おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1045
送る想い

愛する人を見送るとき、
何を大切にすればよいのだろうか?

死別、送別、巣立ち、旅立ち、
送るシーンもいろいろあるが、
悔いなく見送る、そのために、

愛する人を見送るとき私が大事にしたこと

をお伝えしたい。
私と同じように、トツゼンの別れにとまどい、
悲しみのなか何をどうしていいかわからない人に、
1ミリでも2ミリでも、なにか
考えるとっかかりになればと願う。

2週間前、父が旅立った。

最期のことはまだ書けない。
いつか大切に書こうと思う。

きょうは葬儀の話をしたい。

その日は、トツゼンくる。

縁起でもない、考えたくない、
だから考えてこなかった私。
生きると信じて疑わなかった私。

だから突然のことに不慣れで戸惑い、

悲しいのに、通夜式、告別式…、
考えなきゃいけないこと、
決めなきゃいけないことが押し寄せる。
でも、そんな中でも、

「考えることで、想いを表すことで、」

悔いなく見送ることができた。

葬儀について調べていたとき、
葬儀会社の発信に“予算と気持ち”の2つが重要
とあった。気持ちとは、

「故人をどのように送りたいか?」

つまり、“送る想い”だ。

後から考えると私にとって、
この問いがものすごく重要だった。
この問いを考えなかったら、
きっと悔いが残っただろう。

この問いを中心にして、あと2つ、

「送る側の誰の気持ちを最優先するか?」
「最後にどんな言葉で送りたいか?」

と考えていった。

誰の気持ちを最優先にするかは、
だれの目にも明らかで、「母」だ。

いちばん悲しみいちばん大変な母が、
気の澄むように、どうか心残りのないように、
送ってもらえば、それで本望だ。
その点で、私も、姉も、親戚たちも、
心は一つだった。

あとは、母が想いに沿った選択ができるよう、
選択したことが具現化できるよう、
まわりは助けていけばいいだけ。

だから葬儀のいくつもの決定で、
揉めることは一切なかった。

さて最重要の問い、

「父をどのように送りたいか?」

と考えたとき、私には、
父のアイデンティティを大切に送りたい
という切なる想いが湧きあがった。

父は外国航路の船員だった。

海の男だった。

けど、その姿を知る人はほとんどいない。

父は、定年退職してから40年近くも、
不慣れな陸の生活だった。
しかもグループホームから介護施設、
そして入院と、療養生活が長く、

優しく、弱々しい、おじいちゃんとしての姿、

それしか孫やひ孫の記憶にない。
その姿も尊く愛おしいけれど、
その姿しか記憶に引き継がれないのは、
娘としてやるせなかった。

かっこいい父を覚えていてほしい。

岡山県北の、いわば山に生まれ育った父は、
まわりに海を目指す人などいない環境で、
たったひとり海を目指した。

船員になるための学校では、
猛勉強して最終的にはトップの成績で卒業した。

一年のほとんどを、海の上で過ごし、
アメリカ、イギリス、シンガポール、サウジアラビア…
たくさんの国々を訪れた。

家族や親せきが、じかに見ることができなかった
海の上の父の姿にこそ、
父のアイデンティティがある、と私は思った。

その想いをどう表したらいいか。

まずは、葬儀会社のご担当や、
戒名を決める僧侶の方、
葬儀に関わるすべての方に、

「父を海の男として送りたい。」

と言葉でしっかり伝えた。

さらに私は、
父の海への想いをコンセプトに、
スライドをつくることにした。

父のアルバムは50年以上前のもので、
損傷はげしかったが、
写真をスマートフォンで複写し、
パワーポイントで編集していった。

父が船乗りの新人として初乗船のころから、
船友たちと船上でイキイキと働く姿、
パリの凱旋門をはじめ、外国の風景のなかで、
土地の人々と一緒に撮った写真。
それらを編集していくうちに、わかった。

葬儀は、父の最後の航海だ。

父を最後の航海に送り出す想いを、
無音のスライドショーにして、
弔問者を迎えるところに設置した。

母がどう想うかが一番心配で、

母が何かどこか1ミリでも気に障るところがあれば、
とりさげようと私は覚悟していた。
しかし、スライドショーを見た母は、
思った以上に感動して、
きょうだいや親せきに見るようすすめまくってくれた。

予想以上に、父の一連の写真は、
見る人に訴えかけた。

スライドショーを見ながら、
父に話しかけて涙する人もあり、
父と同世代の高齢の弔問客からは、
「ありがとう、これをつくってくれてありがとう」
となぜか私が深々と御礼を言われた。

孫やひ孫は、初めてみるじいじの勇姿に驚き、
その姿を記憶に焼きつけた。

父の写真を見た人々は、
口々に父のことを語り始めた。
しかもそれは、老いて弱々しい父の話ではない。
父がその人生と浪漫をかけた、
船乗りとしての父の話だった。

「父を海の男として送りたい。」

想いをカタチに、言葉に、表したことで、
予想以上に伝わって、流れが生まれた。

皆の想いがつながっていった。

葬儀会社さんも、短い時間ながら、
がんばってくれた。
遺影の背景は凪いだ海、
そして音楽も海にちなんだ曲をかけてくれた。

そして、父の戒名に「航」の文字!

戒名に「航」の字を使うのは珍しく、
私は生まれてはじめて見た。
親戚のだれもがいままで見たことがないと言った。

外国航路で生きた父の、最後の航海に、
あまりにもふさわしい名を、
リクエストしたわけではないのに、
僧侶の方が理解して、つけてくださった。
母も、姉も、私も、この予想外の素晴しい展開に、
胸が一杯になった。

「その人をどのように送りたいか?」

つらい別れはつらいし、悲しいは悲しい。
けど、送る想いをささやかでもすくいあげて、
言葉に表し、カタチに表し、人に伝えることで、
こんなにも気持ちは澄んでいくのだな。

送る想いを表現できたとき、
その悲しみは澄んでいる。

「最後にどんな言葉で送りたいか?」

父が人生最後の航海に向かう瞬間に、
どんな言葉をかけたいか、
と考え、

小さい頃、父に、船の出発のかけ声、
「ようそろ」を教わったことを想い出した。

私は、父を船乗りらしく、この船乗り独特の
出航の合図で送りたかった。

いよいよ出棺、いや、
父にとっては、出航。
最後の航海。
私は父にこう言って見送った。

…………………………………………

おとうさん、

船出です。

人生最後の航海、準備はいいですか。

ようそろー!

ようそろー!

出発進航! いってらっしゃい。

…………………………………………

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

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・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

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自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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表現を通して他の受講者と心底通じ合える
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心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
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他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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