なにせ創刊から22年ですから、
ほぼ日刊イトイ新聞の
アーカイブはほんとうに膨大です。
年末年始の休みに読み直す、といっても、
いったい何から読んでいいのやら?
そこで、ほぼ日刊イトイ新聞を
むかしから読んでいる人たちに、
おすすめの読みものを
音楽のプレイリストをつくるみたいに
ユニークな切り口から
ピックアップしていただきました。
(ありがとうございます!)
ピンと来たらぜひ読んでみてください。

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2.笹尾光彦さんのプレイリスト

私が勇気をもらった
ほぼ日のコンテンツは、
笑いあり、涙ありのものでした。

 >笹尾光彦さんプロフィール

私は、毎日朝9時から夜の9時まで制作しています。
午前と午後の2回の30分、家人とセブンブリッジをして
お茶の当番を決めてから、
ほぼ日のコンテンツを見るのが、
この3年間のルーティーンで、
いわば「ほぼ日のにわかファン」ということになります。
しかし、石の上にも3年といいますが、
もはや立派な「ほぼ日ファン」に近づきつつあると、
私の中で、桃、栗3年の境地にあります。
私は、栗、さつまいも、アンコ、鰻が大好物ですが、
ほぼ日のコンテンツの中で、特に好きなものは、
糸井さんの対談と、「担当は、奥野です」の
奥野さんのインタビューであります。
お二人の対談、インタビューは、膨大な数がありますが、
その中で、年末年始の皆さんに、勇気あり、笑いあり、
涙ありのコンテンツをお届けいたします。


黄昏 浅草・東京スカイツリー編

南伸坊さんと糸井重里さんの
3年ぶりの「黄昏」シリーズの対談である。
まぁ、そのゆるいこと、比類なきものがある。
笑えること、笑えること、ふたりの長年かけてきた会話は、
すでに他の追従を許さない境地にある。
その話芸は、サンドイッチマンか、
ナイツかと思わせるほどであり、
写真も、ほとんどがふたりが笑っているシーンで、
笑う門には福来ると神々しくもある。
思わず、手を合わせてしまいました。
その瞬間、不思議な勇気を授けられました。
こんなに、ゆるくていいんだと。
日本人にしか分からない、文化があるのだと。


レ・ロマネスクTOBIの『ひどい目』。

一方、こちらはインターナショナルに笑える話である。
仏語に翻訳すれば、フランス人にも受けると思うが、
翻訳者がいるか、どうか。
ひとの「ひどい目」に、笑えるのも、勇気のひとつである。
あまりに可笑しくて、涙すれすれで、
勇気を使い果たした感もある。
その1から、その9までと、延々と
「ひどい目」が続きますが、爽快感すらある。
その1の、武装した銀行強盗の一味と密室で、
犯人に「ジュ・ヌ・パルル・パ・フランセ」という
TOBIさん、私もかなりの回数でパリに行っていますが、
今でも、歩いていると道を聞かれて、
「ジュ・ヌ・パルル・パ・フランセ」である。


試練という栄養。
宮沢りえさんにとっての40歳

一転して、マジメな話しである。
私が40歳の時をということは、
思い出せない程の昔のことですが、
当時のことを、よく覚えているのは、
これからは自分のチカラをつけることに
時間をかけようと思ったことである。
40歳になった宮沢りえさんの
「試練は、ごほうび。」という凛とした勇気、
40歳頃の糸井さんの「来るなら、来い。」という
破れかぶれ? の勇気、
どちらも身の引き締まるものである。


神がわたしにくれたもの。
演歌歌手・神野美伽さんと話す

やはり、40歳頃から演歌歌手の神野美伽さんは、
「演歌って、かっこいいんだ。」ということを、
無謀にもニュヨークで証明したくて、挑戦し続けている。
それだけでも、想像出来ないぐらいの
勇気がいることである。
挑戦したからこその、思いがけない出会いがあり、
仲間ができて、ニュヨークのステージで
「One more song!」「One more song!」と
アンコールされるようになった。
新しいことに、常に挑戦することが
いかに大事かを教えてくれる。
その姿勢は「気後れしたり、ひるんだり、
卑下したりしたら、どうにもならない。」と
本当の勇気である。

