もくじ
第1回母の練習を見に行く。 2017-12-05-Tue
第2回はじめての音楽雑談。 2017-12-05-Tue
第3回「生きる」について考えた。 2017-12-05-Tue
第4回趣味を持つということ。 2017-12-05-Tue
第5回歌うって、たのしい。 2017-12-05-Tue

ふだんは、銀行で営業をしてます。人に道を聞かれることが多くて、シャッターを頼まれることも多いです。「はい、チーズ!」というのが、ちょっとはずかしいです。

お母さんが歌う理由。

お母さんが歌う理由。

担当・中村 駿作

第2回 はじめての音楽雑談。

練習の翌日。
インタビューというより、雑談のような感じで、
母に音楽や、合唱についていろいろ聞いてみました。
 

どうやった?なにか収穫はあった?
ぼく
いろいろあったよ。
それはよかった。
ぼく
まず思ったんだけど、発声練習はしないの?
あぁ。本当は発声練習はやったほうがいいけど、土曜日の夜
にやっているから全員がそろう時間はバラバラで。3時間し
か練習できないからさ。だからいきなり歌うねん(笑)。
ぼく
仕事がある日でも集まるってすごいと思う。
だってしんどいもん。
そうやねぇ。
ぼく
そうとう音楽が好きなんやなぁ。
(笑)
でも、音楽が好きでも、そこにいる人たちが好きじゃないと
みんな集まってないと思う。あと、目指す音楽がみんな一緒
ってことが大切なんじゃないかな。
ぼく
そっかぁ。
合唱団って星の数ぐらいあるから。おなじ曲をやっても、で
きあがる音楽は全然違うよ。
だから、じぶんたちが目指す音楽に、メンバーが共感しあっ
ていれるかどうかやね。
ぼく
バンドとかでもさ、よく音楽性の違いとかで解散したりする
けど、あれってどういうことなんやろ。
あぁ~、う~ん‥‥。
たとえば、おなじメロディがあっても、これをどう表現した
いか。表現の方法みたいな話かな。
ぼく
それは技術的なところ?
それもそうだし、ようは音楽の感じ方。
たとえば、ピアノの前奏をどうとらえるか。そこに物語を感
じられるかで、第一声がかわってくるんよね。
あとは、メンバーが生き生きと歌えるものを求める合唱団が
あれば、コンクールに入賞できる歌を目指している人たちも
いる。
ぼく
そっかぁ。
だから、たくさんのバンドや合唱団が存在するんかな。
そう。だから、何に達成感をかんじるかが音楽性の違いじゃ
ないかなぁ。
ぼく
その‥‥、いまの話は、歌うときに誰を想像しているかって
ことが関係あると思うんだけど。
たとえば、いまの合唱団は歌った先に誰がおるんかなぁ。
コンクールの審査員?それとも、自分たちとか、家族?
う~ん。純粋に音楽を楽しんでくれる人たちかな。
たとえば、いまボランティアで施設に行ったりしてるねん。
ぼく
へぇ~。それは知らなかった。
認知症になってしまった、おじいちゃんおばあちゃんの前で
歌ったりもしているよ。また来てほしいってリクエストまで
くれるの。
ぼく
それは、いつも違う曲を準備していくの?
もちろん。毎回練習していくよ。
ただただ懐メロだけじゃなくて、最近の曲とかも選ぶ。
こんな音楽もあるんだなぁって知ってほしいからさ。
ぼく
昨日の練習には、ぼくも知ってる曲があったね。
『川の流れのように』とか『明日があるさ』とか。
あれは合唱の曲じゃないけど‥‥
1月に教会でコンサートをするんだけど、去年は100人ぐ
らい聴きにきてくれて。だから、その人たちが、知っている
曲も入れたりしてる。
ぼく
そんなに聴きにくるんやぁ。
ありがたいことやね、ほんと。
ぼく
‥‥音楽ってさ、歌いたい人より、聴きたい人のほうが世の
中には多いのかな。
う~ん。
カラオケとかがあんなに人気なわけだから、やっぱりみんな
何かを表現したい気持ちはあると思う。だけど、やっぱり一
人でかんたんにはできないし、聴くことに楽しみを得る人も
おるよね。
ぼく
ぼくも歌いたくなる時あるけど、やっぱり仕事中に自転車で
鼻歌ぐらいやわ。
(笑)
でもさ、自分一人では恥ずかしくて歌えない人もいるけど、
みんなとやったらたのしい表現ができるって思ってコーラス
をはじめる人もいるよ。
ぼく
「ステージのうえ、みんなで乗れば怖くない」みたいな。
そう。そんな感じ。
ひとりで表現できることって限られているからね。
ぼく
どういうこと?
高い声しかだせない人が、低い人とあわせることで、
もっと魅力的に声が聴こえてきたりとかする。
ぼく
あぁ~。
やっぱり響きをひとつにするって難しいけどね。
でも、それをすることで、周りのパートがいきてくるのよ。
表現の幅がぐっと広がる。
ぼく
合唱ってさ、それぞれの人が責任をはたして、みんなで作り
上げるのがいいなぁって思った。
面白いのがさ、各パートに集まる人の性格があるねん。
ぼく
心理テストみたいやね(笑)。
主旋律をうたうソプラノにはさ、
やっぱりちょっと自己主張が強い人が多いねん。
ぼく
えっ。・・・・お母さんって?
ソプラノ。
ぼく
分かる気がする。
どういうことや(笑)。
アルトはさ、ソプラノより低いけど、
でもちょっと隠れていい味を出してるぞって感じがあってさ。
ぼく
ちょっと渋くてかっこいいね。
そうそう。
テノールは男性の中では、花形なのよ。良い歌詞がパートとし
てまわってくるわけ。だから女性でいうソプラノみたいな感じ。
で、ベースは、どっしりと構えている人たちが多い。
ぼく
そういう、いろんな人たちが集まって曲を作るっていうのが面
白いよね。人が複雑に重なって、音楽が生まれてる気がする。
それが魅力かもね。
1人じゃできないことを作っていく感じ。

ぼく
そうやんねぇ。
 
あっ。
‥‥もっとうまくなりたいとか、そういう感情とかはある?
それはやっぱりある。だから、みんな毎週来る。
土曜日に朝4時起きで仕事して来てる人もおるぐらいやで。
ぼく
それって、仕事するようになって思うけどすごい!
どこから、そんな活力が生まれてくるんやろ。
それはやっぱりさぁ、聴いてくれる人がいるってことかな。
あとは、みんなでもっと難しい曲に挑戦したいと思ったり。
自分たちの演奏をきいて、一緒にやりたい!という人がもっ
と増えて行けばいいなぁとも思ってるよ。
ぼく
ボランティアっていうのと、
その一方で入場料をとっていくこともあると思うけど。
うん。
ぼく
今後はどうなるん?今度は、教会で歌うわけやん。
ほら『天使にラブ・ソングを…』とか教会で歌ってるやん。
あの映画ぼく大好きで‥‥
あぁ、それはあんまりは関係ないけどね。
ぼく
そっ、そっか。(好きな映画の話がしたかった‥‥)
でも、本当はチケットを買って見にきてもらえる合唱団にな
りたいって気持ちは、やっぱりあるよ。だけどまだ、それに
見合う音楽を自分たちは作れていないからさ。
ぼく
それは、向上心が生まれる理由のひとつかもね。
そうやねぇ。
 

(つづきます)

第3回 「生きる」について考えた。