ほぼ日刊イトイ新聞の膨大なアーカイブから、
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
ぜひ読んでほしいコンテンツを選んで紹介する、
冬休みのほぼ日恒例企画!
いつもがアーティスト別のアルバムなら、
今回はコンピレーション・アルバム風。
毎日、さまざまなテーマに合わせて
ミックスした読みもの集をお届けします。
セレクト&解説は、ほぼ日編集部の面々が担当。
冬休みのおともに、ポチポチ読んでみてください。

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第2回 リアルタイムテキスト中継のプレイリスト

みなさま、ほぼ日の年またぎ名物、
プレイリストへようこそ。
私は、今年の2番手をつとめます、
ほぼ日の菅野(スガノ)と申します。
昨日はクリスマスでした。
人生何周目かでわかりました。
サンタクロースは私でした。
本日26日は忙しいみなさんも
プレゼントの箱を開けるボクシング・デイです。
ついでに、ほぼ日の玉手箱BOXも
開けてみようではありませんか。

ほぼ日のコンテンツは毎日更新していますので、
すごい早さでいろんなことが過去になっていきます。
そのなかでもっともスピーディーに過去化して、
ほぼ永遠に開封されないであろうものがあります。
それは、リアルタイムのテキスト中継です。

テキスト中継。それは
文字と写真による、リアルタイムの連続投稿。
リアルタイムが命ですので、
あとから読み返してもじつはあまり意味がない。
ですので、中継担当になることが多い私も
これまでほとんど読み返してきませんでした。
だからいったん反対したんです、
この「プレイリスト」に
テキスト中継を入れようというアイデアを。

しかし、このたび読み返してわかりました。
人間、未来に反省しない予感のあるときほど
おかしなことをやるものですね。
なんだろうこれは。ほぼ日のある種の結晶は
ここにあるのではないでしょうか。

しかも知っていましたかみなさん。
人間というものは、
「行動」にすべてが出るものなんです。
時間がないときの動きほど君が出現するんだぞ。
人はみな自動的に個性的、
そんなことが如実にあらわれるコンテンツ、
テキスト中継を本日は見ていきましょう。
レッツ、ボクシング!


テニスの4大国際大会のひとつ
「ウィンブルドン選手権」に、
ほぼ日の乗組員のテニスファン「ちょう」が観戦にいく、
という社内の噂を聞きつけ、
急遽セットしたテキスト中継です。
どうやらひとりで行くらしいし、
チケットは現地で調達するらしい。
ウィンブルドンって、
直接並んで見られるものなのですか?
聞けば、どの試合も当日券が500枚ほど出るのだそう。
世界中のテニスファンが
テントや寝袋持参で並ぶのが「お約束」なのだそうです。
そうなんだ(驚)!
はたしてちょうさんは
ウィンブルドンの青空の下、チケットをゲットして
センターコートで試合が見られるのでしょうか。
現地のちょうさんの携帯からポチポチ送信される写真を
東京にいる永田さんが受け取って中継していくスタイル。
こんな方法も最初で最後、このときだけなんじゃないかな?

ほぼ日23周年記念コンテンツ。
いったい何を考えていたのでしょうか、
近所のおそば屋さん「神田錦町更科」で
全メニューを朝から夜まで、
ほぼ日乗組員54人で食べきるという
意味不明企画です。
スタートの「かけそば」から、
最終ランナーの「小海老と小柱のかきあげ」まで
タスキをつなぎながらのそば駅伝。
54種ものメニューは、
いったいどんなバリエーションなのでしょう。
明治2年創業の名店の底力と、
できたてのそばをひたすら食べ続ける
ほぼ日乗組員を見るだけの、一日。

たまに「海外に行きませんか」と
お話をいただくことがあります。
このときはミッフィーアートパレードに
参加する縁をいただいて、
オランダのユトレヒトに行きました。
せっかく海の向こうに渡るのですから、
リアルタイムでテキスト中継をしたいと考えました。
しかし、心の底では迷っていたのです。
オランダに同行するメンバーが
(鹿児島睦さん、大図まことさんなど)
初対面の人たちだったからです。
「彼ら、芸術家だし、気難しいのでは」
と行きの飛行機で暗い気持ちになっていました。
じっさい、なかなか打ちとけない私たちでした。
しかしその数日後、みんなでうさぎを追って
オランダの砂浜を走りまわることになりました。
ほんとうにいろんなことがあり、
いまもこの旅のメンバーのみなさんとは
フォーエバーフレンズです。
仕事で友達ができるなんて、なんというプレゼント。
サンタクロースは自分です。

