なにせ創刊から22年ですから、
ほぼ日刊イトイ新聞の
アーカイブはほんとうに膨大です。
年末年始の休みに読み直す、といっても、
いったい何から読んでいいのやら?
そこで、ほぼ日刊イトイ新聞を
むかしから読んでいる人たちに、
おすすめの読みものを
音楽のプレイリストをつくるみたいに
ユニークな切り口から
ピックアップしていただきました。
(ありがとうございます!)
ピンと来たらぜひ読んでみてください。

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8.藤井崇宏さんのプレイリスト

日常にひそむ未知の発見
〜『知らない』を楽しむ

 >藤井崇宏さんプロフィール

こんにちは。藤井と申します。
冒頭に書いていただいた通り、
長年ほぼ日さんを担当させていただいております。

さて乗組員の皆様から「好きなコンテンツを」という
オーダーでしたが、はっきり申し上げまして
ご紹介したいコンテンツが数多くございまして、
もしお時間許すのであれば今から半日あまり
皆様と膝附合わせて、
あれやこれやお伝えしたいぐらいです。

ただそんな冗長な文章、読みたくないですよね。
解ります、私は話が長いのが短所で瑕疵、
一部の心優しき妻や友人のみが
「味」として容認してもらっているだけですから。

そこで基準を考えました。

・ほぼ日というレンズを通すと見えてくる、
「私が」「知らない」「非日常」

ほぼ日さんは発見をくれるんですよね。
それも特別じゃなくてだけどだれかに話したくなるような
「昨日のあれ、読んだ?」みたいな。
それは私の知らない世界だけでは無いです。
自分の中で気づいていない部分にも
光を与えてくれるのです。

ああ、やっぱり長くなってしまいました。
何はともあれまずは推しポイントを読んでください。
私の話は面白くないですが
紹介コンテンツは間違いなく面白いですから。


野球とガンダム

私はれっきとしたオタクで
マニアを練り込んだような人物ですが、
ガンダムは一話も見たことがありません。
野球は日本シリーズの4戦目で、
初めて巨人とホークスがリーグ優勝したことを知るほどの
とんちきです。
居酒屋の靴箱でやれ掛布だ、やれ山倉だ、
おれとおまえは新人類世代だ、
大魔神だと話す人をしり目に、数少ない知識で
無難に1か3を選ぶようなうつけものです。
この記事はそんな「私達」を
ほぼ日さんが発見してくれた記事です。
何言ってるかわかりませんか? まずは読んでください。


恋歌くちずさみ委員会

私はれっきとしたオタクで
マニアを練り込んだような人物ですが、
レコード、カセット、CD、配信を
買ったことがありません。
ラジオから流れてきた音楽に衝撃を受けたことも、
あの子の新曲が待ちきれずフラゲしたことも、
自らの意思でコンサートに行ったこともありません
(ちなみに行ったときは周りの熱狂に疲れて
ずっと座ってました。)
ただね、憧れはあるんです。
いつかわかる日がくるんじゃないかって。
いつか呑んだくれて、気の置ける友人に
好きな歌を披露したいわけですよ、
甘酸っぱい思い出と一緒に。
そんな気にさせてくれた連載です。
明るい話ばかりではありませんが、
読後感はとてもすばらしいですよ。


目薬ポーチで編みもの入門。

私はれっきとしたオタクで
マニアを練り込んだような人物なので、
当然厨二病もそれなりに発症し
(病名は当時不明でしたが)依然として
後遺症が残っています。
もしあなたに少しでも思い当たる節があるのであれば
まずはこれを読んでください。
あなたにもサンスクリット語の発音練習にいそしみ、
ルーン文字の意味をしらべ、
ケルト紋様の由来に恋い焦がれ、
象徴学の一つや二つはまった時代がありますよね。ねっ。
アラン模様、ノルディック柄、カウチン柄、
意味を知るごとに抑えてきた何かが膨らみます。
そしてニットはそっと語りかけてきます。
その抑えてきた自分も自分なんだよって。
あぁいいんだ、こんな自分でもいいんだ、
と私を肯定してくれるニットの虜になっているはずです。
これを読めば編めますよ、ニット。
無限の可能性を秘めたコンテンツです。


ファンシー絵みやげのあかるい世界。

私はれっきとしたオタクで
マニアを練り込んだような人物なので、
当然子供の頃には収集癖をこじらせていた経験があります。
その一つがキーホルダーなのですが、
その中にあったあれやこれやのかわいいものたちが
すでに絶滅の危機に瀕しているとは、
そしてその由来がそんなところに! と、
さながら考現学の素晴らしい論文に触れたときのような
感動に包まれます。
風月堂の缶いっぱいに詰まったキーホルダーを眺めながら
上質なウィスキーを呑みたくなるコンテンツです。


ほぼ1グランプリ!

