふれています。
「2015年から連載がスタートし、
2021年にデザインをリニューアルしました。
その際に、青木さんから
写真をたくさん送ってもらったり、
過去の連載からひっぱってきたりして、
「台湾といえばのおいしいもの」だけじゃない
いろんな台湾をタイトルに
ぎゅぎゅっと詰め込みました。
なかなかカオスな仕上がりとなりましたが、
青木さんには『元気が湧きます!』と
気に入っていただけました。
さらに後日お会いした際には
『「台湾ってどんなところ?」ときかれたら、
このページのタイトルをみせて説明しているよ。
だって、ぜんぶ載っているから(笑)』
とのお言葉。うれしかったです。
青木さんが紹介する台湾はほんとうに素敵です。
おいしい情報はもちろんのこと、
タイトルに散りばめられているような
「さすが!(笑)」な目の付け所と
愛あるつっこみがとてもたのしいので、
ぜひ、連載もご覧になってみてください」(杉本)
8
バンド論
「よみものコンテンツで
ティザーを準備するというのが
公開当時はめずらしいことでしたので、
印象にのこっています。
雑誌の特集のようなイメージで
全体を組み立てました。
田口純也さんに撮っていただいた写真は
とても素敵な仕上がりで、
本編では、それぞれの方の言葉が
しっかりと再現されるよう、
写真の枚数をおさえてセレクトしました。
すこし特別なのは甲本ヒロトさんの
タイトルデザインです。
編集の奥野と相談し、
各回で写真を変えることにしました。
コンタクトシート
(プレビュー用に複数の写真が一覧にまとめたもの)
さえもしびれる仕上がりでしたので、
まるっと採用しました。
インタビューのことばが
とてもやさしくあたたかく、そんなイメージで
背景のグラデーションカラーも選びました。
登場される方々の音楽を聞きながら
デザイン作業をすすめました。
途中のそんないい時間も、思い出深いです」(杉本)
(つづきます)
2023-12-27-WED