緊張しながら、電話番号を押します。
お年玉をもらった時に、
親に言われてお礼の電話することはあったけれど、
一人で自分から電話をするのは、はじめてでした。
- 私
- もしもし、まなみです。
- 祖母
- まあちゃん!元気にしとった?
- 私
-
うん、元気。おばあちゃん、私ね
聞きたいことがあって‥‥
(なんて聞いたらいいのかな)
政治のことを聞きたいんだけど‥‥
- 祖母
- うんうん。なんでもきいて。
「で」にアクセントのついた、岐阜弁と
まわりをふわっと明るくする元気な声。
ああ、これは、おばあちゃんだ。
- 私
-
私、選挙に行きたいんだけど
政治のことがわからなくて、
だからおばあちゃんに聞きたくて。
おばあちゃん、選挙のお手伝いで
ウグイス嬢やってたよね?
- 祖母
- やっとる。去年もやったよ。
- 私
-
去年も!?すごいねえ。
いつも頼まれてやっているの?
- 祖母
- そう。頼まれる。
- 私
- 毎回同じところなの?
- 祖母
-
毎回違うよ。
頼まれればどの党でも、いろんなところでやっとるよ。
やることは、選挙カーに乗って、手振りながら
〜をお願いします!ってしゃべったり、
選挙事務所に来た人に、お茶出したりもするよ。
- 私
- それってお金はもらえないんだよね。
- 祖母
-
もらえない。
でも、お菓子はいっぱいあるから
食べ物には困らない。
- 私
- 食べ物には(笑)。
なつかしい心地よさがありました。
声がなつかしいのではなくて、
こうやって、話をするのがなつかしかったんです。
いつもの形式ばった、新年の挨拶の電話とは違って、
私とおばあちゃんが、話したくて話している心地よさ。
小学生のころ、こうやって話していた気がする。
(つづきます)