フィリテマテリラの作品をはじめて見た時の印象は、
彼女そのままを形にしたらこうなった。というような、
女性らしくて、繊細な作品だった。
6年ほど前の、はつみちゃん(とわたしは彼女のことを呼
んでいる)のはじめての展示会だった。
はじめて買ったピアスは、造花のお花にシルバーのビーズ
がたくさんついている。当時ショートカットでボーイッシュ
だったわたしは、どこかに彼女のような女性らしさを求めて
いたのだと思う。
フィリテマテリラのピアスをつける時、服を選ぶのも楽し
かった。ぱりっとしたシャツとデニムにスニーカー、みたい
なボーイッシュな服装にも、白いレースのワンピースにも
よく合った。
彼女の作るアクセサリーや飾りは、基本的に展示会でしか
買えない。
展示会前にふらりとフライヤーを持ってきてくれたり、
ポストに入っていたり、毎回必ずお知らせを届けてくれる。
場所がよほど遠方でない限り、展示会に足を運んだ。
展示会の回数を重ねていくうち、“花”という枠から飛び出
して、“植物”をモチーフにした作品が展示会に並ぶように
なった。
“かわいい”の中にひそむ、リアルな植物の色や形やたたず
まい。葉の形やカーブ、花が咲いて、「今まさに枯れていく
途中段階です」と言わんばかりの、絶妙な色合い。
その技術を職人らしさ、と呼ぶべきなのかどうかはわから
ないけれど、見れば見るほど、そこには甘さがない。
はじめて見た時の「女性らしくてふわっとした」印象が変
わった、と感じるようになった。

協力:filithematerira
彼女の目には、この花や植物たちは、どんな風に見えて
いるんだろう?作り手の目線から、見てみたいと思った。
聞きたいことはたくさんあったけれど、インタビューという
ものをしたことがないわたしは、“ほぼ日の塾”に通って
いることや、声をかけるに至った経緯を説明はしたけれど、
事前に具体的に質問したい内容を伝えられないまま
(そうするのが普通なのかどうかもわからない)
「普段使っている仕事道具やノートがあれば持って
きて欲しい」と伝えて、当日を迎えた。
(本編へつづきます)