- 糸井
-
清水さんはサラっと言っていたけれど、
ラジオで選ばれたり「ビックリハウス」載ったりするのって、
実はけっこう難しいことだよね。
- 清水
-
そうかな。
そんなことばっかり考えてたからね、青春時代ずっと(笑)。
- 糸井
-
ぼくはね、そういうお笑いが絡むようなものはできなくて。
お笑いじゃなくて、二の線な人だったから、俺。
(二の線:男前を気取ること)
- 清水
- 自分で言った(笑)。そして、社員が笑っている(笑)。
- 糸井
- 昔は二だったんだ。
- 清水
- 今また「俺、二じゃないか」って(笑)。
- 糸井
- おかしいなあ(笑)。
- 清水
- (笑)
- 糸井
-
松本人志さんが、センター試験みたいな形式の
面白いことのテストを作ったことがあったんですよね。
ぼくもそれをやったんだけど、ちっとも面白くないの、自分が。
- 清水
- へぇー。
- 糸井
-
もうくっきり覚えてるんだけど
「一番ごっつ濃い鉛筆は何ですか」っていう。
つまり4Hから4Bまであるんだけど、
それを超える濃い鉛筆は何ですかって。
- 清水
- いい質問ですね。
- 糸井
- で‥‥
- 清水
- 何て書いた?
- 糸井
-
できないよ、俺、できないよ、みたいになってるわけ。
提出するわけでもないんだけど。
そしたら、あとで見たら模範解答が‥‥
「鬼B」。
- 清水
- (笑)。悔しい(笑)。
- 糸井
- 悔しいだろ?(笑)
- 清水
-
なんか悔しい(笑)。
でも、ああいうのって、きっと個性があるんでしょうね。
- 糸井
- できないんだよ、俺(笑)。
- 清水
- 普通できないんじゃない? やっぱり(笑)。
- 糸井
- え、清水さんもできないですか。
- 清水
- できない。全然できない。私はやっぱり耳で聞いて‥‥
- 糸井
- お金くれ(笑)。
- 清水
-
やめなさい(笑)。
お金にならないことはやんないです、じゃないです(笑)。
- 糸井
- 俺はもしかしたらお金にならないとダメなのかなって、ちょっと思った(笑)。
- 清水
-
(笑)。関係あるのかな。
ユーミンさんが「ギャラが出ないところではオーラは出しません」っていう名言があるけど(笑)。
- 糸井
- (笑)。なるほどね。それ生活人としてね(笑)。
- 清水
- そうそうそう、大事なことかも。
- 糸井
- じゃ、清水さんのあの面白がらせるのは、何?
- 清水
-
私は、やっぱり耳で聞いたことを自分なりに、
「こういうふうに感じました」って提出すると、
違っててもおかしいんだろうね、きっと。
- 糸井
-
そうそう、昨日、何か一つぐらい自分で「これを思ったんだよね」ってことを言いたいなと思って発見したのが、清水さんって
「『私はこう感じてます』っていうことをしてるんだね」ってことだったの。
- 清水
- あ、本当? 当たってます(笑)。
- 糸井
-
で、なぜそういうことを考えたかというと、
批評してないんだよ、全然。
- 清水
- あ、うれしい。
- 糸井
-
ね。たとえばある強気なことを言っている芸能人がいて、
それを「私にはあなたのことが、すごく強気なことを言ってて面白い人だなあって見られちゃってますよ」っていう(笑)。
- 清水
- (笑)。確かに、うん。
- 糸井
- そうするとお客が「そう見えてる、そう見えてる」って(笑)。
- 清水
-
「あるある」つって、そうそうそう(笑)。
そう、きっと共感の人が多いでしょうね、お客様。
- 糸井
- 共感、共感ですよね。ツッコみ過ぎないじゃないですか。
- 清水
- あ、そうですね(笑)。
- 糸井
- 立ち直れないようなことしないじゃないですか(笑)。
- 清水
- そうかも(笑)。
- 糸井
-
その真似してる対象の人のことをただただ
「私にはこう感じられちゃってますよ」っていう(笑)。
いいとか悪いとか一つも言ってないんですよ(笑)。
- 清水
- (笑)。うん。あんまり正しいとか悪いとか関係ないかもね。
- 糸井
-
モノマネだから、そういうふうに表現できるわけで。
文章で書いてもつまんないよね。
でも、清水さんの文章は文章で面白いんですよ。
ぼく、清水さんの文章を、
「みんな、このくらい書けるようになりなさい」って言った覚えありますよ。
- 清水
- 本当?
- 糸井
-
清水さんがうちで子どものこととか書いてる時代があったじゃないですか。あのときに、いつもいいなあと思ってて。
ご本人は、文章は何だと思ってんの?
- 清水
-
ブログなんかはやっぱり、1日寝る前に、
こういうふうだったってことを書くとスッキリして寝られるので、トイレみたいな感じですかね。
排泄(笑)。
- 糸井
-
ほう。でも、何も思わないで生きてたら、
書く段になって書けないじゃないですか。
- 清水
- うんうん。
- 糸井
- 思ってる分量は多いよね。
- 清水
-
うん、きっと多いと思う。
高校のときに自分の面白ノートというのがあって、
それにやっぱり真面目なエッセイ欄があって、
それを「今回も書きましたけど、どう? 読む?」みたいな感じで回して、その人が笑ってると、もうすごい幸せみたいな。
- 糸井
-
ああ。ちょっと話聞いてると、似てるんですよね。
生い立ちというか成り立ちが、さくらももこさんに。
思ってることを別に人に言うわけじゃないけど、
あいつがこうしたな、こうしたな、こうした、
あ、おかしいことしてるなあって見てて(笑)。
- 清水
- あとで、ちまちまと(笑)。
- 糸井
- 頭とんがらせたりなんかしながら描いて。
- 清水
- で、本人幸せっていうね。
- 糸井
-
だから、今の清水さんの話も、
周りの人が面白がるみたいなのが原点。
- 清水
- あ、そうですね、うん。
(つづきます)