もくじ
第1回コピーライターに憧れていた。 2017-12-05-Tue
第2回二十九歳、未経験。 2017-12-05-Tue
第3回好きな広告について。 2017-12-05-Tue
第4回コピーライターになってよかった。 2017-12-05-Tue

30歳を目前に控えたところで、コピーライターに転身しました。
泳げないのに、
「水落」です。
よろしくお願いいたします。

コピーライターになりたかった。

担当・水落祥

第2回 二十九歳、未経験。

コピーライターになれなかったぼくは、
自分にも将来にも絶望し、人生の暗黒時代に突入する。

と、いうこともなかった。

営業職もそれなりに楽しくて、
これはこれでありかもしれないと思っていた。
仕事は、朝から夜遅くまで忙しくて、
コピーライターになりたいという気持ちを
忘れさせてくれるのには十分だった。

忘れよう、忘れようとして、
本当に忘れてしまっていたのか。

今となっては自分でも不思議に思うけれど、
その数年後に転職活動をしたぼくが選んだのは、
またしてもコピーライターではなかった。

やっかいなことに、その会社でも、
それなりに楽しく過ごす日々。

ただ、ここでちょっとしたきっかけがあった。

毎日書いていた営業日報や
たまに担当していた会社ブログを
上司や同僚がほめてくれるようになったのだ。

ほめてもらったとはいっても、
わかりやすいねとか、おもしろいねとか、
そのくらい些細なもの。
それでも、自分が書いたものに対して
反応をもらえることが、ただただうれしかった。

そういえば、アルバイトをしていた時も、
社員用の研修マニュアルをつくるように頼まれて、
資料と指示書をもとに原稿を書いたこともあったっけ。
その時も、同じようにほめてもらえたなぁ。

やっぱりなりたいな、コピーライター。

忘れていた気持ちを、ここへきてようやく思い出す。

でも、全くの未経験だし、どうすればいいんだろう。
そもそも、この歳から始められるものなのか。
やっぱり、そんなに甘いものじゃないよな。

そんな不安と葛藤しながら、活路を見出すべく、
とにかくネットや雑誌で情報をたくさん集めた。
その結果、宣伝会議という会社が運営している
「コピーライター養成講座」に通うのがいいみたいだ
という答えにたどりつく。

講座の広告には、こんなコピーが書いてあった。

迷っていたぼくの心が動いた。

そういえば、本気で考えたことがなかったし、
実際に忘れてしまってたもんなぁと、
このコピーを通して納得してしまった。

いいコピーは、人を説得するのではなく、
納得させてしまうものだ。

「できる、できないではなく、やるか、やらないか」

どこかで聞いたことのあるありきたりな言葉だけど、
人生が一度きりという揺るぎない事実がある以上、
けっこう強力な言葉だと思う。

それが、絶妙なタイミングで頭の中に流れてくれた。

ここで決断を先送りにしてしまったら、
悶々とした日々がまた続くだけ。
しかも、それは一生かもしれない。

ぼくは、もうここで飛び込んでやるという覚悟と
決して安くはない受講料を持って、
コピーライター養成講座に通い始めた。

29歳の秋、超ファインプレーだった。

(つづきます)

第3回 好きな広告について。