- ―
-
フィギュア自体をつくるときはどうですか。
どんなところに気を遣うんですか。
- カオリ
- 一番大事にしているのは、「たたずまい」です。
- ―
- たたずまい。
- カオリ
-
なんだろう、立ち方とか、しぐさですかね。
人の気持ちとか性格って、
そういうところに現れてくると思うんです。
たとえば、さっき話した
ウシのミゾグチというキャラクター。
- ―
- あのイケメンキャラの子ですね。

- カオリ
-
ウシって別にかっこいいイメージの
動物ではないじゃないですか。
なんか「食べてすぐ寝るとウシになる」
みたいな言い方もされるし(笑)。
- ―
- そうですね。
- カオリ
-
でもミゾグチは、
なんか「かっこいい」って言われて。
私のキャラの中でも一番人気があるんですよ。
- ―
-
そう言われてみると、不思議ですね。
ウシよりも「イケメン」らしい動物、
ほかにいそうですよね(笑)。
- カオリ
-
結局、何の動物を選んだとしても、
性格づけ次第で、かっこよく見えることもあれば、
頼りなく見えることもある。
そういうのって、立ち方とか、しぐさとか、
表情ににじみでてくるものですよね。
- ―
-
確かに。
動物をキャラクター化するときに、
ステレオタイプなものってあるじゃないですか。
たとえば、なんとなくですけど、
フクロウは賢いイメージとか、
かわいい女の子のキャラクターならウサギかな、とか。
- カオリ
- はいはい。
- ―
-
でも、カオリさんの作品は、
そういうのにとらわれてない感じがしますね。
- カオリ
-
そうですねー。
こういう性格だから
この動物にしよう、みたいなのはないかも。
なんとなくで決めてます。
新しいキャラクターが必要だから、
次はラクダにしてみようかな、とか。
- ―
-
けっこうマニアックな動物も出てきますよね。
シロエリハゲワシとか。インドガウルとか(笑)。
- カオリ
-
出てきますね。
インドガウルのマリコちゃん。
- ―
- インドガウルって動物は前から知ってたんですか?
- カオリ
-
いや、ぜんぜん知らなかったです(笑)。
なんかおもしろそうな動物いないかなーって調べてて。
- ―
- もともと、動物が好きなんですか?
- カオリ
-
うーん、
動物園よりは水族館が好きですね。
まあでも、動くものには興味があって、
じっと見ちゃいますね。
- ―
-
主人公のタカハシは犬ですけど、
やっぱり犬は特別に好きなんですか?
- カオリ
-
いえ、実は、
最初にこういう動物の顔のフィギュアつくったのは
年賀状だったんですけど。
その年がたまたまイヌ年で。
- ―
- ああ、それで。
- カオリ
-
はい。それがスタートだったので、なんとなく。
まあでも身近な動物だし、共感してもらいやすいかなと。
- ―
- その年賀状で、この「タカハシ」が誕生したんですか。
- カオリ
-
タカハシとは別の子なんですけど、
ブルドックでした。
タカハシ自体は、なんかもう、
いわゆる「ブルドック」ではないですね。
「タカハシ」って顔になってるんですよ。
- ―
-
それこそ、性格とか感情がにじみでてるんですよね。
タカハシ、表情豊かですよね。
「喜・怒・哀・楽」みたいなわかりやすい表情だけじゃなくて、
ちょっと気まずそうな顔とか、いまいち納得いってない感じの顔とか……。

- カオリ
-
私、子どもの頃から漫画を描くのが好きで。
表情を描くのを大事にしてるのは漫画をやってたからかも。
- ―
- ああー。
- カオリ
-
つくりながら、
私もその表情になってるんですよ(笑)。
タカハシがうーんって考え込んでるときは、
私もうーんって顔に。
- ―
-
でもけっこう、すごい顔してるときありますよね、タカハシ。
じゃあこのシーンでは、カオリさんもこの顔に……?

- カオリ
-
あ、ここまでではないかな(笑)。
でも、こういう気持ちになりながらつくってますね。
(つづきます)