私はこの生涯で何冊かの本を編集しましたが、
その最多担当デザイナーはもしかして
祖父江慎さんだったのではないでしょうか、と
いまこの原稿を書いていて気づきました。
そして私はもう何十年も
祖父江さんにあこがれつづけています。
これは、祖父江さんの事務所コズフィッシュが
ブックデザインの作品を一挙公開する
「祖父江慎+コズフィッシュ展」を開くことになったとき、
そのドタバタぶりに密着中継した企画です。
いつもの祖父江さんの仕事のとおり、
昼も夜もない、仕事と遊びの途切れもない、
たのしいだけの準備期間。
この準備が永遠に続くといいのに。
そう思ったとて、世間には無情にも
〆切というものがあるのです。
〆切がなかったら人は何もしないのです。
やっとのことでオープニングを迎え、
開会のセレモニーでマイクを持った祖父江さんは、
靴を履いていませんでした。
(靴下のままごあいさつ)
世の中にはこんな大人もいるんだなぁと
いま就職活動や受験勉強をしている若人たちに
見てほしいテキスト中継です。

ほぼ日の10周年企画。
糸井重里がNHKの生放送で飛行船に乗ることになり、
それを「中継版」「待受班」
「東京見守り班」などに分かれ
テキスト中継をしていくというものです。
私は電車で飛行船ルートに先回りし
地上でそれを待ち受ける中継係だったのですが、
当時はスマホがない時代だったんですよ。
だからこんな画板を首から下げて
ガラケーにコードでつないでデータを送り、
中継してたんです。
すごいでしょ。若いし。びっくりした。
2日目はみうらじゅんさんといっしょ
富士山あたりから東京まで、飛行船を追いかけたのですが、
この画板+長髪サングラスのふたり組は
えたいのしれない信号を
どこかに発信しているとしか思えないでしょう、
当然、手を上げても上げても
ぜんぜんタクシーがとまってくれませんでした。
いい思い出です。

ほぼ日では、社員総出で年1回、
倉庫で棚卸し作業をしていた時期がありました。
弊社の棚卸しとは、おもに
倉庫にある商品の在庫を数えて
管理伝票と照合する、という作業です。
これね、みなさんの想像どおり、
ちょっとたのしいけど地道です。
なんとか華やかにできないだろうかと
歌う棚卸し」「宝探しde棚卸し
など、さまざまな企画を考え、
年1回の棚卸しのようすを何度か中継しました。
そのなかで、
わけのわからない度合いナンバーワンはこの
「派手な棚卸し」です。
レ・ロマネスクのおふたりにご協力いただきました。
手帳チームの星野さんが当たったかつらとか
糸井さんのとか、味わいぶかくて、
いまでも笑ってしまう。

カロリーメイツ(食べるのが好きな3人組の旅企画)から
台湾編を選びました。
みなさんから台湾のおいしい情報をメールで募集し、
ごちそうだらけの街台北で、
朝から夜まで好きなだけ食べました。
「ダブル朝ごはん」(朝ごはんを2回食べる)や
「白いお皿」(きれいに食べてお皿を輝かせる)など
カロリーメイツならではのネタができたのも
この旅からでした。
このあと、金沢シンガポール
香港ハワイなど、いろんなところに行ったよなぁ。
そして食べたよほんとうに。
「メイツの旅を参考にハワイに行きましたよ!」
「メイツまねして食べてきました!」
と、みなさんからたくさん感想をいただきました。
ほぼ日でこんなにたのしい企画ができて、
食べることが好きなみなさんとお話しできて、
私はとてもうれしかったです。

さて、ここまでいろんなテキスト中継を
ご紹介してまいりましたが、
じつはこの「タマネギの作りかた」中継が
自分史上もっとも高リアルタイムアクセス数を誇った
人気コンテンツでした。
カロリーメイツでもない、飛行船でもない、
このタマネギです。
ほぼ日で連載していた
黒柳徹子さんと糸井の対談が書籍化されたことを記念し、
徹子さんのタマネギヘアーを、
ほぼ日乗組員である小野さんが
「やってみました」コンテンツ。
最後は、新宿の本屋さんまで行きました。
小野さんは、道行くみなさんから
かなり注目を浴びていました。
さすが徹子さんのトレードマーク!

最後に紹介するのは、この大作。
ほぼ日のデザイナーである田口が、
東京→気仙沼をヒッチハイクで往復する企画です。
どこまで行けるのか、この先どうなるか、
本人にも中継担当の私にもわからない
ハラハラのコンテンツでした。
なんたって、東京の最初の1台が、
ぜんぜん止まらなかった。
田口くんは「北」という紙を持って
道端に突っ立ち、
東京を出ぬままコンテンツが終了する。
誰もがそう思いました。
1台目のやさしい方に乗せてもらって以降は、
田口くんのヒッチハイクは
連続で奇跡を起こしました。
かと思えば7時間、同じ駐車場で
足どめとなったこともありました。
そしてラスト、私は
中継していた自分のスマホを水没させました。
当時のスマホは水に弱かったのでたいへんでした。
もう嫌。でも懲りてない。
田口くんとはまた、こういうコンテンツをやります。
もう決まっています。数か月後です。
田口くんと顔を合わせたらもう
その中継の話しかしません。どうぞご期待ください。


以上、本日はテキスト中継の
プレイリストをお伝えいたしました。
明日も更新があります。
ひきつづき、おたのしみください。
みなさま、よい年末年始を。

(明日につづきます)

2023-12-26-TUE

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