第15回 おんなじような島で遊んでますね。

糸井 いまのぼくは、もう、長い文章については、
書けないと決めて書いているような状態ですね。
荒井 「書けない」、ですか。
糸井 いいとか悪いじゃない、というのかな。
荒井 ああ、なるほど。
糸井 だから、いいとか悪いとか言われたら、
文章がいいとかそういうことは関係なくって
オレがいいんだよ、って言いたい(笑)。
一同 (笑)
荒井 あーーー、いいなぁ、それ(笑)。
糸井 あの、けっこう、この本
(『あたまのなかにある公園。』)って、
そういうものかもしれない。
荒井 本、あらためて読みましたけど、
やっぱり、おもしろいです。
こういう表現がいいのかわからないですけど、
すっごい笑いました。
糸井 あー、そうですか(笑)。
それはうれしいほめられかたです。
そうか、笑えましたか。
荒井 これ、笑いますよ。
糸井 だからそれも、あえていうと、
オレの文章がおもしろいんじゃなくて、
オレがいいんだよ、と(笑)。
荒井 そうだそうだ(笑)。
糸井 まぁ、熱心な担当者が
こういう短い切り取り方を
してくれているから成立するんですけどね。
大きな壁画をつくるような根性は
ぼくにはないですから。
だから、きっと、焼き鳥屋も
2年間、続かないんですよ。
一同 (笑)
糸井 荒井さんは、やっぱり、
そのへんの強さがあるんだなぁと
今日、いろいろうかがっていて思いました。
なんというか、ある持続性を持ったうえで、
瞬間をつかもうとしてるというのかな。
その仕事のしかたというのは
いまの日本にあんまりいないんじゃないかと
ぼくは思います。
荒井 うーん、そうなんですかねぇ。
糸井 個展をやってて、個展だけにならず、
絵本をやってて、絵本だけにならず、
そういうちょうどよさっていうのかな。
たぶん、ほんとうに個人的な趣味のような、
小さなイラストの仕事とかも、
ぽろんとやってらっしゃいますよね。
荒井 やってます、やってます。
糸井 そのバランスって、心地いいでしょ。
荒井 心地いいですね。
糸井 ですよね。
荒井 人から見ると、たいへんでしょ
って言われるんですけど、いや、ぜんぜん。
たとえば、タイトなスケジュールで入ってくる
雑誌のイラストレーションとかの仕事に
意外と助けてもらったりするんですよね。
助けてもらってるというか、
たのしんでるっていうか。
糸井 うん、よくわかる。
荒井 ですよね。
糸井 うん。
あの、終わらないと続いちゃうんで、
このへんでまとめることになりますけど、
じゃあ、また会うと思っててもらえませんか。
荒井 はい(笑)。
糸井 ぼくも思うようにしますから。
荒井 いや、おもしろかったです。
糸井 おもしろかったなぁ。
お会いしてはっきりわかったけど、
どうやら、おんなじような島で遊んでますね。
荒井 そうですね。
糸井 住んでるところはどうもちがうんだけど、
遊び場は近いですね。
荒井 近いですね(笑)。
糸井 ありがとうございました、ほんとに。
荒井 とんでもないです。
ありがとうございました。
(荒井良二さんと糸井重里の対談は今回で終了です。
 お読みいただき、どうもありがとうございました)


2010-07-01-THU


第1回 まずは帽子の交換から。
2010-06-11
第2回 『さよならペンギン』にぶっ飛ぶ。 2010-06-14
第3回 これでいいんだ! 2010-06-15
第4回 湯村輝彦さん。 2010-06-16
第5回 その世界のなんかにタッチしたい。 2010-06-17
第6回 ちっぽけな自分。 2010-06-18
第7回 東京。 2010-06-21
第8回 背伸びの分だけ変化する 2010-06-22
第9回 焼鳥屋さんでの2年間。 2010-06-23
第10回 なんか描いて。 2010-06-24
第11回 大きい具象。 2010-06-25
第12回 時間じゃない。 2010-06-28
第13回 なにもしてないと思われちゃう 2010-06-29
第14回 ことばのデッサン。 2010-06-30





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7月10日〜9月5日
埼玉県・うらわ美術館にて