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毎年の発表会では、色々な作品を
踊らせてもらいました。
中高生では古典的な作品(*3)も踊りましたが、
幼稚園児〜中学生までが主に踊る、
童話をバレエ化した作品も、個性的で魅力があって
印象に残っています。
- 登先生
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「親指姫」や「みつばちマーヤ」、
「森は生きている(12月物語)」、
「マッチ売りの少女」「人魚姫」に「雪の女王」。
他にも色々演ったねぇ。
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どれも先生が、発表会用に
オリジナルで振りをつけたんですよね?
- 登先生
- そう。どれも、夢中で作ってたなぁ。
- ──
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振りを教えてもらう時、
教室では前に上演した時のビデオも流していて、
それを見ていたので、ずっと踊り続けている作品なんだなと
思っていました。
- 登先生
- 教室のレパートリーとして、どれも大切な作品だね。
- 絢子先生
- 音楽も、ずーっと夢中で編曲してたよね。
- ──
-
音楽の話も、聞いてみたかったんです。
どうやって曲を繋いでいたんですか?
- 登先生
-
元から「親指姫」の曲があるわけじゃないから、
色々な曲を聞いて、
イメージに合うものを繋げて作ってたよ。
レコード屋さんに行って
バレエ楽曲以外のクラシックを聴いたり、
映画を観てサントラが良いなぁと思ったり。
学校の教材用の音楽も聞いて、選んだりしたよ。
- ──
- 教材用の音楽、ですか?
- 登先生
-
「嬉しい」「悲しい」みたいな
感情がタイトルになっている曲とか、
「風の音」をイメージした曲とかが収録されているの。
- ──
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あぁ、なるほど〜。
色々な曲から選んで・・・・。
本当に、手作り感あふれる作り方だったんですね。
- 絢子先生
- でも今聞き直すと、長いんだよね(笑)
- 登先生
- ふふふ(笑)
- ──
- 長い、というと?
- 絢子先生
-
今年はこの作品演ろう、ってなって
ビデオを見返していると
「この場面、こんなに長く要りませーん!」って
思っちゃう。
- 登先生
-
夢中で作ってたからね、どれも長いみたいなの(笑)
だいたいは40分くらいに収めるんだけど、
「雪の女王」は、子ども向けの作品なのに
1時間にもなっちゃったよ。
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- 思いを込めて作るから、大作になっちゃうんですね。
- 登先生
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今は少子化もあって、
幼稚園の生徒たちは前より減ってもいるから、
その子たちが踊る場面は短くしたり、
列の並ばせ方も、
少ない人数でも見栄えがするように昔と変えたり、
少しずつ工夫してるかな。
- ──
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そうだったんですね。
作品は今も、子どもたちに合わせて
変化や成長をしているんですね。
振り付けについても、教えていただけますか?
- 登先生
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誰もが知っている童話をモチーフにしたから、
バレエで見る時にどう表現されていたら、
お客さまは面白く感じてくれるかなって
考えながら、振り付けしていました。
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- それはたとえば「親指姫」だと・・・・
- 登先生
-
カエルが、少女を連れ去っちゃう場面とか。
こわい雰囲気にもできるけど、
コミカルな音楽を選んで、カエルの泳ぎ方や
ジャンプの様子を取り入れたんだ。
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しかもカエルは一匹じゃなくて、夫婦にしてましたよね。
掛け合いのマイムもあって、
面白い場面だから好きでした。
- 登先生
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童話に出てくる
動物や虫のキャラクターとか、
木の葉や雪のような自然を表すダンスは、
どう踊ったらわかるかなってよく考えていたよ。
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親指姫が助けるツバメも、
翼を表す腕の動きやマイムがたくさんありましたね。
- 登先生
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基本はクラシックバレエなんだけど、
それだけだと堅苦しく見えたりしちゃうでしょ?
だからマイムとか、モダンバレエの動きも
混ぜたりしていたよ。
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確かに、先生の振りにはどこか、
クラシックバレエの動きだけではなくて・・・・。
「登先生風」と言いたくなるような、
モダンバレエや他のダンスと
溶け合っている感じがありました。
(つづきます)
*3
チャイコフスキー作曲の
三大バレエ「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」に代表されるような、
ダンスとマイムで物語を表現していく作品。
女性はトゥシューズを履き、チュールを何枚にも重ねたチュチュという衣装を着ることが多い。