- 三木
-
私、先生が描いてくれた
窓のない家に座ってるやつ、忘れられなくて。
- 先生
-
最近描かないんだよね。
最近描かないんだけど、こういう絵だよね。
- 三木
- そう、それです。
- 先生
-
お前たち、窓もドアもない家の中にいるよって。
マスメディアに外を見られないように取り巻かれて。
音楽なんかもそうだろ?
世界に色んないい音楽あるのに、それを聞かされない。
お前らはこれで満足しろってあてがわれてる。
この外に何があるかも、みんな興味を持たない。
大学に入ったら、窓をあけて外を見るんだよって。
- 三木
- 懐かしい‥‥。
- 先生
-
それを聞いて、慶應に入った女の子が探したっていうの。
サークルで、自分の知らない音楽をやっているところを。
そしたら、フォルクローレ研究会っていうのがあって、
フォルクローレって言うのは
アルゼンチンあたりの南米の音楽なんだけど‥‥。
- 三木
- 「コンドルは飛んでいく」とか?
- 先生
- そうそうそうそう。よく知ってるじゃない。
- 三木
- うふふ、あれすごい好きです。
- 先生
-
なんでそういう音楽に、今の高校生は触れる機会がないの?
世界には色んな音楽があるのに、届かないんだよ。
- 三木
-
自分が興味あるものだけを、ネットで調べるようになって、
偶然の出会い、みたいなのが少ないかもしれないですよね。
- 先生
- そう、窓から光が入ってこないの。
- 三木
- なんでなんだろう。
- 先生
-
うーん。
外から新しい光が来るよりも、
この方がやっぱり居心地がいいから。
- 三木
- うーん。
- 先生
- もう、自分たちの世界だけ。安全な世界だよ。
- 三木
-
私はずっとこの、外からの光を届けたいと思って、
NHKで番組作ってたんですけど。
なんか、届いてるのか届いていないのか、
だんだん分からなくなってきちゃって‥‥。
おじいちゃんおばあちゃんは
いっぱい見てくれているんだけど(笑)。
- 先生
-
中には届く子がいると思って、発信しないと。
みんなはみんな無理だから。
- 三木
- そっかぁ‥‥。
- 先生
-
今本当にそうだと思うよ。
私が当たり前だと思っていることを言った時でも
拒絶反応を、持つ子もいるし。
むしろ、興味がないことに触れたとき、
多くの子どもは拒絶反応を示すね。
でも、中には「えぇ!?そんなことがあるの!」って
新鮮な感動を覚える子もいるから。
- 三木
-
そうなんですね。
届くと信じて、伝えることが大事なんだなぁ。
- 先生
-
私が常に子どもに求めているのは、
あくなき知的好奇心と、新鮮な感動。
初めてのことに興味を持って「もっと知りたい」
「そうだったのか!」といって、感動する心を持つこと。
- 三木
- 大人でもそうですよね。
- 先生
-
何歳になってもそうだよ。あくなき、知的好奇心。
いやぁ、実はね、ここ3日間‥‥。
- 三木
- どこに行ってたんですか?
- 先生
- 京都に行ってたんだよ。京都一人旅。
- 三木
- いいですねぇ。
- 先生
-
京都は、神社・寺を回って。
もう何度も京都に行ってるんで、
今回は初めての所に行こうと思って、
3日間2万歩ずつ歩いてきたの。
- 三木
- めっちゃ歩いてきましたね。
- 先生
-
山の中腹くらいのところに行ったりね、大変なんだよ。
でもね、そこの教えとかから学ぶことがいっぱいある。
新鮮な感動が今もある。
おみくじ引いてね、そうするとね、
そこから学ぶこといっぱいある。
- 三木
- ええー。
- 先生
-
今までやってきて、
色々反省することもあるし、迷うこともある。
けれども、ある神社で引いたおみくじに、
まさにそういうことを的確に書いているのがあって。
〝今までやってきたことに対して、迷ってはいけない〟と。
- 三木
- ほー。
- 先生
- 〝さらにそれを努力すべし〟と。
- 三木
- 沁みます。
- 先生
-
いやぁ、これで良かったんだっていうね。
だから教材もどんどん新しくしてるって言うのはね、
新しいことを教えているというわけではなくて。
子供がどんどん変わってきてるじゃない。
だから、今の子どもに分かりやすいように変えている。
- 三木
-
常に更新し続けてるんですね。
そうそう、私、先生に最後に聞きたかった事があって、
「未来はエンプティキャンバス」っていう言葉は今も
みんなに言ってるんですか?
- 先生
- んんと、あんまり言わないかな。
- 三木
- えー!
- 先生
- というよりもほら、教材の最初のページに載せているから。
- 三木
-
あれ、教材の一番最初のページに?
えーっ、あーっ、ほんとだすごーい!
- 先生
- ね、夢は叶う全図だよ。
- 三木
- ほんとだ!すごーい!!書いてある。
- 先生
-
だから今は口では言ってないけれど。
みんなこのことは分かってる。
そう、夢は叶う。未来はEmpty canvasなんだよ。
- 三木
-
すごい。私、本当にこのウイニングに通って、
この言葉に出会えて、そこで人生が変わった、
自由になれたって思ってるんですよね。
- 先生
- Be freeだね。
- 三木
-
先生、今日会えて本当に良かったです。
ありがとうございました。
- 先生
- 今度はお返ししてね(笑)
- 三木
-
はい。お返しもします。
いつか飲みにも連れて行っていただきたいです。
- 先生
- はいはい。またの機会でね。
(終わります。最後までお読みくださり、ありがとうございました)
写真・佐野 嘉紀