もくじ
第1回仕事をする勇気。 2016-05-16-Mon
第2回業界のために働く。 2016-05-16-Mon
第3回震災と共に働く。 2016-05-16-Mon
第4回仕事への姿勢を間違わないために。 2016-05-16-Mon
第5回面白い人を紹介するための場所作り。 2016-05-16-Mon
第6回自分の最期までコンテンツになるために。 2016-05-16-Mon

カメラマン、映像制作をやっています。23歳です。人が喜んでもらえるコンテンツを作ることが好きです。

第4回 仕事への姿勢を間違わないために。

糸井
モテキ』という映画を撮影していたのも震災の時期で、
大根監督とお話したときに、
『モテキ』という映画を公開するのは、
やっぱり大変なことだったと思うんですよね。
でも、公開すると決めるしかないわけですよ。
古賀
あの時期は、どうしても自粛ムードのようなものが
ありましたからね。
糸井
あの時期に、
被災地の物語をみんなが次々と作り出しても、
何の意味もないと思っていたんですよね。
古賀
たしかに、その物語を作り出すことが、
誰のためにやっているのか、
わからなくなってしまいますよね。
糸井
震災の時期には、
自分のライターだとか編集者という
肩書きを起点にして考えることを
なるべくやめようと思ったんですよ。
個人としてどうするべきかというのを、
とにかく先に考えようと思ったんです。
古賀
うん、うん。
糸井
僕はだから、
豚汁を配る場所で列をまっすぐにするとか、
その発送の延長線上で何ができるかというのを、
できる限り考えたかったんですよね。
でも、ずっと悩んでいました。
わからなかったから。
古賀
震災に関わるということを決めたときに、
慈善事業とか、世間的に良くみえるということは、
いい面と悪い面があるじゃないですか。
糸井さんや、ほぼ日の活動を見ていると、
そこを上手くコントロールしているというか、
たくさんの道がある中で、
正しい道を選んでいるような感じがするんですよね。

糸井
こういう考えになった理由は、
やっぱり吉本隆明さんなんですよね。
古賀
吉本さんですか。
糸井
吉本さんは、僕にとって、
手の届かないぐらい遠くにいる先輩なんですね。
でも、その先輩は、
手が届く場所にいつもいてくれるんですよ。
古賀
いい関係性ですね。
糸井
吉本さんは、前々から、
いいことをやっているときは悪いことをやっていると思え、
悪いことをやっているときはいいことをやっていると思え、
というぐらいに、
まったく逆に考えて生きていこうと思っていたんですね。
古賀
そういう考えをお持ちだったんですね。
糸井
でも、こういう言い方をすると
ファンの方に怒られるかもしれないけど、
吉本さんも、偽物なんですよ。
そうなろうとしたから、そうなっているんですよね。
古賀
はい、はい。

糸井
たとえばの話ですけど、
知名度がある人たちは、
何かのチケットをもらったりしますけれど、
吉本さんは、
列に並んで、電話でチケットを予約したりして、
入場料を払って見るのが基本だという考えを
しっかりとお持ちだったんですね。
その姿勢が基本なので、
そこは列に横入りした方がいいことを
できるかもしれなくても、
それをしないという思いで行動をされていたんですよ。
古賀
守るべきところは、しっかりと守っていたんですね。
糸井
でも、吉本さんの奥さんは、
「うちの旦那は偽物だ」と言うんですよ。
古賀
あー、そうですか(笑)。
糸井
奥さんいわく、
旦那のお父さんは、本物だった。
うちの旦那さんはいい旦那さんだけど、
そうなろうとしてなっているから、
偽物なんですとおっしゃっていましたね。
古賀
なろうとしてなっているから、偽物と。
糸井
でも、俺、今更本物にはなれないからさ(笑)。
一同
(笑)

糸井
だから、吉本さんの方法しかないんですよね。
本物になろうとして、
本当のことを言う偽物になるしか。
それが、震災関連をまとめるときに、
うまくいった理由が、
ほぼ日の乗組員がそのことを理解して動けた気がするね。
不思議なぐらい、通じたよね。
乗組員
だから、糸井さんはこうしていこうという
コンセプトを述べたりはあまりせずに、
いつもの感じで、みんなが動けていたと思います。
糸井
姿勢については、
これからも間違わないんじゃないかなって思います。
間違わないぞということでもありますね。
古賀
そうですね、確かに。
糸井
だから、これからもしも、
僕がいい気になって
姿勢を間違えてたら言ってくださいね(笑)。
古賀
わかりました(笑)。

(つづきます)

第5回 面白い人を紹介するための場所作り。