燃え殻さんと糸井さんの対談
担当・ポニ子
第2回 断るということ
- 燃え殻
-
ドタキャンって社会でしちゃいけないって
よく言われるじゃないですか。
- 糸井
-
ずーっとドタキャンする人っていうのが100だとして、
全然ドタキャンしない人は1だとして、自分は?

- 燃え殻
-
ほとんどの場合はドタキャンしないようにしてるんです。
だから、常にストレスが溜まってくるんです。
8ぐらいドタキャンしたいんで。
- 糸井
-
ぼく、今、自分のことで考えたら、
ドタキャンをしないために最初から断るっていうのが、
どんどんできるようになった。
- 燃え殻
-
どうやって断るんですか。
けっこう入口って広いじゃないですか。
「じゃ、今度ご飯食べましょう」
それを断るともう、そんなに一生食いたくないのかって
話になるので、「あ、そうですね」って
まず言わなきゃいけないじゃないですか。
- 糸井
-
うん、そこは言うかもね。
- 燃え殻
-
そこは言いますね。
- 糸井
-
あ、言わないときもある。
「あー」つって(笑)
まあ、「飲みに行きましょう」の場合はね
「あ、俺飲まないんですよ」
- 燃え殻
-
それは必殺技であるじゃないですか。
- 糸井
-
うん。それはやってますね。
あと、だから、友達なんだけど、
今ものすごくドタバタしてるから、
ご飯はちょっと、みたいなときがあったとしても、
それは基本的には「あ、いいね」って言って。
- 燃え殻
-
(笑)
- 糸井
-
いや、友達で行く気があれば、
いつだかわかんないけどっていうのは
OKのほうに入れてますね。
だから、断らないけども、
そこに置きっぱなしにするのが
「あー」だとすれば、あとは大体OKです。
はっきり断るのは、
「いや、おまえ大嫌いだよ」って
言わなきゃなんないとき。

- 燃え殻
-
断ることもある?
- 糸井
-
うん、5、6年にいっぺんぐらいはあるんじゃないですか?
- 燃え殻
-
えー?
- 糸井
-
「嫌だよ」って言ったりする。
誘う側のときには、「嫌だよ」を
相手が言う可能性はいつも持ってて
自分が誘われた側のときには、「嫌だよ」から
「うーん」から
「おお、いいね! いついつ?」っていうのから。
バリエーションが1つじゃ、やっぱり無理。
心のままにとすれば。
- 燃え殻
-
生きてる入口がぼく、1つだから苦しいのかな。
- 糸井
-
そうかもしれないね。
今聞いてたらね、「はい」しかないもんね。
- 燃え殻
-
「ああ、いいねえ」って絶対言っちゃうんですよ、ぼく。
絶対言っちゃう。
そうすると最終的にドタキャンになるんですよ。
- 糸井
-
そうねえ、ああ。
- 燃え殻
-
今話してて思ったんですけど、毎回ぼく
最初の入口は「うん」って言っちゃうんです。
- 糸井
-
それって「男を狂わせるガール」みたいだね。
全部に「私はあなたを受け入れる」って言っちゃうんですよね。
で、「なんでそれがいけないの?」みたいな。
芯はそこにあるんだよね。
案外しっかりしてるんだよね、ある意味では。
- 燃え殻
-
ああ、そうかなあ。
- 糸井
-
燃え殻さんのケースは、
なんかそうじゃないような気がするね。
その場をなんとかキープしたいっていうか。
キープリズム(笑)。
- 燃え殻
-
うん(笑)。
いや、でも、そのクセがあるんです。
それで、どんどんどんどん追い込んで行っちゃうんですよ。
- 糸井
-
仕事もそうやって引き受けちゃうんだ。
- 燃え殻
-
はい。
- 糸井
-
今日もそれで来たんだ。
- 燃え殻
-
違います(笑)。

- 糸井
-
(笑)。「違います」の早さ、すごく好感が持てた(笑)。
- 燃え殻
-
はい、そうです(笑)。
(つづきます)