もくじ
第1回コピーライターに憧れていた。 2017-12-05-Tue
第2回二十九歳、未経験。 2017-12-05-Tue
第3回好きな広告について。 2017-12-05-Tue
第4回コピーライターになってよかった。 2017-12-05-Tue

30歳を目前に控えたところで、コピーライターに転身しました。
泳げないのに、
「水落」です。
よろしくお願いいたします。

コピーライターになりたかった。

担当・水落祥

第3回 好きな広告について。

最初に断っておくと、
この章では「コピー論」を語りたいわけではなく、
知らない方もいらっしゃると思うので、
「コピーライターとは何か」について
少し触れておきたいと思う。

コピーライター養成講座に通った半年間で、
ぼくは本当にたくさんのことを学んだ。

まず、講座に通うと「コピーライター」という職業を
勘違いしていたことに気づかされる。

広告に関心のない人にとって、コピーライターは、
「広告にうまい文章をのせる仕事」という
イメージがあるかもしれない。
実際に、ぼくのまわりにも、
そう思っている友人や家族がいた。

講座で学び、実務も経験した今、ぼくが思うのは、
「モノやサービスと消費者の接点をつくる仕事」
なのではないかということ。

もちろん、これは自分のオリジナルな考え方ではなく、
いろいろな人から影響を受けてたどりついたものだ。

「クライアントが主張したいこと」ではなく、
「消費者が知りたいこと」を書く。

その結果、
消費者にとって他人事だったモノやサービスが
自分事となって、購買意欲が生まれ、
イメージや売上のアップにつながっていく。

そういった広告としての目的を果たしながら、
人の心を動かすこともできるのが、
コピーライターなのだと思う。

実際にぼくが心を動かされた広告を
ここでいくつかご紹介したい。

最後の一撃は、切ない。

ゲームソフト「ワンダと巨像」
(コピーライター:不明)

悲しくて壮大な物語や世界観と相まって、
CMを観てすぐに引きこまれた。
少女を蘇らせるためだけに戦う主人公。
ゆっくりと地面に横たわっていく巨像。
エンディングも含め、まさにこれ以上ない表現。
文字通り、一撃でやられたコピーだった。

「母が笑う」を、私がもらう。
自分のことは後回しで、いつも家族のことばかり。
心配したり、気づかったり。
そんなあなたの照れた笑顔を見たいのです。
産んでくれて、ありがとう。思ってくれて、ありがとう。
叱ってくれて、ありがとう。
今さら言えない数々の「ありがとう」を精一杯贈ります。
5月の、その日。
いちばんしあわせなのは、
母さん、あなたのはにかんだ笑顔を見る私です。

東武百貨店 母の日キャンペーン
(コピーライター:斉藤賢司さん)

脳科学的に言うと、
プレゼントをもらう側より、あげる側のほうが、
幸福度が高いというデータがある。
あげたつもりでも、実はもらっていた。
そういう視点でプレゼントをおくるのも
いいものだと思った。

結婚しなくても幸せになれるこの時代に、
私は、あなたと結婚したいのです。

結婚情報誌「ゼクシィ」
(コピーライター:不明)

本来ならば「みんな結婚しよう!」と言いたいところだけれど、
「結婚」という価値観を押し付けることなく、
「結婚したい人」と「独身でいたい人」、
どちらの生き方も肯定しているところが魅力的だった。

レコーダーのCMカット機能。YouTube広告のスキップボタン。
営業時代によく目にした「セールスお断り」というシール。
これらが示すとおり、広告というものは、
基本的に拒絶されがちなものだ。

それにも関わらず、
このように人の心を動かす広告が生まれていることに、
ぼくはすごく勇気づけられるし、
こういう仕事をしなければと気が引き締まる。

(つづきます)

第4回 コピーライターになってよかった。