もくじ
第1回あこがれの詩人、Iさんと。 2019-03-19-Tue
第2回大学時代からの友人、Mちゃんと。 2019-03-19-Tue
第3回大好きな、おばあちゃんと。 2019-03-19-Tue
第4回対詩をしてみて。(おわりに) 2019-03-19-Tue

生まれも育ちも愛知県名古屋市の、25歳。うお座のB型。
最近、ばあちゃんと一緒に料理をしています。玉ねぎが切れます。
わたしの名前の由来は、吉本ばななさんの名作「TUGUMI」からとった、という説が濃厚です。

詩で、はなす。心で、はなす。

詩で、はなす。心で、はなす。

担当・こばやしつぐみ

第2回 大学時代からの友人、Mちゃんと。

ふたりめに思い浮かんだのは、
大学時代からの親友、Mちゃんです。
もう、6〜7年くらいの付き合いになるのかな。

わたしとMちゃんは、
名古屋のとある芸術大学の同級生で、
ふたりとも写真を専攻していました。
彼女の撮る写真は、「光を写す」という、
基本に忠実なもので、いつでも正直な写真でした。
かくいうわたしは、いわゆる劣等生で、
スタジオ写真も、ポートレート写真も苦手。
写真の基礎も本質もわからないまま、
写真を撮ることに怯えて、詩を書きはじめました。
 
やがて、わたしたちは社会人になりました。
わたしはライターや編集者になりたかったけれど、
就活がうまくいかず、大学を卒業してから2ヶ月ほど
名古屋市内のミュージアムショップで働いていました。
一方Mちゃんは、地元で有名な広告制作会社に
新卒として入社し、大変ながらも充実した日々を送っていました。

そんなわたしを見かねたMちゃんが、
「わたしの会社、今コピーライターを募集してるんだけど、受けてみる?」
とわたしに言ってくれました。
「なんでそんなこと聞くの」とわたしがいうと、
「だって、つうちゃん文章書くの好きじゃん」
と、あっけらかんとした顔で言われました。
まもなくして、わたしの肩書きは、
「ミュージアムショップのアルバイト」から
「広告制作会社のコピーライター」になりました。

あの一言がなかったら、今のわたしは絶対にいないなあ。
あんなにもやりたかった「書く仕事」を、
あきらめてしまっていたかもしれない。
 
やがて彼女は、「東京で働く」という
大学時代からの夢を叶え、2018年の9月、会社を去りました。
彼女がいなくなってから、わたしにとって名古屋での生活は
あまり面白いものではなくなってしまいました。

それからわたしは、何かと東京に行く用事をつくっては
彼女の家に泊まりに行きました。
わたしが寝っ転がっている間にご飯をつくってもらい、
おいしいコーヒーを淹れてもらう。
ドラマの話から、恋愛、仕事の愚痴、将来の話まで
なんでも話せるMちゃんという存在は、
わたしにとって宝物でしかありません。

 
そんな彼女に「対詩」のお誘いをすると、
詳しい説明もしていないのに二つ返事でOKが出ました。
ああ、こういうフットワークの軽さが、貴女の好きなところだ。
そう思いました。
 
今回も、
フェイスブックのメッセンジャーを使って
書きました。
執筆時間は、1時間くらいです。
 
Aさんと同じく、わたし→奇数、Mちゃん→偶数で進んでいきます。
それでは、どうぞ。
 

「ワンルーム」

 

1
わたしたちは生活している
生きているということだけが、生きがいに感じる
その全てで、わたしたちはできている
2
太陽がビル群に飲み込まれる頃
部屋の白いカーテンは揺れていた
硬くなった食パンを口に含む
3
ひかりが大きすぎるから
くっ、と目をつむり、そっと柔らかな
飼い猫に手を差し伸べて聞いた
「わたし、どうやって生きればいい?」
4
ひょいと手をかわして
窓際に座って一度だけ鳴いた
夜が来る
5
まっくろになった街
ひかりが足りないから、カメラに写すことができない
街灯はやがて溶けて涙に変わった
6
夜の街に反射する光や鳥が飛び交う朝焼けが
わたしの目には見えている
 
わたしたちは生活している、
少し滲む街の中で

 
彼女は写真を撮るひとで、詩は書きません。
多分、人生ではじめて詩を書いたのだと思います。
改めてこの詩を読んで、
ああ、またMちゃんに会いたいな、と思いました。
そして同時に、
Mちゃんもわたしに会いたいと思っていたらいいな、と思いました。

名古屋と東京。距離は遠いけど。
正直、新幹線代もバカにならないけど。
わたしたちは同じ世界で生きていて、
会おうと思えば、いつでも会えるのだから。
いつもありがとう。
あなたが住むアパートの「ワンルーム」。
せまくて、甘えんぼのネコがいるあの場所で、
また、いろんなお話しようね。
たまには、名古屋に帰ってきてね。

第3回 大好きな、おばあちゃんと。