練習の翌日。
インタビューというより、雑談のような感じで、
母に音楽や、合唱についていろいろ聞いてみました。
- 母
- どうやった?なにか収穫はあった?
- ぼく
- いろいろあったよ。
- 母
- それはよかった。
- ぼく
- まず思ったんだけど、発声練習はしないの?
- 母
-
あぁ。本当は発声練習はやったほうがいいけど、土曜日の夜
にやっているから全員がそろう時間はバラバラで。3時間し
か練習できないからさ。だからいきなり歌うねん(笑)。
- ぼく
-
仕事がある日でも集まるってすごいと思う。
だってしんどいもん。
- 母
- そうやねぇ。
- ぼく
- そうとう音楽が好きなんやなぁ。
- 母
-
(笑)
でも、音楽が好きでも、そこにいる人たちが好きじゃないと
みんな集まってないと思う。あと、目指す音楽がみんな一緒
ってことが大切なんじゃないかな。
- ぼく
- そっかぁ。
- 母
-
合唱団って星の数ぐらいあるから。おなじ曲をやっても、で
きあがる音楽は全然違うよ。
だから、じぶんたちが目指す音楽に、メンバーが共感しあっ
ていれるかどうかやね。
- ぼく
-
バンドとかでもさ、よく音楽性の違いとかで解散したりする
けど、あれってどういうことなんやろ。
- 母
-
あぁ~、う~ん‥‥。
たとえば、おなじメロディがあっても、これをどう表現した
いか。表現の方法みたいな話かな。
- ぼく
- それは技術的なところ?
- 母
-
それもそうだし、ようは音楽の感じ方。
たとえば、ピアノの前奏をどうとらえるか。そこに物語を感
じられるかで、第一声がかわってくるんよね。
あとは、メンバーが生き生きと歌えるものを求める合唱団が
あれば、コンクールに入賞できる歌を目指している人たちも
いる。
- ぼく
-
そっかぁ。
だから、たくさんのバンドや合唱団が存在するんかな。
- 母
-
そう。だから、何に達成感をかんじるかが音楽性の違いじゃ
ないかなぁ。
- ぼく
-
その‥‥、いまの話は、歌うときに誰を想像しているかって
ことが関係あると思うんだけど。
たとえば、いまの合唱団は歌った先に誰がおるんかなぁ。
コンクールの審査員?それとも、自分たちとか、家族?
- 母
-
う~ん。純粋に音楽を楽しんでくれる人たちかな。
たとえば、いまボランティアで施設に行ったりしてるねん。
- ぼく
- へぇ~。それは知らなかった。
- 母
-
認知症になってしまった、おじいちゃんおばあちゃんの前で
歌ったりもしているよ。また来てほしいってリクエストまで
くれるの。
- ぼく
- それは、いつも違う曲を準備していくの?
- 母
-
もちろん。毎回練習していくよ。
ただただ懐メロだけじゃなくて、最近の曲とかも選ぶ。
こんな音楽もあるんだなぁって知ってほしいからさ。
- ぼく
-
昨日の練習には、ぼくも知ってる曲があったね。
『川の流れのように』とか『明日があるさ』とか。
あれは合唱の曲じゃないけど‥‥
- 母
-
1月に教会でコンサートをするんだけど、去年は100人ぐ
らい聴きにきてくれて。だから、その人たちが、知っている
曲も入れたりしてる。
- ぼく
- そんなに聴きにくるんやぁ。
- 母
- ありがたいことやね、ほんと。
- ぼく
-
‥‥音楽ってさ、歌いたい人より、聴きたい人のほうが世の
中には多いのかな。
- 母
-
う~ん。
カラオケとかがあんなに人気なわけだから、やっぱりみんな
何かを表現したい気持ちはあると思う。だけど、やっぱり一
人でかんたんにはできないし、聴くことに楽しみを得る人も
おるよね。
- ぼく
-
ぼくも歌いたくなる時あるけど、やっぱり仕事中に自転車で
鼻歌ぐらいやわ。
- 母
-
(笑)
でもさ、自分一人では恥ずかしくて歌えない人もいるけど、
みんなとやったらたのしい表現ができるって思ってコーラス
をはじめる人もいるよ。
- ぼく
- 「ステージのうえ、みんなで乗れば怖くない」みたいな。
- 母
-
そう。そんな感じ。
ひとりで表現できることって限られているからね。
- ぼく
- どういうこと?
- 母
-
高い声しかだせない人が、低い人とあわせることで、
もっと魅力的に声が聴こえてきたりとかする。
- ぼく
- あぁ~。
- 母
-
やっぱり響きをひとつにするって難しいけどね。
でも、それをすることで、周りのパートがいきてくるのよ。
表現の幅がぐっと広がる。
- ぼく
-
合唱ってさ、それぞれの人が責任をはたして、みんなで作り
上げるのがいいなぁって思った。
- 母
- 面白いのがさ、各パートに集まる人の性格があるねん。
- ぼく
- 心理テストみたいやね(笑)。
- 母
-
主旋律をうたうソプラノにはさ、
やっぱりちょっと自己主張が強い人が多いねん。
- ぼく
- えっ。・・・・お母さんって?
- 母
- ソプラノ。
- ぼく
- 分かる気がする。
- 母
-
どういうことや(笑)。
アルトはさ、ソプラノより低いけど、
でもちょっと隠れていい味を出してるぞって感じがあってさ。
- ぼく
- ちょっと渋くてかっこいいね。
- 母
-
そうそう。
テノールは男性の中では、花形なのよ。良い歌詞がパートとし
てまわってくるわけ。だから女性でいうソプラノみたいな感じ。
で、ベースは、どっしりと構えている人たちが多い。
- ぼく
-
そういう、いろんな人たちが集まって曲を作るっていうのが面
白いよね。人が複雑に重なって、音楽が生まれてる気がする。
- 母
-
それが魅力かもね。
1人じゃできないことを作っていく感じ。
- ぼく
-
そうやんねぇ。
あっ。
‥‥もっとうまくなりたいとか、そういう感情とかはある?
- 母
-
それはやっぱりある。だから、みんな毎週来る。
土曜日に朝4時起きで仕事して来てる人もおるぐらいやで。
- ぼく
-
それって、仕事するようになって思うけどすごい!
どこから、そんな活力が生まれてくるんやろ。
- 母
-
それはやっぱりさぁ、聴いてくれる人がいるってことかな。
あとは、みんなでもっと難しい曲に挑戦したいと思ったり。
自分たちの演奏をきいて、一緒にやりたい!という人がもっ
と増えて行けばいいなぁとも思ってるよ。
- ぼく
-
ボランティアっていうのと、
その一方で入場料をとっていくこともあると思うけど。
- 母
- うん。
- ぼく
-
今後はどうなるん?今度は、教会で歌うわけやん。
ほら『天使にラブ・ソングを…』とか教会で歌ってるやん。
あの映画ぼく大好きで‥‥
- 母
- あぁ、それはあんまりは関係ないけどね。
- ぼく
- そっ、そっか。(好きな映画の話がしたかった‥‥)
- 母
-
でも、本当はチケットを買って見にきてもらえる合唱団にな
りたいって気持ちは、やっぱりあるよ。だけどまだ、それに
見合う音楽を自分たちは作れていないからさ。
- ぼく
- それは、向上心が生まれる理由のひとつかもね。
- 母
-
そうやねぇ。
(つづきます)