いざ広島に帰ってきて
10年間のブランクを経て住み始めると
そこは別にユートピアではなく、
多少の変化はあれど生まれ育ったままの街でした。
そして広島で職を探して働きはじめ、
最初は新鮮な気持ちでしたが
「どうせ地方はね」のような
自虐的な発言を人から耳にする度に
悪意はないとわかってはいても
徐々に閉塞感を感じるようになり、
テレビに映る華やかな東京を見たり、
友人たちから楽しい会合の話を聞いては
今度は東京が恋しくなるようになりました。
ないものねだりが加速して
「もう一度東京に行こうか」なんて思うことも増え、
「30代 女性 上京 リスク」などの
検索ワードで自分の首を絞めていきました。
今回、せっかくの機会なので
まだ行ったことのなかった
広島の新観光名所おりづるタワーにのぼり、
街を眺めてみようと思いました。
まずは平和記念公園に行き、
久しぶりに広島平和記念資料館を訪れました。
改装工事中ではありましたが
(全館オープンは平成31年4月25日(木)予定)
一部展示はしてあり、十分な見応えがありました。
平日にも関わらず、国籍問わず
多くの観光客の方が来ていました。
この土地を被爆地としての視点で語ることは
今回は出来ませんが、
改めて身が締まる思いになりました。
そしてはじめてのおりづるタワー。
展望台でしばらくぼんやりと街を眺めていました。
市民球場がなくなって、マツダスタジアムが出来て、
カープがこんなに強くなるなんて思わなかったな。

東京にいた頃、特に社会人になってからは
平日は家と会社の往復だけで
休日は家にこもることも多くなり、
行動範囲はごく限られた地域でした。
それに比べて今広島から東京に行く際は
毎回どこに行こうかとワクワク調べ、
会いたい人に会って、
行きたいところに行って、
見たいものを見て、
食べたいものを食べて、
本当にいつも最高に楽しく
純粋に街のエンターテイメント性を満喫しています。
そんな単純なことが
東京に住んでいるとき充分に出来なかったのは
自分の力不足に違いないけど、
今の方が東京に対する視野や行動範囲が広がったのは
少し皮肉にも感じます。
そんなことを考えれば考えるほど
帰ってきて良かったなと
ジワジワと実感するようになっていきました。
広島はとても住みやすい魅力が詰まった街です。
何より原爆から立ち上がったパワーがあります。
それなのに私の気分で
勝手にユートピアに持ち上げたり、
勝手に閉塞感を感じたりしていた
身勝手さが恥ずかしくなり、
とてもバツの悪い申し訳ない気持ちになりました。
今年で帰って来て7年目に突入したことで
未練の気持ちが薄らいでいることも感じました。
帰ってきてから出会った人たちとの
新しい縁が沢山あったこと、
広島にいるから出来た沢山のことを思い出し、
ようやく心から「ただいま」が言えるなと思いました。