おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1032
自分の「背景」を描く

もしも、あなたが
マンガの主人公だとして、
いまの暮らしを1コマで表すとしたら。

「背景」に、
どんな絵が描かれているだろうか?

人情豊かな下町か、

お洒落なデザイナーズマンションの一室か、

窓の外にひろがる一面の穏やかな海か。

「これからどう生きようか」と考える時に、
見落とされがちな背景だけど、

「自分がバックにどんな絵をしょってるか」

それが意外に大事なんではなかろうか。

……………………

「背景こそ、マンガには大切。

“たった1枚の背景を6時間かけて描いても、
読者には3秒しか見てもらえない”
と嘆く人がいるが、

3秒あれば充分じゃないか、
読者をその世界に連れ去るのに。

世界観こそマンガには重要で、
世界観をつくるのに背景描きこそ重要だ。」

先日、絵の先生から、
そういう意味の話を聞いた。

いま大人気のマンガ家の多くも、

くる日も、くる日も、「背景」ばかり
描かされたアシスタント時代がある、と。

大先生のアシスタントについて、
自分の好きなマンガは描かしてもらえず、
たった1枚の背景に何時間もかけて。

そんな生活を何年も続け、
合間を縫って自分の作品も描き続け、
先生に見てもらい、
やっとデビューしたマンガ家は、
背景を描くチカラが物凄く鍛えられている。

だから、読者を一発で連れ去るような
独自の「世界観」を創る基礎力がある。

独自の世界観に魅了された読者は、
少々難があっても、
その世界から離れられない。
だから人気作家になる可能性があると。

たしかになあ! と私は考えてみた。

のちに恋人になる2人が、
初めて出会う1コマがあるとして、

「2人が出会いさえすればいい、
サクッ、と会わせるのみで、
背景はどうでもいい」
というのと、

ひと目見て、ため息が出るほどの
吸い込まれそうに美しい星の夜空をバックに
出会うのと、

江戸時代、にぎやかな
商人たちの行き交う街並みをバックに
出会うのと。

どれもアリだし、正解はないが、
背景の絵1枚だけでも、
世界観がおそろしく違ってくるのはわかる。

「背景として、どの感情を描きたいか」

と絵の先生は言う。

例えば、
「さびれた飲み屋街」の背景を描く。

自分で、モデルになるような飲み屋街に行き、
写真を撮ってきたとして、
でも、それを忠実に写すことではないんだと。
それならAIにもできると。

そうじゃなくて、
その飲み屋街から、
どんな感情を引き出して描きたいのか。

たとえば、「不穏」

治安が悪そう、
いまにも悪人が飛び出して、
何か残酷な事件が起こりそう、
そんな背景を描きたいのか。

あるいは、「寂しさ」

かつて人気があった。
でも、いまはもう客足も途絶え、
忘れ去られた寂しい感じを出したいのか。

撮ってきた写真から、
感情を抽出して表現できる。
そんな背景描きは、
人間にしかできないのだと。

だから、背景を描いて、描いて、夢中になって、
あっという間に丸一日たっていて、
「ああこんなことに時間を費やしてしまった」、
と罪悪感を持つ必要はない。
それは世界観づくりに通じる訓練、
私は、絵の先生の言葉をそんなふうに解釈した。

「世界観をもっとも大切に想い、
一発でその世界にいざなうものづくり」

私はそういうあり方が
とても好きなんだということを
想い出し、取り戻した。

小論文編集者をしていた頃、

「どんな世界観なら、
読者の高校生が、四の五の言わなくても
一発で小論文の世界に引き込まれるか。
当月のテーマを考えたくなるか。
書くモチベーションをかきたてられるか。」

と考えて、ものづくりをするのが
好きだった。

久々にその気持ちを取り戻して、

「どんな世界観なら、生徒は、
一発で表現の世界に引き込まれ、
創造性が引き出され、
自由にアウトプットしたくなるか」

と世界観までを大切に、
納得いくまで仕事をしたら、
夢中になれて、楽しかった。
時間はとてもかかったけれど、
あっという間に時間が過ぎた。

世界観。

いま私は、リアルな人生において、
どんな世界観を生きているのだろうか。
例えば、

「私の背景は魅力的だろうか?」

と考えて見た。

どんな内装の部屋に住むか、
水回りは汚れているか、
それとも磨き上げられて輝いているか。
そんな小さなことも疎かにできない。

背景3秒、たった3秒で、

引き込まれもすれば、
ときめくこともあれば、
やる気が失せてしまうこともある。

日々、自分の目にうつす背景は、重要。
自分の内面とリンクする。

自分の生活の背景は、
自分の心のどんな部分を引き出すのか。

さらに、舞台。

どこを舞台に生きるか。
高層ビルの立ち並ぶ都会か、
情緒ある下町か、海の近くなのか。

おなじ海でも、
荒く激しい海か、
穏やかで優しい海か。
土地の醸し出す感情と、
自分の内面はリンクする。

「自分をどのような世界観の中で生かすか」

これからどう生きるか、を考える上で、
自分を包む世界観を丁寧に選択したり、
創意工夫で創っていきたい。
そして、

「この世界観は自分にふさわしいか」

問うていきたい、
と私は思う。

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●お問い合わせは
株式会社ウチダシステムズ フェア事務局
TEL:03-3537-0888
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お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


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お問い合せ先:北日本新聞就職情報センター(kinet) 
メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

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言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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