はじめ、私は政治についての疑問を
一つ一つネットで調べていました。
でも、「最後は自分の判断です」という言葉で
まとめられたものばかりで、
なんにもわからなかったのです。
書けない、わからない。
書いてみては消して、何日も経ちました。
締め切りがせまってきます。
おばあちゃんのことが、頭に浮かびます。
おばあちゃんは、いろんな選挙でウグイス嬢をして、
お手伝いをやっている、と母がよく言っていました。
ずっとそのことは、心のすみにあったけど、
おばあちゃんに聞くことは、避けていました。
おばあちゃんとの話し方が、わからなかったからです。
違う県に住むおばあちゃんと私、
小学生のころは半年に一度くらい、会っていました。
おばあちゃんは、明るくてやさしくて
面倒見のよい、友達の多い人で、
私は、おばあちゃんが大好きでした。
でも、中学生を過ぎ、物心がつくと
私はわからなくなってきました。
おばあちゃんと、何を話したらいいんだろう。
流行りの芸人の話は、あんまり興味ないだろうな。
つまらない話して、嫌われたくないな。
だけど、おばあちゃんがよくお母さんと話してる
近所の人の話は、私はわからないからなあ。
と思っているうちに、
おばあちゃんとは、あいさつとか
天気のことばかりを話すようになりました。
そして、私は忙しさを言い訳にして
半年に一度会っていたのが、
一年に一度、二年に一度、と
間が空くようになってしまいました。

もちろん、おばあちゃんのことは大好きで
新年の挨拶や、誕生日のメッセージは送るけれど、
なんとなく距離の掴めない関係を抱えたまま、
私は21歳に、おばあちゃんは78歳になっていました。
だから、おばあちゃんと二人っきりで
しかも政治のことなんて話せるのか、不安でした。
でも、もうぎりぎりだし、とりあえず電話してみよう。
おばあちゃんが出てくれたら、その時考えよう。
私は、おばあちゃんに電話してみました。
(つづきます)