もくじ
第1回どこかで見たことのある風景。 2017-12-05-Tue
第2回一人一人を大切に描く。 2017-12-05-Tue
第3回たたずまい。 2017-12-05-Tue
第4回楽しいときも、つらいときも。 2017-12-05-Tue
第5回カオリさんのワークショップ 2017-12-05-Tue

編集者。普段は紙の雑誌をつくっていますがWebコンテンツ勉強中です!

フィギュア作家・タカハシカオリさんの世界</br>アニマルで描くヒューマン

フィギュア作家・タカハシカオリさんの世界
アニマルで描くヒューマン

担当・上條

第3回 たたずまい。

― 
フィギュア自体をつくるときはどうですか。
どんなところに気を遣うんですか。
カオリ
一番大事にしているのは、「たたずまい」です。
― 
たたずまい。
カオリ
なんだろう、立ち方とか、しぐさですかね。
人の気持ちとか性格って、
そういうところに現れてくると思うんです。
たとえば、さっき話した
ウシのミゾグチというキャラクター。
― 
あのイケメンキャラの子ですね。

カオリ
ウシって別にかっこいいイメージの
動物ではないじゃないですか。
なんか「食べてすぐ寝るとウシになる」
みたいな言い方もされるし(笑)。
― 
そうですね。
カオリ
でもミゾグチは、
なんか「かっこいい」って言われて。
私のキャラの中でも一番人気があるんですよ。
― 
そう言われてみると、不思議ですね。
ウシよりも「イケメン」らしい動物、
ほかにいそうですよね(笑)。
カオリ
結局、何の動物を選んだとしても、
性格づけ次第で、かっこよく見えることもあれば、
頼りなく見えることもある。
そういうのって、立ち方とか、しぐさとか、
表情ににじみでてくるものですよね。
― 
確かに。
動物をキャラクター化するときに、
ステレオタイプなものってあるじゃないですか。
たとえば、なんとなくですけど、
フクロウは賢いイメージとか、
かわいい女の子のキャラクターならウサギかな、とか。
カオリ
はいはい。
― 
でも、カオリさんの作品は、
そういうのにとらわれてない感じがしますね。
カオリ
そうですねー。
こういう性格だから
この動物にしよう、みたいなのはないかも。
なんとなくで決めてます。
新しいキャラクターが必要だから、
次はラクダにしてみようかな、とか。
― 
けっこうマニアックな動物も出てきますよね。
シロエリハゲワシとか。インドガウルとか(笑)。
カオリ
出てきますね。
インドガウルのマリコちゃん。
― 
インドガウルって動物は前から知ってたんですか?
カオリ
いや、ぜんぜん知らなかったです(笑)。
なんかおもしろそうな動物いないかなーって調べてて。
― 
もともと、動物が好きなんですか?
カオリ
うーん、
動物園よりは水族館が好きですね。
まあでも、動くものには興味があって、
じっと見ちゃいますね。
― 
主人公のタカハシは犬ですけど、
やっぱり犬は特別に好きなんですか?
カオリ
いえ、実は、
最初にこういう動物の顔のフィギュアつくったのは
年賀状だったんですけど。
その年がたまたまイヌ年で。
― 
ああ、それで。
カオリ
はい。それがスタートだったので、なんとなく。
まあでも身近な動物だし、共感してもらいやすいかなと。
― 
その年賀状で、この「タカハシ」が誕生したんですか。
カオリ
タカハシとは別の子なんですけど、
ブルドックでした。
タカハシ自体は、なんかもう、
いわゆる「ブルドック」ではないですね。
「タカハシ」って顔になってるんですよ。
― 
それこそ、性格とか感情がにじみでてるんですよね。
タカハシ、表情豊かですよね。
「喜・怒・哀・楽」みたいなわかりやすい表情だけじゃなくて、
ちょっと気まずそうな顔とか、いまいち納得いってない感じの顔とか……。

カオリ
私、子どもの頃から漫画を描くのが好きで。
表情を描くのを大事にしてるのは漫画をやってたからかも。
― 
ああー。
カオリ
つくりながら、
私もその表情になってるんですよ(笑)。
タカハシがうーんって考え込んでるときは、
私もうーんって顔に。
― 
でもけっこう、すごい顔してるときありますよね、タカハシ。
じゃあこのシーンでは、カオリさんもこの顔に……?

カオリ
あ、ここまでではないかな(笑)。
でも、こういう気持ちになりながらつくってますね。

(つづきます)

第4回 楽しいときも、つらいときも。