もくじ
第1回偏見が氷のように溶けた。 2019-03-19-Tue
第2回優しさは力の中にある。 2019-03-19-Tue
第3回絶対に休まないということ。 2019-03-19-Tue
第4回先生が夢を叶えない理由。 2019-03-19-Tue
第5回してきたことを、迷ってはいけない。 2019-03-19-Tue

NHKで10年以上、報道番組のディレクターをしていました。今はサイボウズという会社で働きながらいくつかの複業をしています。
パラレルキャリアでワーキングマザー。
ほんとうのことを、ありのままの自分で伝えていける人になりたいと日々試行錯誤中です。

Be free!</br>私を自由にしてくれた人。

Be free!
私を自由にしてくれた人。

担当・三木 佳世子

第3回 絶対に休まないということ。

先生
でもさ、びっくりしただろ、
教室の場所が変わって。
三木
あれいつ直るんですか?
(※もともと教室があったビルが建て替え中でした)。
先生
もう向こうには戻らない。
だからもうね、それを契機に辞めようと思ってたの。
三木
いつですか?
先生
今から2年前の3月に30周年記念パーティがあったの。
そこでね、私は直前まで引退宣言をするつもりでいたの。
ちょうどビル移転の話もあって、
これを機に、31年の幕を閉じようと思ったんだけど‥‥
卒業生たちに、のせられちゃった。(笑)。
三木
うふふ。
先生
1つは、みんなさ、色んな世界で頑張ってるじゃん。
ウイニング魂を持って。
それともう1つはね、私が全く知らなかったんだけど、
私に内密に、1年間のドキュメントムービーを撮ってたの。
それを撮ってる連中たちが、そうそうたる連中で。
それを見て感動したんだよね。
だから、もう少し頑張ろうかなと思って。
三木
今はあと何年やるかって、考えてたりするんですか?
先生
全く考えない。今は、その年その年。
今度もう33年目だからね。
今まで32年間、1度も授業休んでないからね。

三木
すごい。
私が通っていた時も、先生は休んだことが無くて、
それを本当にすごいなと思っていて。
さすがに、記録は破られたかと思っていたけれど‥‥。
先生
私にとっては、当たり前のことなんだけど。
三木
いやー。
先生
でも世の中当たり前じゃない人が多いんでね。
三木
当たり前じゃないと思う。
だって先生、1週間のうちどんな感じで授業を‥‥
変わってないですよね?
先生
あのね、今、生涯で最も年間の労働時間が長いの。
三木
え!?逆に!?短くなったんじゃなくって?
先生
平常授業だと、火水木金の17:50~20:50までの3時間授業。
土曜日はそれがダブルヘッダー。2コマ。
日曜日はトリプルヘッダー。
さらに土・日は受験生のクラスだから、
1コマが3時間20分に増えるの。
三木
日曜日なんて10時間教えてる!
先生
それ1回も欠かしたことがないんだよ。
私、5つの誓いがあるの。
1、休まない。2、遅れない。3、約束は守る。
4、ドタキャンしない。5、先約絶対。
これを私は守ってきてる。当たり前のことなんだけどね。
三木
いやぁ‥‥やっぱり、すごい。

先生
例えば、ちょっといいレストランに2人分の予約をするよ。
三木
はい。
先生
そうするとね、
一緒に行くはずだった女の子がドタキャンしてくる。
三木
女の子!
先生
当たり前だろ、女の子としか行かないもん。
三木
そうですよね、変わらない!!(笑)。
先生
そうするとね、どうするかと言ったら、
私絶対にドタキャンしたくないから。
三木
レストランですらドタキャンしない?
先生
うん、しない!
三木
はぁー。
先生
嫌なの。
そうすると、別の女の子誘っていく。
三木
あはははは。
先生
はっはっは。
三木
へぇー 面白い。
だって普通レストランとかだったら、
すみませんちょっと人数がとか言って。
先生
したくない。
三木
ならないんだ。
先生
逆にされたらいやだもん。
三木
そりゃそうですよね。
先生
だから授業日程表があるじゃない。
あれは、私と生徒との契約だから、
その時間必ず授業をやりますよってね。
ということは、私は絶対ドタキャンはしないし必ず守るけども、
生徒は良く休むよね。あれ、私との約束だろ?
三木
そうですね(笑)。

先生
4年前、鳥取県の米子にいる母親が99で亡くなったの。
でもそれ、夏期講習中だったから帰れないよ。
だって夏期講習のほうが先約だもん。
おふくろの死っていうのはあとで起きた事だ。
私と生徒との約束とは関わらないじゃない。
三木
はい。
先生
だから戻らなかった。
それどころか、そのあとの1周忌とか3周忌も帰れなかった。
やっとね、去年の7月にやっと‥‥
短期間帰って初めて、おふくろの位牌に手を合わせた。
三木
それが初めて‥‥。
先生
初めて。
ただね、おふくろが88の時に、
私の6個上の兄貴が急死したのね。
三木
そうだったんですね‥‥。
先生
うん。
その時も夏期講習中だったから、帰れなかった。
私はおふくろに詫びたよ。
「あれだけ世話になった兄ちゃんの葬式に
帰ってこれんで、ごめんね」って言ったら、
88のおふくろが、こう言ったんだよ。
 
「ええだが。お前には、代わりはおらんだけぇ。
昔からよう言うが、芸人は親の死に目に会えんて。
舞台に穴が開くけん。お前も芸人みたいなもんだろ、
だけん、わしに何かあってもお前は帰ってこんでええ」。
三木
うわぁ。
先生
これってね、おふくろの早めの遺言だと思ってるから。
99で亡くなった時に、その言葉をすぐ思い出して。
休講にして葬式に帰るよりも、今の生徒たちに教える。
それがお袋への恩に報いることだと思って帰らなかった。
おふくろは分かってくれる、と思ってる。
 
そうやって、32年間、1回も休んだこともないし
変更したこともない。何があっても。
だから、体調壊して休むっていうけど、体調壊すなよって。
私なんか常に体調不良だよ。
それでも授業はちゃんと出来るじゃないかって(笑)。

三木
本当そうですよね。
先生がいつも、熱を体温計で測っても意味ないって
言ってたじゃないですか。
先生
意味ない、体温計持ってない。
三木
それ、本当その通りだと思ってて。
結婚した夫が、体温測りたがりなんですよ。
そのたびにイラっとしちゃって(笑)。
加藤先生は意味ないって言ってた!
そんな測ってもさがんないよ!とかって。
先生
そうそうそう。
三木
夫婦喧嘩の火種になってます(笑)。
先生
ふっふっふ そりゃ悪いね。

(続きます)

第4回 先生が夢を叶えない理由。