私はれっきとしたオタクで
マニアを練り込んだような人物なので、
何でもうんちくを知りたくなります。
それにしても「蘊蓄」と「うんちく」と「ウンチク」で
これほど言葉の印象がかわるんですね。
そんなことはともかく、
このコンテンツに触れてください。
これほどまでの読後感は味わったことがありません。
虚無と達成感、落胆と歓喜です。
連載当時は夫婦で優勝を予想しあったものです。
そこに意味もうんちくもないのです。
でも楽しい。
稀有なコンテンツはアドベントBOXのように
少しづつ読むことをお勧めします。


みちこですが、1週間後に
親知らずを抜きます。

人は何故病気のことを語りたがるのか?
その謎は最後のフロンティア、
聖域で解明されない七不思議の一つです。
その中でもキョベクリ・テペとならんで
人の心を揺さぶるのは親知らず話です。
試しに何かの集まりで
「親知らず」と呟いてみてください。
1時間後、その場は親知らずが占拠し、
ぺんぺん草も生えていない世界が広がっています。
そう、世界は親知らずによって改変されてしまうのです。
ほぼ日の2大病気コンテンツの双璧がこちらです。
いま親知らずが痛いあなたも、
過去に経験したあなたも是非読んでください。
ちなみにもう一つの双璧は
例の花粉症コンテンツです。
毎春ごとにご紹介されていると思いますが
お手すきならこちらも。


天久聖一の味写入門。

はい、でました〜、
こんな王道紹介するなよ〜
って声が聞こえてきます。
わかります、わかります。
「言いまつがい」「怪談」と「味写」は
私の中で別枠なので紹介するのもなぁ、
ともおもいましたが、
この厳しい時代に爆笑を運ぶコンテンツとして。
もちろん過去未来現在にも同様のコンテンツはあり、
生まれていくことでしょう。
それでもこのコンテンツは
その軽妙な語り口とあいまって、
金字塔として輝き続けることでしょう。
注意点としては
ソーシャルディスタンスの取れない場所では
読まないでください。
飛沫感染の恐れがあります。
また電車の中では気味悪がられます。
ぜひ年末のおともに、新年の初笑いに。


my phone is iPhone。

どうですか?
長い歴史をかんじさせない
エバーグリーンなコンテンツに
心癒されているかと思いますが、
ここらあたりで過去に思いをはせるのはいかがでしょう?
iPhone黎明期に、ネットの海を渡る乗組員たちが語る
iPhone話は、ヘロドトスや司馬遷の趣すら感じさせます。
希少な証言から感じるのは
当たり前が当たり前じゃない時代があった事。
世界の流れが速いこの昨今で
一度は目を通しておいてほしいコンテンツです。
と、言いましたが単純に面白いです。
新しい玩具に触れた子供のような声に
耳を傾けてみてください。


バフンウニの嘆き。

はい、これで最後です。長かったですね。
このコンテンツは、
人類の歴史の中で不当な扱いを受けてきた生物、
無生物、言葉たちの救済です。
よく考えればそうだよな、という気づきを与えてくれる
示唆あふれる文章になっています。
勝手に自分でねじ山を壊しておいて、
バカ呼ばわりとかひどい言い草ですよね。
モノ言わぬ彼らの言葉に耳を傾けると、
哀しみのなかにうっすらとおかしみがわいてきます。
ここからは個人的な感想ですが、
このコンテンツが好きな方とは、
杯を傾けながら一盞共にして楽しめる自信があります。
呑めない方とはザクロジュースを飲みながら
笑顔を交わす自信があります。

2021-01-02-SAT

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