- 糸井
- この前、『きまぐれラジお』というのをやっていて、
俺は気休めの鬼になるっていう話をしてね。 - 古賀
- 気休めの鬼ですか(笑)。
- 糸井
- 気休めのことをみんな悪く言いすぎているよ、と。
気休めあってこその人生だし、
それで元気になったら、もうそれでいいんだよと、
俺は気休めの鬼を目指すと言い切ってね(笑)。 - 古賀
- いいですね、良いと思います(笑)。

- 糸井
- 口から出任せで言っていたんだけど、
結構そうだなと思ってきて。 - 古賀
- 気休めしないと気が病んじゃいますもんね。
仕事も、面白くなるようなことをしないと、
苦しくなってきますよね。 - 糸井
- 僕は、自分が主役ではないんだけれど、
自分が苗を植えたみたいな仕事が増えているんですね。
そうなると、その実った米とか果物とかを
食べて喜ぶ人がいて、
そういう循環そのものを作るようになって、
面白さが、飽きない面白さになってくるんですよ。 - 古賀
- それは、最初からその喜びを得ようとして
やっていたわけじゃないですよね? - 糸井
- そもそもは、そうですね。
- 古賀
- そもそもは、ですか。
- 糸井
- 解決して欲しい問題があるからやるという形は
取っているけれど、
でも、問題がなくても、やりたいと思うんじゃないかな。 - 古賀
- そうですか。
- 糸井
- もしも僕が引退した時計職人でさ、
近所の中学生が「腕時計壊れちゃった」と言ってきたら、
「俺も昔は時計職人だったんだよ、
貸してごらん」と言って、
綺麗に修理をしてあげて、
「お礼に・・・」なんてこと言われても
「あ、それは要らないから」みたいに言ってね。
その中学生に「どうだ」と
言いたいみたいな感じかな(笑)。 - 古賀
- はいはいはい、いいですよねそういうの(笑)。

- 糸井
- 歳を取っても、
「どうだ」と言いたい気持ちは、残りますね。 - 古賀
- そうですよね。
特にライターだと、編集者がいるので、
まずはこの人をビックリさせたいというのが
あるんですよね。
それで、全然期待していなかったはずの原稿に
120点で返したときの
「どうだ」という喜びはありますね。 - 糸井
- あとは、昔からよく言っていることなんですけど、
自分のお通夜の席でね、みんなが楽しそうに
集まって欲しいという願いがあるんですよ。
あの人の周りには楽しい人がいるから、
お通夜の席も楽しい人ばかりだと、
僕の人生がどのくらい楽しかったかわかるじゃないですか。 - 古賀
- そうですね。
「どうだ!俺は楽しかったんだぞ!」というのが
伝わりますよね。 - 糸井
- 誰がいてもいいよというお葬式を
ずっと望んでるんですよね。
もう僕がいない場所で、
お葬式にかこつけてみんな楽しんでくれというか、
僕自身が最後までコンテンツであり続けたいというか。

- 古賀
- そうか、そうですよね。
確かに結婚式は夫婦が主役ですけれど、
その主役を祝うことが目的になってますよね。
でも、お通夜とかお葬式は、
俺はもういないし、主役じゃないけれど、
君たちは楽しんでくれと。
その違いは大きいですよね。 - 糸井
- そうですね。
僕、お葬式用の写真は絶えず更新していますからね。 - 古賀
- そうなんですか(笑)。
- 糸井
- それはもう人に伝えてあるので、
とても楽しみにしているんです。
その未来に向かって、
今日を生きているんです。
それはなんか、いいものですよ。 - 古賀
- はい。
- 糸井
- 古賀さんも、
僕の年齢になるまでの間がものすごく長いですから、
いっぱいおもしろいことありますよ。 - 古賀
- 楽しみです。

- 糸井
- 楽しみだと思うんですよ。
楽しみにされるようなおじさんでありたいですよね。 - 古賀
- そうですね。
素敵なおじさんになれるようにがんばりますね。

(終わります。ご覧いただきありがとうございました。)