4の続き
いま、考えていること。
病気とコロナで絶望していました。
でも、やっぱり歌が力をくれた。
神野美伽さん(演歌歌手)

「いま、考えていること。」のシリーズは、
ウイルスの第1波の春に、奥野さんがZOOMなどで
29人の方々と話したものである。
今も、変わらない状況なので、読み直しても、
私にとっても何か救われるところがある。
神野さんが同じ時期に大きな手術をされて、
絶望していた中を、歌を歌おうと言って、
誘ってくれた仲間がいて、歌った歌が
「オー・シャンゼリゼ」である。
勇気をもって、明るく歌うその動画を聴いて、
感動で、涙がとまりませんでした。
歌って、すごい!
再生して、次は私もいっしょに歌いました。
「やっぱり歌が力をくれた。」という神野さんは、
「ずっと歌を歌う歌手でありたい。」と。


ほぼ日の伊丹十三特集
『1000円の消しゴムの男。
村松友視+糸井重里』

糸井さんの対談のコンテンツは、膨大な数がある。
年末年始の制作休みに読み込むつもりである。
その前に、私が知っている誰かがいないかと検索したら、
ひとりだけいたのである。
それが、同じ中学、高校で、
高校では同級生の村松友視である。
この対談では、伊丹十三をよく知っているふたりが、
伊丹十三の核心に迫る興味深いものがあり、
私の中では「新しい発見」があった。
この対談の最後あたりに、糸井さんの
「村松さんって、やっぱり基本的に
とってもつきあいのいい人なんですね。」
というところからの村松の話しには、笑えました。
オチのたぶん、スタバーのコーヒーだと思うけど、
コーヒー好きの村松が飲めなかった理由が、
なんとも村松らしくて、これまたよかった。
本当におふたりとも、誰に対しても変わらない、
つきあいのいいひとで、うらやましいほどである。
村松友視さんの「」は、環境によって、
正しく表示されていない場合があります。
正しくは示偏です。編集部注)


巴山くんの蘇鉄。

巴山くんは、ほとんど無名の人である。
このインタビューは、有名、無名にかかわらず、
面白いものが出来るのが、よく分かるインタビューである。
蘇鉄の種との運命的な出会い、その蘇鉄の種に9カ月も、
黙々と水をやり続けた奉仕の精神、そして、その最中に、
大失恋したことなど、TOBIさん程ではないが、
巴山くんなりの「ひどい目」にあっている。
失恋に至るまでの巴山くんの彼女の言葉が、
それは、それは的確で、もう笑うしかないもので、
失恋も必然の成り行きだと、納得である。
巴山くんの健気な勇気のようなものに、
小さな感動を覚えました。

番外編
担当は「ほぼ日」奥野です。
おっくんの本が星海社から出ます。

「控えめな本人にかわって、
乗組員が勝手に本を応援する企画。」のコンテンツ。
本のタイトルは、
「インタビューというより、おしゃべり。」である。
柄本明さんや山崎努さんなどの有名人から、
無名の自転車屋さんや、
6で紹介した友人の蘇鉄の巴山くん、大学の恩師や、
フランスで有名な詩人であり、歌手であり、
俳優であるピエール・バルーさんまでと、
興味深いラインナップである。
本そのものも、おしゃべりなので、一気読み出来るし、
とにかく面白くて、心に残るものがある。
その本を、本人にかわって、6人の乗組員が、
奥野さんを語っている。
永田さんの「いいか奥野、わかったか奥野。」ではじまる
第1章は、とんでもなく面白く、余すところなく、
奥野さんのすばらしさを語っている。
その後、たぶん奥野さんとのかかわった年月にそって、
5人の乗組員の奥野さんの紹介も、
「ほぼ日」のエッセンスに溢れたものである。

2020-12-27-SUN

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