おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1034
苦しい時は朝陽をあびて

だれもが人生で苦しい時はある。

そんな時に支えてくれるのが、
過去の苦しかった時の自分だ。

苦しくて、
早く忘れたいと思っていた時期が、
あとから思い出すと、

「あの時も苦しかったけど、
結局のりこえられたじゃないか」

といまの自分に自信をくれる。

でも具体的に、
「眠れない時はどうやってのりきった?」、
とか、思い出そうとしても、
忘れていることに気づく。

せっかく、人生で苦しい時に、
試行錯誤で、のりきる小さな工夫を
編み出しただろうに、
忘れてしまうのは、もったいない。

そこで私は、未来の自分に、

「苦しい時はとりあえずこれやっとけ!」

と、具体的な術(すべ)を1つだけ、
申し送っておこうと思う。

ほんとは1つじゃなくて、いろいろある。

例えば、前回ここで書いた
「苦しい時、家族に元気なふりはストレス、
早めに状況だけは伝えておけ」だったり。

食欲が無い時、
食べよう食べようと焦るばかりで
結局おなかを壊してしまったから、

「胃腸を休めることも考えよう」

ただし水分だけはこまめにとれ、
だったり。

さらに、胃腸の運動は、
カラダの運動と連動している。

私は、胃腸が辛い時、
安静にしておくもんだと思い込んでいたが、
カラダの動きが衰えると、
胃腸の動きも衰える。

むりのない運動をすることで、
お腹がすっきりしたことも、申し送りたいが、

1つに絞るとしたら、これ。

「苦しい時は、朝陽を浴びて、
一杯の白湯を飲もう。」

シンプルだけど、具体的で、
試行錯誤で編み出した、
私に合った方法だ。

悩みがあって、心が苦しい時、
何より「睡眠」なのだと、
専門家の本で学んだ。私は、

7時間眠れるかどうかは死活問題

と理解した。
ただ、苦しい時はそれが難しい。

そんな時私は、
7時間の寝たふり、つまり、
横になってじっと目を閉じる努力をする。
5分でもウトウトできればもうけもの、
という気持ちで。

私は、眠るにも体力が要る、
その体力は睡眠がつくる、
なんとなく経験からそう思っている。

悩みがあって眠れなくても、焦らず、

5分眠れたら、それがつぎ、
15分くらい眠る力になる、
15分眠れたら、それがつぎ、
小一時間眠る力になる、
そんなふうに考えて、コツコツチャージしていって、

だんだん、2時間、3時間、4時間‥‥と、
まとまった睡眠がとれるようになっていく。
足りない分は、仮眠なり、昼寝なりで、
なんとか7時間睡眠の帳尻を合わせる。
やがて本当に眠れるようになっていく。

今回、試行錯誤しながら、

睡眠にしても、お腹の調子も、
自律神経を整えるといい、それには、
朝陽をあびて水(または湯)を飲むといい、
という情報を仕入れた。そこで、

朝、ベランダに出て、

陽を浴びて、

空を仰いで、

白湯を飲む。

ということをやってみた。

すると、まず、
「お陽さまを浴びてたら、だいじょうぶ。」
そんな気がしてきた。

マグカップ1杯の白湯を飲み干す間、
空を見る。

空を見ていると、
不安や、恐れ、哀しみ、
自分の内面があぶりだされる。
そのたび、じっと、その感情を受けとめ、
ふさわしい言葉を探した。

雨の日も、晴れの日も、
曇り空でも、みぞれの日も、
くる日も、くる日も、私はこれを続けた。

毎日、同じ場所で、同じ空を見ながら、
同じように1杯の白湯を飲む。

なのに、空は1日たりとて同じではない。

雲ひとつない快晴もある。
同じ快晴でも、空の青は日によって違う。

ビルの上方が隠れるほど、
低い雲が空いちめん覆っている日もある。

真っ青な空にぽっかり浮かんだ白い雲の日もある。

毎日、同じ場所で、同じ空を見ながら、
同じように1杯の白湯を飲む。

だから、自分の体調や内面の違いがよくわかる。

1杯の白湯が飲みづらい、
弱ってる日もあれば、

白湯がしみる、癒されると感じる日もある。

お腹の調子がよくなったと喜んでいたら、
白湯を飲んでみて、逆戻りに気づいて、
しょんぼりしたこともある。

同じ快晴の空を見上げても、
虚しい、と感じる日もあれば、
前に向かった意志が湧きあがる日もある。

「これは、空模様と心模様の対話だな。」

心を映す鏡はないから、
毎朝、見上げる空が、
その役割をしてくれることに気づいた。

そうして、波はあっても、

「昨日より今日は、1時間多く眠れた」
「昨日より今日は、気持ちが穏やかだ」

それをモチベーションに、
コツコツ、コツコツ、体調も心模様も
上向いていった。

2ヵ月半くらい過ぎたころだろうか、
いつものように、朝、
ベランダで白湯を飲んでいたら、

ふと、初めてこのベランダに立ったころの、
自分の体調、心模様が、思い出された。

ギリギリのヒリヒリ、

あのころは、不安や恐怖で、
痛々しいまでにはりつめていたな、と。

恐怖は、原始時代、
猛獣などから命を守るため、
生き死にレベルで発動された。
現代になっても、原始時代の名残りで、
人は無駄に、生き死にレベルで
恐怖の感情を発動してしまうのだと、
メンタルの専門家の本で読んだ。

あの、初めてベランダに立った頃の私も、
原始人と同じ生き死にレベルで、
必要以上の恐怖におびえていたのだろう。

まるで恐竜に襲われたかのように。

あの日からすれば、
ずいぶん立ち直ってきた、

そう想って、はっ、とした。

「どうしてだろう。
あのギリギリヒリヒリのはりつめた日々が、
いま思い返すと、不思議に嫌じゃない。」

澄んで、いる。

恐竜なみの恐怖にじっと耐え
持てる気力、知力、体力をふり絞って、

生きるほうへ、

自分の頭で考え、舵をとる。

人は苦しい時、余計なことを考えられない。
打算も、マンネリもない。未知に向きあい、
必死に生きる道を模索している。

純粋なのだ。

だから、苦しい時期は、
後から考えて悪いものではないんだ。

「苦しい時は、朝陽をあびて、
1杯の白湯を飲もう。」

陽を浴びて、心が晴れて、
空の鏡に心模様が映し出されて、
夜は眠れて、お腹の調子もよくなって、
欠かせぬ水分補給もできる。

未来の自分にそれだけは申し送ろう。

未来の自分はきっと、
空と対話し、
恐竜なみの恐怖と向き合った日々を、
懐かしく想い出すだろう。そして、

生きるほうへ!

純粋に舵をとっていく、と私は思う。

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たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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表現を通して他の受講者と心底通じ合える
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心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
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連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



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会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
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かけがえなく必要とされたい。

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「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
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2017年6月開講したワークショップ型実践講座
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1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

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お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
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山田ズーニーワークショップ型実践講座、
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題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
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★出演情報などお知らせのあるときは
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『半年で職場の星になる!
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あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
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職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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